Box(ボックス)の経営陣は2020年以降、アクティビストインベスター(物言う投資家)であるStarboard Value(スターボード・バリュー)との交渉を続けながら、他のすべて人々と同様、新型コロナウイルス感染流行の時期を戦い抜いた。同社が米国時間5月27日に発表した財務諸表によると、2022年度第1四半期は、このクラウドコンテンツマネジメント企業にとって、全体的に良好な四半期となったようだ。
収益は前年同期比10%増の2億240万ドル(約221億9000万円)で、2億ドルから2億100万ドル(約219億3000万〜220億4000万円)というBoxの予測を上回った。Yahoo Finance(ヤフーファイナンス)によると、アナリストの意見は2億50万ドル(約219億9000万円)だったので、市場の予想も上回ったことになる。
Boxのようなクラウド企業にとって好ましい状況が続いているにもかかわらず、同社はこの1年間、強い逆風にさらされてきた。会社の方向性とリーダーシップをめぐり、取締役会におけるStarboard Valueとの争いに直面している同社にとって、このような報告は非常に必要なものだった。
共同創業者でCEOを務めるAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏は、この業績報告が良い傾向の始まりとなることを期待している。「現在はIT投資に適した経済状況になっていると思います。さらに、ハイブリッドワークのトレンドや、デジタルトランスフォーメーションの長期的なトレンドは、当社の戦略を大いに後押しするものだと私は思います」と、同氏は決算後のTechCrunchによるインタビューで語っている。
Boxは、2021年2月に電子署名のスタートアップ企業であるSignRequest(サインリクエスト)を買収したが、実際にその機能をプラットフォームに組み込むのは2021年夏以降になる予定だという。レヴィ氏によると、緩やかな収益の成長を支えているのは、コンテンツセキュリティ製品であるBox Shield(ボックス・シールド)や、顧客がBox上でワークフローをカスタマイズしたりアプリケーションを構築したりすることができるプラットフォームツールだという。
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また、同社は大口顧客の獲得にも成功している。レヴィ氏によると、10万ドル(約1096万円)以上を支払っている顧客の数は前年同期に比べて約50%増加したとのこと。Boxの成長戦略の1つは、プラットフォームを拡大し、時間をかけて追加のプラットフォームサービスをアップセルすることだったが、この数字はその努力が実を結んでいることを示している。
レヴィ氏は、M&Aのカードについては手の内を見せようとしなかったものの、もし買収によってさらなる成長を促進する適切な機会が訪れれば、同氏は確実にさらなる人為的な成長を強く検討すると語った。「M&Aについては、今後も慎重に検討していくつもりです。金額と、我々のロードマップを加速させる力、あるいは現在参入していない市場の一部に参入する力になるという点において、我々が魅力的だと思うM&Aだけを行うつもりです」と、レヴィ氏は語った。
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この第1四半期の成長率はわずかに加速したが、これは同社の業績を連続的に見た場合にのみ言えることだ。簡単に言えば、今回Boxが報告した2022年度第1四半期の10%成長は、2021年度第4四半期の8%成長よりは良かったが、前年同期の13%成長よりは悪かったということになる。
しかし、Boxの場合は、一般的な慣例に基づいて判断するのではなく、四半期ごとに数字を見て、期待される加速の兆候を探ることにしたい。この基準では、Boxは自らの目標を達成したことになる。
投資家の反応はどうだったか? 時間外の同社の株価は、急落したり回復したりとさまざまだった。市場はこの結果に混乱しているようだ。決算報告書を吟味して、適度に加速しているBoxの成長が、同社の株式を保有するに値するほど魅力的なものか、あるいは逆に、同社の成長が、同社にもっと劇的な変化を求めている外部の人々を退けるほど、まだ十分に発展していないかを判断しているのだろう。
Boxの業績を俯瞰すると、成長率以外にも同社が事業を順調に導いていることがわかる。営業利益率(GAAPベースおよび非GAAPベース)は改善し、現金創出も回復している。
おそらく最も重要なことは、Boxが業績見通しを「8億4000万ドル(約921億円)から8億4800万ドル(約930億円)の範囲」から「8億4500万ドル(約927億円)から8億5300万ドル(約936億円)の範囲」に引き上げたことだ。これは大きいだろうか?いや、そうでもない。目標の下限値と上限値の両方とも、その差は500万ドル(約6億円)。しかし、目を凝らしてみると、同社の第4四半期から第1四半期にかけての収益の加速と業績見通しの引き上げは、業績回復の早期指標となる可能性がある。
レヴィ氏は、2020年がBoxにとって厳しい年であったことを認めている。「2020年は、マクロ環境やコロナ禍など、さまざまな要素が絡み合った複雑な1年でした」と、同氏は語る。しかし、CEOは、自分たちの組織が将来の成長に向けて準備が整っていると、引き続き考えている。
果たしてBoxは「物言う株主」を満足させるだけの業績を上げることができるだろうか?レヴィ氏は、今回のような四半期を重ねることができれば、Starboard Valueを食い止めることができると考えている。「次の3四半期を見れば、収益を上げる力、採算性を上げる力がわかると思います。非常に好調な業績報告となり、現在の事業の勢いを示すものになると我々は確信しています」と、レヴィ氏は語った。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Box、決算発表、クラウドストレージ
画像クレジット:TechCrunch
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(文:Ron Miller, Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)