中国で活動する外国のテック企業にとって、中国におけるユーザーデータの取り扱いはデリケートな問題となっている。Apple(アップル)が中国の顧客データを同国の国有企業のクラウドサービスが管理するサーバーに保管するという動きは、長年にわたって欧米で論争を巻き起こしてきた。最近のニューヨークタイムズ紙の調査では、この設定により中国政府が同国内のAppleユーザーデータに容易にアクセスできる可能性があることが判明したが、Appleは顧客およびそのデータの「安全性を危険にさらしたことはない」と述べている。
中国で多額の収益を上げている数少ない米国テック企業の1つであるTesla(テスラ)も、同様のデータ計画を検討している。電気自動車メーカーの同社は、中国にデータセンターを設立して「データ保存の現地化」を進めており、将来的にはさらにデータ施設を増やす予定であると、マイクロブログプラットフォーム「Weibo(ウェイボー、微博)」の公式アカウントを通じて発表した。中国本土で販売されたTesla車から発生するすべてのデータは、中国内で保管されるとのこと。
Teslaの動きは、カメラやセンサーを搭載した自動車メーカーがデータを収集・利用する方法を規制するために中国政府が2021年5月に発表した新しい草案に対応したものだ。要件の1つには「個人的なデータや重要なデータは、(中国)国内に保存されるべきである」とある。
中国当局がTesla中国の顧客に対してどの程度のデータアクセス権を持っているのかは不明だ。Appleの場合、中国のユーザーのデータを保護する鍵は同社の管理下にあるとしていた。
Teslaは最近開催された上海モーターショーで、ある顧客が同社の欠陥パーツに抗議し広く同情を集めたことで、中国のメディアや世間の支持を失った。また、世界水準のデザインや自律走行技術に多額の投資を行っているNio(ニオ、上海蔚来汽車)やXpeng(シャオペン、小鵬汽車)といった中国国内のライバル企業との競争も激化している。
米国の企業であるTeslaは、同社の2つ目に大きな市場である中国の政府のご機嫌をとりたいと考えているようだ。数日前には同社は、中国のサイバーセキュリティ監視当局が提案した新しい自動車政策について論じる業界シンポジウムに、Baidu(バイドゥ、百度)、Alibaba(アリババ)、そして研究機関やシンクタンクとともに登場した。
中国のインターネット規制当局が定義する自動車が生成する「重要なデータ」には、軍や政府の施設内の交通状況、政府が公開している以上の測量や地図データ、充電グリッドの状況、顔、音声、車のナンバープレート情報など、国家安全保障や公共の利益に影響を与えると判断されるデータが含まれる。
この規則では、自動車サービス事業者に対して、デフォルトでユーザーを追跡しないこと、さらに収集されるデータの種類とその理由をユーザーに通知することが求められる。また、データが収集された場合、情報は匿名化され「最小限の期間」のみ保存されるべきであるとある。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla、中国
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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)