2016年のアメリカ大統領選挙がきっかけで問題視されている、虚偽のニュースの拡散。今では、ファクトチェックサイトなどで、情報の真偽を確認したうえでSNSに投稿する方も多いかと思います。
ただ、ファクトチェックサイトをソースとした訂正は、必ずしも虚偽のニュースの拡散を減らすことにはつながらないようです。
MITの研究者らによる新しい研究からは、Twitter上で誤りを訂正されると、ツイートしたユーザーはさらに多くの誤った情報を投稿することが判明しています。
ボットを作成して虚偽のニュースについて指摘
研究者らはまず、政治的信念を含んだ11の虚偽ニュースの記事のうち、いずれかをツイートした2000人のTwitterユーザーを特定しました。
次に、Twitterのボットアカウントを複数作成。アカウントは3カ月間以上存在し、1000人以上のフォロワーがついていて、一見人間のアカウントのように見えます。
11の虚偽ニュースいずれかに関するツイートを見つけるとボットは、内容が間違っている可能性の言及と、ファクトチェックサイトによる正しい情報へのリンクを掲載した返信を投稿します。
研究者らは、ボットによる返信を受けたTwitterアカウントが、24時間以内に作成したツイートを評価しました。
ツイートの毒性が3%上昇
政治的コンテンツへのリンクを含む7000以上のツイートを評価したところ、党派的な偏りが1%以上、毒性が約3%上昇していたといいます。
興味深いことに、リツイートの質は低下しましたが、一次ツイートの質は低下しませんでした。
悪影響がリツイートにのみ見られることに関して研究者は、“一次ツイートの作成には比較的長い時間を費やし、リツイートに関する決定にはほとんど時間を費やしていない”のが原因と推測。また、公けに誤りを訂正された直後のツイートの質低下について、ばつの悪さなどの社会的要因に起因している可能性を指摘しています。
参照元:Does correcting online falsehoods make matters worse?/ MIT News
(文・山田洋路)
- Original:https://techable.jp/archives/155020
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji