デンマークで登記され、完全にリモートで運営されているスタートアップButterは、バーチャルワークショップを企画・運営するための「オールインワン」プラットフォームを構築している。
同社はビデオソフトをはじめとするワークショップ専用の機能を提供することで、Zoom(ズーム)やMicrosoft Teamsなど、ワークショップにはあまり適していない一般的なツールの使用から人々を引き離そうとしている。これはZoomの連続に悩まされている多くのリモートワーカーが歓迎すべきアイデアであり、すでにベンチャーキャピタルも誘致している。
中央ヨーロッパ時間4月8日に発表されたButterの275万ドル(約3億円)のシードラウンドは、Project Aが主導した。また他のエンジェルに加えて、Intercomの共同設立者兼CSOであるDes Traynor(デ・トレイナー)氏もこの急成長中のスタートアップに投資している。今回の資金調達は、Morph Capitalからのエクイティファイナンス、The Danish Growth Fundからのベンチャーデット、Innovation Fund Denmarkからの助成金などにより調達した44万ドル(約4800万円)に加えて行われた。
Butterの共同設立者兼CEOであるJakob Knutzen(ヤコブ・クヌッセン)氏によると、戦略コンサルタント、人事トレーナー、デザインスプリンターなどのようなワークショップファシリテーターは、一般的に「テクノロジー過剰」と「ワークショップでのエネルギー不足」という2つの問題を抱えているという。
前者には、ワークショップを企画・運営・発信するのに必要なツールが多すぎる、さらにインターフェースが直感的でない、ワークショップの要素を事前に設定できないなどの問題がある。また、バーチャルでワークショップを開催する際の「エネルギー」不足は定義するのが難しい問題だが、オンラインワークショップに参加したことのある人なら誰でも経験したことがあるのではないだろうか。
「当社はこれらを2つの方法で解決します」とクヌッセン氏はいう。「ファシリテーターがワークショップの準備、運営、デブリーフィングを1つの場所で行えるオールインワンツールと、ファシリテーターがより人間的な体験を提供できるようサポートする楽しいデザインです。90%のユーザーがこの点についてコメントしています。Zoom疲れは本物です」。
Butterでは、まず「ルーム」を作成して設定する。オプションでアジェンダ、投票、またはタイマーを作成したり、ウェルカムページ、画像、音楽などさまざまなカスタマイズも可能だ。次に、簡単にシェアできる自動生成されたリンクを使ってワークショップの参加者を招待する。
当日、参加者はブラウザから直接参加し、ワークショップリーダーは作成したアジェンダを主な指針として、ワークショップを進行する。Butterは、ホワイトボード機能やメモ作成など、さまざまなサードパーティ製品との統合にも対応している。セッション終了後、ファシリテーターはルーム概要にある「まとめ」にアクセスし、チャットのトランスクリプト、録音、投票結果などを確認できる。
クヌッセン氏はこう付け加えた。「将来的には、もっとプランニング部分も含め、参加者のためのプレワークショップのスペースを充実させ、ポストワークショップ体験を充実させるなどして、これをさらに『フル・ワークショップ・フロー』にしていきたいと考えています。でも今は、ワークショップ『中』のフローをスムーズにすることに専念しています」。
そのためにも、Butterはまだ収益化していないが、SaaSモデルを採用する予定だ。クヌッセン氏は競合他社として、ZoomやTeamsなどの既存のジェネラリストプラットフォーム、Adobe ConnectやWebex for Trainingなどの従来のスペシャリストプラットフォーム、そして同じ問題を解決しようとしているスタートアップ(Toasty.ai、circl.es、VideoFacilitatorなど)を挙げている。
「当社は、レーザー光線のようにワークショップに集中することで差別化を図ります」と同氏は語った。
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タグ:Butter、デンマーク、資金調達、バーチャルワークショップ
画像クレジット:Butter
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(文:Steve O’Hear、翻訳:Aya Nakazato)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/04/09/2021-04-08-butter/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Steve O'Hear,Aya Nakazato