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カラビナ型でモンキーレンチ付き!CRKT「グッピー」は携帯性抜群のマルチツールだ

【男前マルチツールの世界】

マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。

そんなマルチツールの男前な魅力を紹介する連載の第8回は、小型のカラビナ型マルチツール、CRKT(コロンビアリバーツール)の「Guppie(グッピー)9070」です。携帯性を重視したカラビナ型マルチツールはこれまでにも紹介してきましたが、モンキーレンチまで搭載したモデルは初めて。ナイフでは定評のあるCRKTのマルチツールを紹介しましょう。

*  *  *

CRKTは、1994年にアメリカオレゴン州に設立されたナイフメーカーで、アメリカ各州をはじめ刃物で有名な岐阜県の関にもデザイナーがいます。実用的で高品質なファクトリーナイフとして北米では人気のブランドです。

▲全長91mm(ツール収納時)、重さ116g。ナイフを含む10種のツールを搭載

51mmの小型のブレードを備えた「グッピー」は携帯性を重視したモデル。カラビナにもなる本体は、肉厚で丈夫な2CR13ステンレス鋼材を使用しています。ただ、登山用のカラビナのように体重を支えるような使い方ができるものではなく、あくまでもベルトループなどに引っ掛けて携帯しやすくするための形状です。

 

■ビットにLEDライトも付いている!?

ビットケースが付属していて、本体に空いた穴と磁石で留められています。ビットケースからビットを取り出す時は、モンキーレンチの開閉調整の突起で押し出すカタチになります。他の方法でも取り出せるかもしれませんが、おそらくこれが一番ラクかと。ビットは4種類。プラスが大小、マイナスが大小と一対ずつ。

▲カラビナ形状は、人差し指か中指をカラビナの中に通して使うと握りやすいというメリットも

ビットはカラビナの尾っぽ部分に挿して使います。適合性が良く、マグネット等で固定されるわけではないのですが脱落する心配はなし。ビットは磁性を帯びていて、ビスを拾いやすく便利でした。

ボディが握りやすいのでトルクがかけやすく使いやすいのが特徴ですが、奥にあるネジなどリーチを必要とするような箇所のネジは締めることができません。

そしてビットケースの先端にはLEDライトが付いています。さほど明るいライトではないのですが、手元を照らすには充分。片手にドライバー、もう片方にライトといった使い方ができそうです。

 

▼ビットツールの受け口は6mmヘックス

6mmのボルトナットを締められます。ビットが落ちにくいぐらいなので、精度は良いと思います。6mm限定ですが、バイクのミラーを固定しているネジとかに使われていることが多いイメージがあるなど割とポピュラーなナットなので、使える機会は多いかも。

 

▼意外としっかりしたモンキーレンチ

プライヤーではなくモンキーレンチというのがポイントです。マルチツールには、代表的なツールとしてプライヤーが付いていることが多いのですが、グッピーはコンパクトなボディを保つために、プライヤーではなくモンキーレンチを搭載しています。

最大開口部は13mm。あまり大きなナットには使えませんが、そもそも小さなボディなので、大きなナットの開け締めには不向き。工具や自転車などに使われる大きめのナットならば結構イケます。また、ヘッドが小さいので比較的狭い部分でも使えるのがいいですね。もちろん、トルクレンチのような使い方はできませんが、仮留めには充分なトルクがかけられます。

 

▼細かな作業に適した小さなナイフ

ハイカーボンステンレスのブレードは、片手で開閉できます。ロックシステムはないのですが、構造上、使用中にブレードが閉じてしまうようなことはありません。

刃先が鋭いので細かな作業に適していますね。刃渡りは51mmとかなり短いので、太い物を切ったり削ったりするのは苦手。また直刃なので、ロープなども滑って切りづらいかも。枝を削ったり、キャンプ飯の肉を切り分けたりするには良さそうです。

 

▼マイナスドライバー

ビットツールのマイナスドライバーは大小2個付いており、状況に応じて使い分けられます。マイナスもプラスもビットの精度はなかなか良好。少なくとも普通のトルクで締まっているネジを開け締めするには充分なものかと思います。日常からキャンプ道具のメンテナンスまで、その場で不具合を解決できるのは魅力的です。

 

▼クリップによる携帯性こそが最大の武器

ボディに付けられたベルトクリップは鋼製。丈夫でしなやかな材質です。腰のベルトやリュックのハーネスなどに挟んで携帯できます。また、マネークリップとしても使えます。日本ではあまり馴染みがありませんが、北米ではポピュラーな使い方のようです。

マルチツールはすぐに使える状態にあるからこそ真価を発揮する、そんなメーカーのメッセージを感じられるパーツであり、このマルチツールのコンセプトを象徴する装備のひとつだと思います。

 

■可愛さと実用性を備えたデザイン

手の平に完全に納まるコンパクトさ。日常使用に適したビット類など使いやすさや携帯性を重視したデザインが光ります。コンパクトなボディでいかにしてトルクを掛けられるか、それを追求したデザインがこのお魚型のカラビナなのです。

各ツールの性能は、フルサイズの専用ツールと比べれば難点があるのも確か。でも、すぐに使いたい時に使えることこそが、マルチツールの存在意義であると改めて感じるアイテムです。

>> 山秀

 

>> [連載]男前マルチツールの世界

<取材・文/GOL>

GOL|歯科技工士、ECディレクター、webライターまで幅広く活動しております。指先に伝わるハンドツールの質感や重さ、音などアナログな部分に惹かれて今に至ります。一番好きなのは懐中電灯。

 

 

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