総務省は、携帯電話代理店へのインタビューと、店員へのアンケートによる調査の結果を公表しました。端末販売では利益が出ず、高額な料金プランの契約数によってキャリアからの評価が左右される問題や、営業目標のために高額プランやオプションを勧誘する店員の実態などが示されています。
代理店インタビューと店員へのアンケートで調査
総務省が4月26日に開催した「競争ルールの検証に関するWG」の第17回会合において、携帯電話販売代理点の在り方を検討するために実施した調査の結果を公表しました。調査は、3大キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)の販売代理店を運営する法人に対するインタビュー調査と、楽天モバイルを加えた全国412店のキャリアショップ店員(現職と離職後1年)に対するWebアンケート調査で構成されています。
公表されたヒアリング調査結果には、キャリアの方針に理解を示す声もある一方、キャリアからの評価により収入が左右される問題などへの生々しい声が並んでいます。
なお同会合では、キャリア各社のオンライン解約への対応状況や、非回線契約者への端末販売拒否の状況なども議題となっています。
1. 端末販売に関する問題
端末販売に関する問題点としては、以下のような問題点が挙げられています。
- 端末の卸価格がキャリアのオンライン直販価格と同額であり、端末販売では利益が0円となる
- 卸価格と販売価格が同額なのは、多額の販売奨励金が設定されていた頃の名残であり、値引きが禁止された現在は負担が大きい
- クレジットカード払いなどによっては赤字が発生する
- 利益を確保するための「頭金」について、顧客に質問されると説明が難しい
2. キャリアからの手数料に関する問題
キャリアが販売店に支給する「手数料」については、キャリアによる販売店評価の問題点が指摘されています。大手キャリアが販売代理店に「アハモフック」「povoフック」と呼ばれる、新料金プランに興味を持って来店した客に大容量プランを勧める営業手法を指示する構図との共通性も見えます。
- キャリアが設定する目標の達成により手数料額が決まり、評価が低いと手数料の大幅減額や、強制閉店措置が取られる
- 大容量プランの契約獲得数が評価を左右するため、電気通信事業法の「適合性の原則」に反する勧誘につながる
- 顧客からの評価が手数料指標の一部となっており、利用者を追い返すこともできないので、収入につながりにくいオンライン専用プランの案内にも応じざるを得ない
- オプションや他業種の商材など、多種多様なものを勧めなくてはならず、利用者から感謝されることは少なく、スタッフは罪悪感ばかりがたまっていく
利用者の意向より営業目標のため勧誘、4割強の店員が経験
ショップ店員へのアンケート結果としては、営業目標達成のため、利用者のニーズや意向を確認せず、上位の料金プランやオプションなどの勧誘を行ったことがあるという回答が4割強あった、との概略が公開されています。
なお、アンケート結果の詳細は「販売現場への影響を考慮」という理由で公表されていません。
6月にレポート案を公表予定
「競争ルールの検証に関するWG」では今後、端末メーカーなどへのヒアリングを行ったうえで議論を重ね、6月にレポート案を公表し、7月に意見公募(パブコメ)を行なった上で、取りまとめを行う計画です。
Source:総務省
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-364008/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania