ディスプレイ業界の内情に詳しいDSCC(Display Supply Chain Consultants)の最高経営責任者(CEO)ロス・ヤング氏がTwitterに、新型12.9インチiPad Proに搭載されたミニLEDディスプレイにおいて滲んだような表示(ブルーミング)になる原因は、直下型バックライトの影響だと投稿しました。
従来型の液晶ディスプレイとの違いを説明
ヤング氏は、一部のユーザーからブルーミングが報告されているが、その原因は直下型のミニLEDバックライトを採用し、ローカルディミングを行っている影響だと説明しています。
同氏は、エッジ型バックライトを用いた従来の液晶ディスプレイと直下型のミニLEDバックライトを用いたディスプレイでの表示例と違いを説明しています。
直下型のミニLEDバックライト搭載ディスプレイは、「ハロが発生することがある」「コントラスト比が高い」「”黒”の表現に優れる」と、ヤング氏は説明しています。
The miniLED iPad Pro has 2596 zones so each zone controls around 2155 pixels. In an OLED version, there is pixel level control, so each pixel is its own zone or nearly 5.6M zones/pixels.
— Ross Young (@DSCCRoss) May 25, 2021
新型12.9インチiPad Proに搭載されたミニLEDディスプレイでは、2596カ所のエリアに分割したローカルディミングが行われていますが、ブルーミングを軽減するにはローカルディミングの分割エリアを更に増やすしかないないようです。
ヤング氏が掲載した表示例では、従来型の液晶ディスプレイはエッジ型バックライトの特性で全体が薄っすらと灰色がかっていますが、直下型のミニLEDバックライト搭載ディスプレイでは未点灯の領域と点灯した領域(月と星の部分)がはっきりと区別され、くっきりと見えることが示されています。
ただし、2596カ所のローカルディミングを行っているとしても画素単位では意図した領域だけではなく隣接した領域のバックライトも点灯するため、滲みが生じてしまいます。
有機ELディスプレイの「焼き付き」を懸念しミニLEDを選択?
有機EL(OLED)ディスプレイではこうした現象が生じないようですが、今度は「焼き付き」の懸念が生じるためAppleはミニLEDディスプレイを採用したと、ヤング氏は説明しています。
ソフトウェアアップデートを行い、ローカルディミングの制御方法を調整すればブルーミングを軽減できる可能性があるようですが、根本的に解決するにはOLEDディスプレイのような自発光式ディスプレイに変更するしかないようです。
筆者が購入した新型12.9インチiPad Proは?
ヤング氏が指摘した通り、滲みが発生する原因が新型12.9インチiPad Proに搭載されたミニLEDディスプレイの特性によるものだとすれば、全てのデバイスが影響を受けると考えられます。
幸いというべきか、筆者の眼で「滲み」が気になることはありませんでした。
Source:Ross Young(@DSCCRoss)/Twitter via Wccftech, ブルーミング/Wikipedia
Photo:Appledsign/Facebook
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- Original:https://iphone-mania.jp/news-370367/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania