欧州連合(EU)のデータ保護監督官は、次期AI関連法案の下で、公共の場での遠隔バイオメトリックサーベイランスを全面的に禁止するよう求めた。
欧州データ保護監察機関(EDPS)の介入は、欧州議会の議員らが中央ヨーロッパ時間4月21日に発表した、AI(人工知能)の適用先を規制するためのリスクベースアプローチに関する提案を受けたものだ。
欧州委員会の立法案には、法執行機関による公共の場での遠隔バイオメトリックサーベイランス技術(顔認識など)の使用を一部禁止することが含まれている。しかし、この文書には広範な例外規定が含まれており、デジタル権および人権団体は、EU市民の基本的権利の大幅な侵害につながると彼らが主張する抜け穴について、早くも警告を発している。そして先週、欧州議会の党派を超えたグループは、欧州委員会に対し、勇気を奮い起こしてこうした権利を侵害する技術を違法とするよう求めた。
欧州委員会のために勧告やガイダンスを発行する役割を担うEDPSは、これに同意する傾向にある。4月23日に発表されたプレスリリースでは、現在、EDPSの席を保持するWojciech Wiewiórowski(ヴォイチェフ・ヴィヴィオロフスキ)氏が再考を促している。
「EDPSは、顔認識を含む遠隔生体識別システムが公に利用可能なスペースで使用されることの一時停止を求める我々の以前の呼びかけが、欧州委員会によって対処されていないことを遺憾に思います」と同氏は書いている。
「EDPSは、商業や行政、あるいは法執行目的で使用されるかどうかにかかわらず、公共の場における人間の特徴(顔だけでなく歩行、指紋、DNA、声、キーストローク、その他の生体・行動信号)の自動認識について、より厳格なアプローチを提唱し続けていきます」。
「遠隔生体識別に関してはAIが前例のない発展をもたらす可能性がありますが、個人の私生活に深く非民主的に侵入するリスクが極めて高いことを考えると、より厳格なアプローチが必要です」とも。
ヴィヴィオロフスキ氏は、欧州委員会が提示した水平的アプローチと広範な範囲を歓迎すると述べ、この立法案に対してエールを送った。またAIの適用先を規制する際に、リスクベースアプローチをとることにも賛成している。
しかしEDPSは、EU議会が引いたレッドラインが、彼が期待していたよりもはるかにピンク色であることを明確にした。そして、欧州委員会が「信頼できる」「人間中心の」AIを確保するためのフレームワークを作成したという大々的な主張に応えていないという批判に、権威ある声を加えることになった。
今後、規制の最終的な形をめぐる議論では、欧州でのAIの一線をどこに引くべきかについて、多くの議論が交わされることになるだろう。最終的な文書の合意は、早くても来年になる見込みだ。
「EDPSは、個人および社会全体の保護を強化するためにEUの共同立法機関を支援するため、欧州委員会の提案を綿密かつ包括的に分析していきます。この観点から、EDPSは特に、データ保護やプライバシーに関する基本的権利にリスクをもたらす可能性のあるツールやシステムに的確な境界線を設定することに注力します」と、ヴィヴィオロフスキ氏は付け加えた。
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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:EU、顔認証、欧州データ保護監察機関(EDPS)、プライバシー、個人情報
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(文:Natasha Lomas、翻訳:Aya Nakazato)