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【レビュー】アップルの24インチM1 iMac、明るい色とコンパクトさで「キュート」だが最重要ポイントは「M1」

2020年9月、私たちは27インチiMac(アイマック)のレビューをこのように締めくくった

「ここでの大きな疑問は、iMacの未来がどうなるのか――そしてそれを見るために私たちはどれくらい待たなければならないのか、というものだ。それはもちろん、何年も続くハードウェアのアップグレードに関する疑問だが、Arm(アーム)ベースのシステムが差し迫っていることや、再設計にまつわる噂があることで、それはさらに切迫したものになっている」。

このような状況から、このとき発表されたAppleの最新のオールインワンマシンは全面的に支持できるものではなかった。このような評価をしたのは私たちだけではなかった。それはこのコンピューターにとっての、そしてMac一般にとっての、奇妙なポジションだったのだ。2020年6月のWWDCでは、インテルから自社製チップへの移行という異例の発表が行われたが、その際にはハードウェアは一切用意されていなかった。

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その理由はもっともなものだった。開発者たちが実際の発売前に先立って対策をできるようにと、Appleが考えていたからだ。2005年以来、Macのラインがこのように大きく変化するのは初めてのことで、それはかなり困難なものになると思われた。15年というのは長い時間であり、それだけ多くのレガシーソフトウェアと闘うことになるからだ。すべてのmacOS(マックOS)ソフトウェアが完全に壊れてしまうわけではないが、開発者にとっては、同社が提供するMac Mini(マックミニ)開発者キットを使って、新しいハードウェアに最適化することが、最重要の方法であることは間違いなかった。発表時、新しいAppleシリコンへの完全な移行には2年を要するとAppleは語っていた。

画像クレジット:Apple

2020年11月には、Appleは最初のM1 Macとして、新しいMac Mini(マックミニ)、MacBook Air(マックブックエア)、13インチMacBook Pro(マックブックプロ)を発表した。TechCrunchは3つのシステムのレビューにはそれなりの文字数を費やしたが、最終的にMatthew(マシュー)記者が「Appleの新しいM1搭載MacBookは、Intelのチップを一夜にして陳腐化させるほどの印象的なパフォーマンスの向上を見せた」と簡潔に表現している。

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これは、そのわずか2カ月前に発売されていたオールインワン(iMac)に対して、厳しい印象を与えるものだった。根本的な再設計がしばらく行われていなかったシステムであっただけに、その厳しさもなおさらだ。発売から2カ月が経過したiMac 2020は、その時点ですでに古さを感じさせ始めていた。

画像クレジット:Brian Heater

そして2021年4月になって、Appleは立て続けに行ったハードウェアニュースの中で、新しいiMacを発表した。これこそが、私たちがずっと待ち望んでいたiMacだったのだと思えた。この新システムは、この10年間で最も根本的な再設計が行われたもので、超コンパクトな新フォームファクターの提供、リモートワーク時代の大きな考慮点であるオーディオとビデオの改善とともに、おそらく最も重要なものとして新しいM1チップが導入された。

画像クレジット:Brian Heater

2020年版iMacの最大の特徴は、まあ要するに「大きい」ということだった。パンデミックの間、日々の仕事の多くを27インチiMacで行っていた私は、今回の24インチiMacを前にして、この3インチ分の余剰がどれほど恋しいものかを思い知った。当初私は、20インチを超えたら、画面の大きさの違いは無視できるだろうと考えていたのだが、実際には他のものと同様、慣れるのには時間がかかることがわかった。

もちろん、すぐにわかる良い点もある。これまでのiMacと比較して、新しいデザインがいかにコンパクトであるかに、本当に驚いた。これまでの21.5インチから2.5インチサイズアップしたにもかかわらず、新システムは11.5mm(スタンドを含めると14.7mm)という超薄型を実現している

このシステムを包み込むテーマは「キュート」(cute、カワイイ)だ。この言葉を、私がテクノロジーに当てはめることは滅多にない。こういったときに一般的好まれるのは「クール」(cool、カッコいい)や「スリーク」(sleek、均整美がある)といった言葉だ。しかし、iMac G3の精神を真に受け継ぐものと感じさせるこの製品を表現するのに、これ以外の適切な言葉を見つけることができない。あのカラフルなiMac G3たちは、フォルクスワーゲンのニュービートルによって象徴される世紀末の年に、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏がAppleで2度目の成功を収めるきっかけとなった。

もちろん、最初のiMacが登場してから約四半世紀の間に、スタイルの変化や、当然ながら縮小を続ける部品サイズなどにより、デザイン言語は劇的に進化してきた。フラットパネルのデザインは今世紀初頭に登場し、2012年頃に最新のデザインへと落ち着いた。確かに、その後も多くのアップデートが行われてきたが、Appleのデザインが大きく更新されないまま9年が経過したのはとても長かった。

画像クレジット:Brian Heater

Appleは、これまでの一見インダストリアルなデザインから、より温かみと受容性のあるデザインへと変化させている。ここでは色が大切だ。これは、TechCrunchの(仮想)オフィスで最も頻繁に議論された疑問だった。みんなが、どの色を選ぶかということを知りたがった。私はイエローを選んだ。明るく春らしくていい色だ。正直なところ、思っていた以上にゴールドがかっていて、明るい輝きがある。このシステムを購入するつもりなら、もし近くに行きやすいアップルストアがあれば、実際に訪問することをお勧めしたい。可能なら、実際に目でみることが本当に意味があるような製品なのだ。

そして、なんともすごいのがAppleはそのテーマを徹底していることだ。キーボードも、ケーブルも、かわいらしいパッケージもテーマにマッチしているし(そういう意味では開封するのも楽しい)、デスクトップの壁紙も、そしてOSボタンのようなちょっとした工夫もマッチしている。最後の2つは、当然ながら自分で少しずつ変えていくことができる。しかし、本体やキーボードまでもが、少しばかり強いこだわりを持っている。結局のところ、これはおそらく何年も持ち続けたいと思うようなものなので、決定を下す前に照明と室内装飾の両方を検討する価値がある。デスクトップパソコンの話をしているときに、このようなことを考えようというのは奇妙だとは思うが、まあ、iMacだからね。

同社は、新しいiMacが周囲の環境にどのようにマッチするかを確認するためのAR iOSアプリを提供している。これは巧妙な、そしておそらく有用なアプローチだ。また、このシステムの重さは10ポンド(約4.54kg)以下だ。これは正直なところ、これまでのデスクトップでは考えられなかった軽さだ。デスクトップの大きさを形容するのに「ポータブル」という表現は奇妙だが、特に他のデスクトップシステムと比較してみた場合は、ぴったりな表現かもしれない。少なくとも、必要に応じて部屋から部屋へと移動させる可能性が、まったくないとはいえない。

画像クレジット:Brian Heater

大まかに言えば、フロントデザインはこれまでのiMacと同様だが、ボトムパネルと大きなAppleロゴは、色のついたものに変更されている。ガラス面はスクリーンとそれを縁取る白いベゼルに高さが合わされている。ベゼルと下部のパネルを合わせると、ディスプレイの下にはそれなりの場所がとられているが、ここは内蔵部品や、コンピューターの底部全長にわたって配置されている下向きのスピーカーグリルが収納されている場所だ。一番上部には、新しくアップグレードされた1080pのHDウェブカムが装備されているが、これは全Macを通して初めてのことだ。

これまでのiMacと同様に、本体はスタンドに装着されている。少なくともイエローモデルの場合には、このスタンドはシステムの前面に比べて明らかに暗い色をしている。購入時にVESAマウントオプションを選ぶことができるが、スタンド自身はユーザーが交換できないように設計されている。ヒンジの動作はスムーズだ。ウェブカムのフレームに自分がよく収まるように、システムをしばしば上下に動かしたが、それも簡単に行うことができた。

画像クレジット:Brian Heater

左側には、昔からのお馴染みである3.5mmのヘッドフォンジャックがある。私は、ケーブルを側面や底面から迂回させる必要がある、ジャックの背面への配置よりも、この側面への配置の方が好きだ。

画像クレジット:Brian Heater

スタンドには、特に電源ケーブルを通すための穴が開けられている。Magsafe(マグセーフ)――おっと、マグネット式充電コネクタだった――は、思いがけない登場だった。昔のMacBookで提供されていたもののような簡単な接続解除が目的ではなく、ケーブルを簡単にカチリと固定させることが主眼だ。だが移動されない(少なくとも滅多に移動されない)デスクトップのケーブルにつまずく人は少ないのではないかと思う。

画像クレジット:Brian Heater

電源ケーブルの状況への大きな変化は、もちろん、電源アダプター本体にEthernetポートが追加されたことだ。特に、MacBookに慣れているユーザーには、このアダプターはかなり大きく感じられるだろう。とはいえ、たぶん邪魔にはならないだろう。このことによって、システムの背面からさらに余分なものがなくなり、コンピュータ自体の厚さをより薄くすることができた。有線接続にアクセスできる場合には、ほとんどの人にとってうれしい追加機能だ。

画像クレジット:Brian Heater

一方で、本体のポートそのものの状況は、あまりうれしいものではない。私はポート好きだ。なにしろコンピュータの背面に接続する必要があるものをたくさん持っているのだが、ポートはそれらを接続するのに最も便利な手段だ。エントリーモデルでは、Thunderbolt / USB(サンダーボルト / USB)ポートが2つ搭載されている。これは4つまでアップグレードできる。絶対にそうすべきだ。本心からそう言っておこう。そうしておいて悔やむことはない。

私はワイヤレスキーボードやトラックパッド / マウスをほとんどの時間、接続したままにしている人間だ。それがワイヤレスという目的に反していることはわかっているが、しかし、充電器の心配は、今の私には不要のストレスなのだ。これで2つのポートが必要となる。そこでAVアクセサリーをいくつかつないだら、ほーら!もうポートがないのだ。

1299ドル版(日本では税込15万4800円)のシステムには、Magic Keyboard(マジックキーボード)が同梱されている。これは最近のMagic Keyboardsとほとんど同じものだ。万人向けというわけではないと私は思っている。メカニカルキーボードが好きな人にとっては、触り心地に不満があるかもしれない。しかしそれはMacBookのものよりはステップアップしているし、私がそれを使い慣れているのも事実だ。ベースモデルにはテンキーがついていないが、カラーリングはMac本体とマッチしている。

画像クレジット:Brian Heater

1699ドル(日本では税込19万9800円)以上のモデルでは、デスクトップシステムでは長らく実現されてこなかったTouch ID(タッチID)を搭載したバージョンにアップグレードされる。他のMac(および古いiPhone)と同様に、指紋認証によるログインはほぼ瞬時に行われる。しばらく前からApple Watchを身に付けていれば、それでログインすることもできるようになってはいたが、デスクトップにTouch IDが追加されたのはすばらしいことだ。基本バージョンにはMagic Mouse(マジックマウス)が付属している。トラックパッドへのアップグレードは50ドル(日本では税込5000円)、両方注文すると129ドル(日本では税込1万3800円)だ。私はトラックパッドを気に入っているのでそのアップグレードを行うだろう(両方を必要とする人は多くないと思う)。

画像クレジット:Brian Heater

これまで同様、同社が製品ラインをUSB-Cに移行させてきたたくさんの理由を私は理解している。特に、デバイスの背面にどれだけのスペースが解放されたかを見ればそれは明らかだ。でも私には、2020年版のiMacにあったレガシーなUSB-Aポートが失われたことが残念だ。ともあれ、注文確定の前に、AからCへのUSBアダプターを2つほどカートに入れておくとよいだろう。ともあれ、それがAppleとともに生きるということだ。100%勇気あるのみ。

これは、AppleがiMac Pro(アイマックプロ)の復活に向けてM1ラインを位置づけていることを意味しているのだろうか。これまでもより奇妙なことは起きてきた。もちろん今は、AppleははるかにハイエンドのMac Pro(マックプロ)に注力している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

期待どおり、新しいM1チップがシステムに新たな息吹を吹き込んだ。Geekbench 5のスコアを見てみよう。シングルが1720、マルチコアが7606だ。これは、21.5インチシステムの、平均1200と6400という結果を吹き飛ばすものだ。当然、Rosetta(Intel)版ではそれぞれ1230、5601と落ち込むが、トランスレーションレイヤーを介してもしっかりとした性能を発揮している。しかし、Appleが開発者たちに対して、新しいAppleシリコンへの移行を積極的に呼びかけてきた理由もこれで明らかになった。全体的に、これまでに発表された他の新しいM1システムと同様の成果が得られている。これはMacの未来に向けた、健全ですばらしい飛躍といえるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

自分のワークフローにどの程度の影響があるのかを知りたい場合は、この資料から調べ始めると良いだろう。全体的には、私の日常的なアプリのほとんどは問題ないことがわかった。もちろん、問題も多少はある。Spotify(スポティファイ)とAudacity(オーダシティ)がそれに当てはまる。どちらもパフォーマンスに影響があるものの、全体的にはRosettaを使って動作できている。しかし、使用にはより多くのリソースが必要となる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

Spotifyの場合は、このApple Musicの競合会社が新バージョンにどれだけのリソースを投入したいかという問題だし、Audacityの場合は会社が自由に使えるリソースがどれだけあるかという問題だろう。もしMicrosoft(マイクロソフト)やAdobe(アドビ)のような大手企業でなければ、徐々に不確実性は増えていく。しかし、大手企業のサポートにも問題がある。たとえば私は、Zoom(ズーム)をAppleシリコン版にアップグレードしたのだが、私が使っている「Canon EOS」のウェブカメラソフトのインテルバージョンが動作しないことがわかったので、結局Zoomをダウングレードした。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

これは非常に特殊な問題であるとわかっているし、ワークフローも非常に特殊なものだ。しかし、M1システムがMacの主流になるに従い、最終的には開発者にも選択の余地がなくなる。Appleシリコンに対応していないと、時代遅れになるリスクがあるからだ。このような変化にともなう成長の痛みは避けることはできないが、結果がその痛みを正当化してくれる。AppleシリコンはMacの未来であり、それはまさに、起動が速くスムーズに動く未来なのだ。

私が仕事でビデオを撮るときに使っている外部マイクやカメラの話をすると、Appleチームから怒られるのが目に浮かぶ。なにしろ新しいiMacは、これらの機能に対して久しぶりの大きなアップグレードを行ったからだ。パンデミックによって仕事や会議のやり方が変わり始めていた2020年なら、新しいマイクシステムや、Macに搭載された初の1080p HDカメラを導入するのには最善な時期だっただろう。次善の時期は、もちろん今だ。

Appleは2020年のMacBookではカメラシステムの改善を宣伝していたが、それはチップ上の画像信号処理に関係するものだった。それはホワイトバランスなどの改善にもつながるものの、本当に意味のある映像の改善には、一般にカメラの新しいハードウェアが必要となる。以下の画像を見て欲しい。

画像クレジット:Brian Heater

左が2020 iMac、右が新しいM1 iMacだ。(できれば)私のたわんで半分麻痺したような顔(2020年だよな?)は一瞬忘れて欲しい。画像は夜と昼のものだし、この後、パンデミックの日々を重ねて、多少ましになったからというわけでもない。720pから1080pへのアップグレードによる変化は、画質の違いとしてすぐに現れている。今やテレビ会議は生活の一部になっているので、Appleが全面的にシステムをアップグレードすることを期待していた。

iMac 2020

https://techcrunch.com/wp-content/uploads/2020/08/white-noise-1.m4a

iMac 2021

https://techcrunch.com/wp-content/uploads/2021/05/white-noise.m4a

カメラに加えて、マイクシステムも改良された。2020年11月に旧システムで録音したものと同じ内容のものを再び録音してみた。3つのマイクアレイはより鮮明で、バックグラウンドノイズの多くを取り除き、よりクリアなものとなった。また、6スピーカーのオーディオシステムも改善されている。音楽や映画の再生には適しているものの、リモート会議では相手のマイクの質によってはクリアさに欠けることがあった。オーディオは、私の好みとしては少し低音が強いかもしれない。

全体的に見て、ほとんどの人が日常的に使用するには、今回のオーディオとビデオのアップグレードは十分だと思う。たまにZoom通話をしたり、音楽を聴いたりする程度の用途であれば、問題ないだろう。だが、これらの製品から何を得ようとしているのかにもよるが、適切な外付けカメラ、マイク、スピーカーを買うのは決して悪い投資ではない。

新型iMacは、デスクトップ型オールインワンの基本的な部分で大きな飛躍を遂げていて、長い間改良の必要性が指摘されてきた同社の最も人気のあるシステムの1つに、新たな息吹を吹き込んでいる。繰り返すが、私は失われたポートを懐かしんでいるし、今では2020年のモデルにSDリーダーが搭載されていたことを夢のようだったと思い返している。いずれは27インチのシステムも登場して欲しいと思う(つまりiMac Proのリブートということ。賛成の人いるよね?)。全体的にみて、これまでの他のモデルに比べて、クリエイティブなプロをターゲットにしたシステムではないものの、それでもM1と搭載されたML(機械学習)は、オーディオ、ビデオ、静止画に対するすばらしい編集機能を備えている。

しかし、カラーコーディネイトされたキュートなデザインや、長い間待れていた遠隔会議機能のアップグレードはさておき、これまでのMacBookやMac Miniと同様に、ここでもApple Siliconが主役を果たしている。このシステムの価格は、発表当初、周辺ではちょっとした騒動のもととなった。すべての機能を搭載した最上位レベルでは2628ドル(日本では税込30万1600円)となるが、最小限のモデルは1299ドル(日本では税込15万4800円)なのだ。

最も基本的なレベルとして、3つの主要な構成が選べる。

このシステムは現在予約を受け付けており、今週の金曜日以降顧客の手元に届く予定だ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiMacApple M1Appleシリコンレビュー

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:sako)

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