テルアビブに拠点を置くスタートアップ企業で、AIを活用して材料研究の高速化を図るMaterials Zone(マテリアル・ゾーン)は、シードラウンドで600万ドル(約6億5000万円)の資金を調達したと、米国時間4月27日に発表した。この投資ラウンドはInsight Partners(インサイト・パートナーズ)が主導し、クラウドファンディングの「OurCrowd(アワークラウド)」も参加した。
Materials Zoneのプラットフォームはさまざまなツールで構成されているが、その中核となるのは、科学機器や製造施設、実験装置、外部データベース、発表された論文、Excelシートなどからデータを取り込み、それを解析して標準化するデータベースだ。このデータベースは必要に応じて可視化することができ、研究者にとってはこれがあるだけで恩恵になると、同社は主張する。
「新しい技術や物理的な製品を開発するためには、まずその製品を構成する材料やその特性を理解する必要があります」と、Materials Zoneの創設者でCEOを務めるDr. Assaf Anderson(アサフ・アンダーソン博士)はいう。「ゆえに、材料の科学を理解することがイノベーションの原動力となります。しかし、材料の研究開発や生産の背景にあるデータは、慣習的に管理が不十分で、構造化されておらず十分に活用されていませんでした。そのため実験が重複したり、過去の経験を生かすことができなかったり、効果的な共同作業ができなかったりして、莫大な費用と手間が無駄になっていました」。
アンダーソン博士は、Materials Zoneを設立する以前、バル=イラン大学のナノテクノロジー・先端材料研究所に在籍し、コンビナトリアルマテリアル実験室の責任者を務めていた。
「私は材料科学者の1人として、研究開発の課題を身をもって経験しているため、研究開発がどのように改善できるかということを理解しています」と、アンダーソン博士はいう。「私たちは長年の経験を元に当社のプラットフォームを開発し、革新的なAI(人工知能)/ML(機械学習)技術を活用して、これらの問題に対する独自のソリューションを生み出しました」。
例えば、新しい太陽光発電用の透明なウィンドウを開発するためには、適切なコア材料とそのパラメータを見つけるために何千回もの実験が必要になる。Materials Zoneは、このようなデータをすべて集約して標準化し、それを扱うためのデータおよびワークフロー管理ツールを提供することで、このプロセスをより速く、より安価に行えるようにすると、アンダーソン博士は説明する。その一方で、同社の分析・機械学習ツールは、研究者がこのデータを解釈するための支援をする。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Materials Zone、資金調達、人工知能 / AI、機械学習、データベース、イスラエル、材料
画像クレジット:SEBASTIAN KAULITZKI/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)