現在50歳前後の人だと、運転免許を取得したのは30年ほど前という人は多いはず。もうそんなに経つんですねえ…。10代後半〜20代前半頃の記憶は鮮明で、当時憧れたクルマのことを今でも鮮明に覚えている人もいるのでは。
国内外のヘリテージカーが多く出展され、その場で買うこともできる「オートモビル カウンシル」(2021年4月9日〜11日、幕張メッセで開催)の会場には、1990年代のモデルも数多く展示されていました。
「そうか、これがもうクラシックの部類に入るのか。自分も歳をとったわけだ…」
撮影をしながらしみじみとなりましたが、このあたりのクルマはまだ比較的買いやすい価格がつけられています。ただ、今後は相場が上昇する可能性も否定できません。中にはすでに高騰しているものも…。
そんな、会場で展示されていたネオクラシックなヘリテージカーを5台紹介します。
当時憧れたクルマを手にするなら今がラストチャンスかもしれないですよ!
1. フォルクスワーゲン ゴルフカブリオクラシックライン(1993年式)
ジョルジェット・ジウジアーロが手がけたことで知られる初代ゴルフ(ゴルフI)は、ハッチバックの他にオープンモデルのカブリオが製造されました。しかし1983年に登場した2代目ゴルフ(ゴルフII)にはカブリオが設定されず、初代カブリオがゴルフIII登場まで継続販売されたのは、クルマ好きならご存じの通り。
クラシックラインはゴルフカブリオの最終限定モデルで本革シートが奢られています。排気量は1.8Lでトランスミッションは3ATに。
2009年にスタートしたエコカー補助金は車齢13年以上のクルマを廃車にすることが補助金を受け取る条件になっていました。この当時、ゴルフIIは現在ほど人気があったわけではなく、補助金を受け取るために廃車にされたものも多いと言われています。しかしクラシックラインはクルマ好きから支持されていたこともあり、廃車を免れたそう。ただ、もともとの流通量が少なく、希少価値はかなり高くなっています。
このクラシックラインは1993年式で、塗装や幌が28年前のものとは思えない状態で残っています。販売価格は399万8000円と、まさにコンクールコンディションの1台。中古車市場では200万円前後のものも見つかりますよ。
>> スピニングガレージ
2. メルセデス・ベンツ 500SL(1993年式)
1989年に登場した通算4代目となるR129型のSL。先代R107型が1971年の登場ですから、実に18年ぶりのフルモデルチェンジとなりました。
バブル景気が最高潮時に登場したこともあり、デビュー時は投機対象となって瞬く間に相場が上昇。500SLの新車価格は1990年当時で1580万円でしたが、その数倍の価格で取引される時期もあったほど。着脱式のハードトップをつけたSLは六本木や麻布でなんとも言えないオーラを放っていましたね。
この500SLは、1993年の初度登録以来、ヤナセが定期点検・整備を行ってきた車両で、納車後6ヶ月または走行5000kmのヤナセクラシックカー保証がついた1台。納車時にはATをリビルトミッションに交換し、ソフトトップの油圧シリンダーも交換されるそう。
R129の中古車価格帯は170万〜670万円となっていますが、ヤナセの手厚いサポートが受けられることを考えると、このクルマの528万円という販売価格は決して高くないように感じます。
3. ロータス エリーゼ(1998年式)
イギリスの名門スポーツカーメーカーで、セブン、ヨーロッパ、エラン、エスプリなど、他社とは一線を画すモデルを生産してきたロータス。
エリーゼが初披露されたのは1995年のフランクルフト・オートショー。その名前はブガッティ社の会長で1993年ゼネラルモータースからロータスを買い取ったロマーノ・アルティオーリの孫娘に由来します。
フェイズIに搭載されたローバー製1.8Lエンジンは、スペックだけ見ると驚くほどのものではありません。しかしアルミ合金をエポキシ樹脂で接着したバスタブフレーム構造とFRPの外板による圧倒的に軽い車体により、スタートから爽快感のある走りを味わうことができました。
2001年以降のエリーゼ(フェイズII)は攻撃的なデザインに変更されたこともあり、丸目のフェイズIのほうがエリーゼらしいという人もいるのではないでしょうか。この車体の価格は440万円。フェイズIは中古車市場でも滅多に見かけなくなりました。
4. 日産 スカイラインGT-R(1995年式)
80年代後半〜90年代前半に登場した国産ヤングタイマーの相場上昇。それを象徴するのがGT-Rです。背景にあるのは、製造から25年経ったクルマは安全基準や排ガス規制の縛りがなく輸入できるというアメリカの25年ルール。登場当時アメリカで販売されなかったR32 GT-Rに25年ルールが適用され海外流出するようになって、日本でも一気に有名になりました。
2014年以降、R32 GT-Rの中古車は激減していて相場も上昇。現在の価格帯は320万〜1700万円ほどになっています。ただ、価格応談となっているものも多く、実際はもっと高くなるはずです。
R32 GT-Rは1994年12月まで製造されていましたが、この車両は1995年に初度登録されたもの。走行距離は実走で1800kmというまさに奇跡の1台! 2200万円という価格も納得です。
R32以上に相場が高騰しているのが、R34 GT-R。25年ルールの適用は2024年からですが、先を見越して中古車の流通量が激減。価格帯は1300万〜3500万円になっています!
>> ヴィンテージ宮田自動車
5. プジョー 406クーペ
1998年1月に日本に導入された406クーペを見た時、多くの人がその美しさにため息を漏らしました。ピニンファリーナが手がけた官能的なデザイン(ちなみにデザインだけでなく生産もピニンファリーナが担当)は、もっとも美しいクーペと絶賛されました。
通常、同一車種でセダンやワゴン、クーペを展開する場合、フロントフェイスは同一デザインだったり、パーツを共用してコストを抑えるのが一般的。しかし406クーペはイメージこそセダンやブレークを踏襲しているものの外装パーツはすべて専用設計になっています。
ピラーより内側に取り付けられたリアガラスは、スーパーカーで取り入れられた処理。乗り味は派手ではありませんが、優雅にクルージングできるだけの十分なパワーが与えられています。
406クーペがオートモビルカウンシルに出展されるようになったことは、感慨深さを感じるとともに、自分が歳を重ねたことを思い知らされました。406クーペの中古車価格帯は60万〜240万円で、この車両は100万円。かなりお買い得です!
>> 原工房
【番外編】BMWミニ並のクオリティでクラシックミニに乗れる!?
会場内に展示される1台のクラシックミニ。その輝きを見て「こんなにきれいなものがまだ残っているんだ」と感心しましたが、その価格を見て目を疑いました。お値段、なんと1400万円! クラシックミニの相場は上昇傾向にあるとはいえ、さすがにこの価格は…。
出展していた方に理由を伺ったところ、オリジナルエンジンを完全分解して新品の部品を使ってチューニング。ボディはゼロから新造していると言います。確かに見た目はミニですが、よく見るとAピラーの雨どいなどがありません。
車内には、エアコンはもちろん、パワーウインドウやApple Carplay、7インチのインフォテインメントシステムなどが取り付けられ、完全に現代のクルマになっています。
その作業はすべてハンドメイドで、専用のウェブサイトで作業の進捗状況を随時確認することもできるそうです。レストモッドと呼ばれるこの世界。クラシックなクルマを快適に乗りたいという人にとっては理想の1台と言えそうです。
>> David Brown Automotive MINI REMASTERED
<取材・文/高橋 満(ブリッジマン)>
高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/366502/
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