<不自由を自由にする野営スタイル>
「不自由は自由だ!」をモットーに、不便がいっぱいな自然の中でいかに快適に過ごせるかを考え、キャンプをしているRYUです。
皆さんはアウトドアで使うナイフはどんなナイフを使っていますか? どんな用途でナイフを使いますか? 私は主にキャンプで薪を作る、木を使って居住空間を快適にするためのブッシュクラフト、そして調理で使います。
特に薪作りとブッシュクラフトで使うことが多いのですが、斧とナイフの中間くらいの大きさのナイフが、もっとも使用頻度が高いのではないか? つまり、大型のナイフがあれば、斧やノコギリが担当する役割も担え、万能なのではないか? と考えていました。
そんな折、大型ナイフの代表的モデル、BARK RIVER KNIVES(バークリーバー・ナイブス)「トラッカー」とVarustteleka(ヴァレステレカ)「テラバ・スクラマ」を比較してみる機会がありました。
そこで今回は、大型ナイフを使うシチュエーションで、トラッカーとテラバ・スクラマとでは、どちらが使いやすいのかを検証してみました。
■大型ナイフが必要なシチュエーションは?
キャンプでどんな時に大型ナイフを使うかの説明の前にまず、トラッカーとテラバ・スクラマのスペックを紹介しましょう。
写真上が、BARK RIVER KNIVESのトラッカー。全長:332mm、刃長:190mm、刃厚:6.7mm、重量:646g、刃の形状:コンベックスグラインド。
写真下が、Varusttelekaのテラバ・スクラマ240。全長:430mm、刃長:240mm、刃厚:4.2mm、重量:525g、刃の形状:スカンジグラインド。
大型ナイフの定義は、明確に定められているわけではないのですが、上記のナイフは刃渡りが長く、重さが500g以上あるので、私は大型ナイフに分類しています。
それでは、キャンプにおいて、大型ナイフが必要なシチュエーションを整理して行きましょう。
1.薪作り
私はキャンプでの熱源をほぼ100%焚き火でまかなっていますので、薪作りは欠かせません。
薪を作る際に刃物を使用するのは、枝を払う、使いやすい大きさに薪を切る、割る、火が付きやすいように削る、などでしょうか。通常、斧やノコギリを使うことが多いのですが、大型ナイフであれば、まかなえる部分は多いのです。
2.ブッシュクラフト
私は簡単なクラフトしかやりませんが、木を地面に刺すために先端を尖らせるために、チョッピングしたり、削ったりします。大型ナイフはパワーがありすぎるので、細かい作業には向きません。
ただ長さを調整するのに、切る(叩き割る)、ちょっと削るなどの作業は、小型や中型ナイフを別に取り出して作業するよりも、大型ナイフでチョッピングし、そのまま削った方が便利な場合が多いです。
■トラッカーとテラバ・スクラマを使い比べる
キャンプで主に大型ナイフを使うのは、薪を作ること、ブッシュクラフトの2つですが、ナイフワークは以下の3つになります。
1つめは「チョッピング(叩いて先端を尖らせたり、割ったりする)、2つめは「バトニング(ナイフの背を木などで叩いて、薪を割ったりする)」、3つめが「シェイビング(木を削る)」です。この3点において、トラッカーとスクラマを試し、どちらが使いやすいかを検証しました。
1.チョッピング
私がよくやるチョッピングは上の写真のように、木の先端を尖らせるためのものと、下の写真のように、木の表面を平にするために行うものと、両方あります。
まずは先端を尖らせてみましたが、トラッカーのパワーは斧と遜色ありません。斧と同様に刃がやや丸みを帯びたコンベックスグラインド(ハマグリ刃)なので、角度によっては少し、逃げる感じがありますが、圧倒的なパワーにはびっくりしました。斧がいらないほどです。
一方でテラバ・スクラマは、トラッカーと比較すると軽量なのですが、刃長が長いため遠心力が働き、パワーはトラッカーと同等にある印象。
刃の形状は、幅広く刃が付けられたスカンジグラインドで、木に食い込みやすいという印象はありましたが、これも斧に匹敵するパワーがありました。
次に、木の表面を平にするためのチョッピングですが、どちらも素晴らしかったのですが、強いていえば、テラバ・スクラマに分がありました。理由は、刃の長さがトラッカーに比べて長く、真っ直ぐな形状のため、木に当たる部分が長く確保でき、きれいに木の表面を削ることができました。
上の写真のように、チョッピングできる部分がかなり長くなっています。ちなみに、根本は削るように刃の角度が違いますので、チョッピングやバトニング時において、ここは有効部分ではありません。
チョッピングの結論は、僅差でテラバ・スクラマです。先端を尖らせる方は、私の感覚では引き分けでしたが、木を平にする部分では、上述したように有効部分が広いスクラマに分がありました。
2.バトニング
バトニングは結論からいうと、トラッカーの圧勝でした。刃の形状による部分が大きいと思いますが、トラッカーは刃厚6.7mmでコンベックスグラインド、テラバ・スクラマは4.2mmでスカンジグラインドなので、ナイフの刃が木に入ってから、割る力が大きく違いました。
トラッカーは木にナイフが入ったら、弾けるように薪が割れるのに対し、スクラマは何度もバトニングをして、割れる感じでした。
3.シェービング
木を削るという部分でいえば、これは互角。先に述べたように、刃の形状がスカンジとコンベックスという違いがあるので、使い手の慣れに左右される部分が大きいと思います。
両ナイフ共に、根本部分の刃の形状が先端からの部分と変わっており、削りやすいように、角度も変わってます。
トラッカーの刃の形状は、途中から変わっているのが一目瞭然。どちらも非常に削りやすいのですが、形状が違うことによって、トラッカーの方がグリップの根元まで持てること、そして、刃長が短いため、取り回しやすいことで、バランスが良い気がします。ただ、これは、個人差があると思います。
■ほかのキャンパーの声
個人的な意見だけでなく、一緒にテストしてくださったベテランキャンパーの2人の声も最後に記載します。
「どちらかというと、トラッカーですね。ナイフって所有する喜びが大事。バークリバーにはその喜びが大きいです」
「パワーはトラッカー。でも、ブッシュに入った時(今回はテストしてない)のマチェット的な使い方、つまり枝払いなどをした場合、刃長が長いテラバ・スクラマの方が優位かも。どちらもいいナイフなのは間違いないです」
どちらが使いやすいか? 本当に難しい問いでしたが、今回テストした結果だけで考えるならば、僅差でトラッカーに軍配が上がります。ただ、他にも@mahalo_campさんの言葉通りの使用シーンや、まだ試していない使い方で、差が出ることもあるかもしれません。
そして、値段的にはトラッカーが約6万円、テラバ・スクラマが約2万円と、コストパフォーマンスでは大きくテラバ・スクラマに分があります。
今回使ってみて唯一間違いないことは、大型ナイフがあれば、斧やノコギリが担っていた部分の大部分を大型ナイフが代わりにできる、という実感を得たこと。しばらく斧を使わずに、大型ナイフで試してみようという気持ちになりました。
トラッカーは「斧のパワーとナイフの携帯性を併せ持った大型ナイフ」、テラバ・スクラマは「アウトドアフィールドでの万能な小刀」といった印象でした。
刃物は正当な理由なく携帯することは、銃刀法や軽犯罪法で禁止されています
(文・写真/RYU)
RYU/「不自由は自由だ!」をモットーに、不便さの中でいかに快適に過ごせるかを考え、キャンプをしております。 経験、スタイルを問わず、少しでも参考になる情報を発信して行きたいと思います。Instsgramアカウント:@ryu chikazawa、YouTubeアカウント:Ryu outdoor ch #不自由は自由だ #アウトドアをこじ開けよう「初代 @sotoshiru アンバサダー」「@tobuy_official インフルエンサー」
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/372539/
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