Appleの紛失防止タグ、AirTagの詳細な分解レポートをiFixitが公開しました。内部に搭載されたチップ類の詳細のほか、プライバシー機能の抜け穴が悪用される可能性についても言及されています。
ドーナツ型基板を2枚重ね
iFixitが、発売直後に公開したAirTagの分解レポートを更新し、基板の構造や搭載されたチップなどの詳細情報について報告しています。
AirTagの基板は接着剤でしっかり固定されており、取り外し用のピックを差し込む隙間を探すのも困難だったそうです。
ドーナツ形の基板は2枚重ねの複層構造で、基板を取り囲むように、アンテナが繊細にはんだ付けされています。
基板の中心には、細い銅線を束ねたスピーカー用コイルが配置されています。
AirTagの内部構造についてiFixitは、なんとか分解することはできても、修理は不可能だろうとコメントしています。
各種チップの詳細も判明
基板には、以下のようなチップ類が確認されています。
- Bosch製の3軸加速度センサー(他のApple製品にも採用)
- UWB(超広帯域)通信用のAppleのU1チップ
- Nordic Semiconductor製のBluetoothコントローラー
- GigaDevice製の32MBシリアルNORフラッシュメモリ
- Maxim Integrated製のデジタルオーディオアンプ
- Texas Instruments製のオペアンプ
- ON Semiconductor製の電圧制御スイッチ
- Texas Instruments製の300mA DC-DCバルクコンバーター
- ON Semiconductor製、Texas Instruments製とみられるDC-DCコンバーター
プライバシー保護機能も万全ではないと注意喚起
AirTagには、ストーカー行為などへの悪用防止とプライバシー保護のため、近くにAirTagがあることをiPhoneが通知するほか、持ち主から離れた状態が一定時間続くと音を鳴らして注意を促す機能が搭載されています。
iFixitは悪用を避けるために方法は公開していないものの、AirTagのスピーカーを無効化する改造が可能かを検証した結果、複数の比較的簡単な方法によりAirTagを機能させたままスピーカーを無効化することは可能だと判明したそうです。
そのため、iPhoneを持っていない人の持ち物に、スピーカーを無効化されたAirTagが潜んでいても気づくことができない可能性があることには注意が必要だ、と述べています。
「隅々まで考え抜かれた、最も印象的な製品」
iFixitは、AirTagについて「第1世代の製品とは思えない」「隅々まで考え抜かれている」と、完成度の高さを評価しています。
そして、バッテリーは交換可能でも修理はほぼ不可能であること、警告音を無効化されるリスクがあるというマイナス面も指摘しています。
iFixitはAirTagの分解レポートを、開口部のないスピーカーを含めて最も印象的な製品であり、Appleは正しい方向に進んでいると言えるだろう、と分解レポートを締めくくっています。修理しにくい製品に批判的なiFixitが、ほぼ修理不可能なAirTagをここまで高く評価することは異例と言えます。
以下の画像は、左からTile Mate、AirTag、Galaxy SmartTagを分解したものです。
Source:iFixit
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-366175/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania