夜間にiPhoneの画面の色調を変える「Night Shift」機能は、睡眠の質の向上に変化をもたらさない、との研究結果が公表されました。
iOS9.3で追加されたNight Shift
iPhoneの「Night Shift」は、2016年3月にリリースされたiOS9.3で利用可能になった新機能で、夜になると画面を暖かみのある色調に変え、ブルーライトをカットすることで睡眠への影響を抑える効果があるとされています。
iPhoneの設定画面には、以下の説明があります。
Night Shiftでは、日が暮れるとディスプレイの色が自動的にカラースペクトラムの一番暖かい色に変更されます。これはあ、夜よく眠るのに役に立つ可能性があります。
2019年のマウスを使った研究に続き人間で研究
2019年には、イギリスのマンチェスター大学の研究チームが、マウスを使った実験の結果、体内時計に影響を与えるのは画面の色よりも明るさであり、同じ明るさなら青い光の方が黄色い光よりもリラックスに効果的、とNight Shiftの有効性を否定する研究結果を発表していました。
そして2021年4月に、アメリカのブリガムヤング大学の研究チームがNight Shiftは人間でも効果がない、とする研究結果を学術誌Sleep Healthに掲載された論文で発表しました。
Night Shiftの有無、スマホ利用有無との関係も薄い
研究は、携帯電話を日常的に使う18歳〜24歳の167人を以下3つのグループに分けて実施されました。
- Night Shiftをオンにして、夜にスマートフォンを使用
- Night Shiftをオフにして、夜にスマートフォンを使用
- 就寝前にスマートフォンを一切使用しない
研究の参加者には、手首に睡眠状態を測定する加速度計を装着し、スマートフォンには使用状態を測定するアプリをインストールした状態でベッドに入って8時間過ごしてもらいました。
睡眠の長さ、睡眠の質、睡眠中の覚醒、眠りに落ちるまでの時間といったデータを分析した結果、3グループの間には違いが見られず、Night Shiftをオンにしたグループは、他の2グループと比べて、睡眠の質の向上は確認されませんでした。
睡眠の質には光の影響よりも就寝前の行動が重要
さらに、平均睡眠時間が約7時間だった参加者と、平均睡眠時間6時間未満だった参加者の間で比較した結果、平均睡眠時間が約7時間だった参加者は、就寝前にスマートフォンを使わなかったグループの睡眠の質が良い傾向がありました。
一方、平均睡眠時間6時間未満の参加者では、3グループ間で大きな違いは見られず、睡眠時間が短いと睡眠要求(sleep pressure)が強いため、就寝前の行動による影響が少ないと考えられます。
研究グループは、睡眠の質に影響を与える要因としては、Night Shiftの利用有無による光の影響だけでなく、画面をスクロール、文字入力、SNSへの投稿といった行動による心理的影響も重要だ、としています。
Source:Brigham Young University via 9to5Mac
(hato)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-366636/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania