2週間前、TPGのRise Fundはアフリカの通信会社Airtel Africaのモバイルマネー事業であるAirtel Mobile Commerce BV(AMC BV)に2億ドル(約221億3000万円)を投資した。契約完了後、Bharti Airtelの子会社であるAirtel Africaは、追加の少数株(発行株式の25%)を別の投資家に売ることを検討していると語った。
現地時間4月1日、同社は新たな出資者として国際的決済プロバイダーのMastercard(マスターカード)を発表した。この契約でAirtel Africaは、同社のモバイルマネー事業のためにさらに1億ドル(約110億6000万円)を受け取る。AMC BVはアフリカ大陸最大級の金融サービスを運営し、ユーザーにモバイルウォレット、国際送金、融資、バーチャルクレジットカードなどのサービスを提供している。企業評価額は26億5000万ドル(約2931億6000万円)だ。
2つの会社には以前からつながりがある。2019年、両社はAirtel Africaの14か国に渡る1億人の登録ユーザーが、Mastercardの国際ネットワークを利用できる契約を締結した(この提携でMastercardとAirtel Africaの間に金銭授受はなかった)。
この日Airtel AfricaとMastercadは、商業契約を延長し新たな商業フレームワークとして、さまざまな地域でカード発行、決済ゲートウェイ、決済プロセス、マーチャント向け受領送金ソリューションなどの分野の提携関係を深める契約を結んだことを発表している。
AMC BVの26億5000万ドルという売掛買掛金ゼロ状態の企業価値は前回から変わっていない。これは、TPGのRise FundとMastercardは契約完了時に、それぞれ7.55%および3.775%の株式を取得することを意味している。Mastercardの場合、 支払いは2回に分けて行われ、最初に7500万ドル(約83億円、4カ月以内に完結)、2回目に5000万ドル(約55億3000万円)投資する。
モバイルマネー事業の少数株をRise FundとMastercardおよびその他の出資者候補に売却することで、Airtel Africaはモバイルマネー事業を収益化し、4年以内の上場を目指すために必要な資金を調達できると信じている。
TPGのRise FundとMastercardからの出資に加えて、Airtel Africaは一部の資産の売却も行う。先週同社は、マダガスカルとマラウィの通信塔1424基を1億1900万ドル(約131億7000万円)でHelios Towersに売った。HeliosとAirtel Africaは、チャドおよびガボンの通信塔の売買でも合意しているが、詳細は明らかにされていない。
一連の行動は、同社の戦略的資産収益化と投資機会、そして最終的な債務削減に向けられている。
「本日、当社のモバイルマネー事業の出資者としてMastercardを迎えることを謹んでご報告いたします。2週間前に発表したThe Rise Fundの出資に続くものです」とAirtel AfricaのCEOであるRaghunath Mandava(ラグナート・マンダヴァ)氏は語った。
「これは、モバイルマネー事業の少数株主を増やして4年以内に上場を目指すという当社の戦略の一環です。現在のMastercardとの戦略的関係を大きく強化することで、当社が事業を運営する国々の金融状況を改善する重要な機会をフルに活用することができます」。
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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook)