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運送業向けクラウドのhacobuが9.4億円調達、物流業界初のビッグデータ・ガバナンス体制立ち上げ

「運ぶを最適化する」をミッションとして、企業間物流の最適化を目指すHacobu(ハコブ)は4月19日、第三者割当増資による総額約9億4000万円の資金調達を発表した。引受先は、JICベンチャー・グロース・ファンド1号投資事業有限責任組合、NREGイノベーション1号投資事業有限責任組合(野村不動産グループ)、豊田通商、Logistics Innovation Fund投資事業有限責任組合(セイノーホールディングスをアンカーLPとするSector-Focused Fund)、SMBC社会課題解決投資事業有限責任組合、ダイワロジテック(大和ハウスグループ。既存株主)、三井不動産(既存株主)。

これを機にHacobuは、社会課題解決に賛同するステークホルダーとのパートナーシップ強化とともに、アプリケーションの開発・販売にかかる人員の増強、物流ビッグデータ分析基盤の強化にかかる人員の増強、また物流業界初となるビッグデータ・ガバナンス体制の立ち上げ・運用などの施策を推進し、物流ビッグデータ活用に向けた体制を強化する。

外部専門家で構成する物流ビッグデータ・ガバナンス委員会では、委員長として國領二郎氏(慶應義塾常任理事、慶應義塾大学総合政策学部教授政策・メディア研究科委員 経営学博士)、委員として岩田彰一郎氏(フォース・マーケティングアンドマネージメント代表取締役社長CEO)、水越尚子氏(レフトライト国際法律事務所 弁護士)が就任する。

また資金調達と同時に、野村不動産および豊田通商と、物流業界における公正なビッグデータ活用を通じた社会課題解決と相互の事業発展を目的として、業務提携契約を締結した。野村不動産とは物流施設とそれに関わるサービスを活用したオープンイノベーションの推進、豊田通商とは、物流業界が抱える課題解決やカーボンニュートラル社会の実現に向けて、自動車業界を中心とした物流およびサプライチェーンにおけるビックデータの活用と最適化の実践を中心的な取り組む。

資金使途:物流ビッグデータ活用に向けた体制強化

現在物流業界は、トラックドライバーの人手不足に陥っている一方で、企業間のやり取りが電話やFAX、紙帳票などの非効率なツールが中心になっており、DXによる業務の効率化が急務となっている。

これに対してHacobuは、物流現場の業務をデジタル化するアプリケーション群MOVOを提供することで、事業者・業界の垣根を超えた「モノと車両と場所」にかかわる物流情報をビッグデータとして蓄積し、物流全体が最適化された持続可能な社会を目指すという。

MOVOでは、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」(ムーボ・バース)、動態管理サービス「MOVO Fleet」(ムーボ・フリート)、流通資材モニタリングサービス「MOVO Seek」(ムーボ・シーク)、配送案件管理サービス「MOVO Vista」(ムーボ・ヴィスタ)の4アプリケーションを提供しており、メーカー、小売、物流企業など、すでに500社以上の企業に導入されているそうだ。

またHacobuによると、MOVOの導入企業の広がりとともに物流ビッグデータの蓄積が進んでおり、この個社の枠を越えた物流ビッグデータを分析・活用し、物流業界に還元することでサプライチェーン全体の最適化を図りたいと考えているという。

同社は、物流の最適化には、個社内に閉じた取り組みだけではなくサプライチェーン内のステークホルダー間での調整が必要で、複数のステークホルダーで議論する際にはデータが不可欠と指摘。Hacobuは、担当者間の属人的なつながりだけに頼るのではなく、データを基盤とした議論によって、業界や会社の枠を超えた物流の協調が進むとした。また、ひとつの会社内でも物流部と他部署が建設的な議論をするために、データがあると本質的な課題の抽出と部署間での連携が行われるとしている。

データがあることで、事実を共有しかつ見つ直し、建設的な解決策を考え、新しいロジスティクスの在り方を考えていく、そのようなロジスティクスの世界を「Data-Driven Logistics」と定義し、Hacobuはその実現に邁進するとしている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:資金調達(用語)hacobu(企業)ビッグデータ(用語)MOVO(製品・サービス)日本(国・地域)

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