香港のCounterpoint Technology Market Researchは、スマートフォン向けAP(アプリケーション・プロセッサ)およびSoC(システム・オン・チップ)に関する最新調査を発表。世界的な半導体不足の影響を受けながらも、製造プロセスの世代移行により台湾・MediaTek、米・Qualcomm、米・Appleなど主要サプライの競争が激化しているようです。
半導体の供給不足が大きく影響
コロナ禍でコンピューター機器の需要が増加したことにより、半導体不足が深刻化しています。MediaTekとQualcommはモバイルデバイスの核となる半導体供給の多くを台湾・TSMCに依存しており、両者による製造キャパシティの取り合いが熾烈を極めました。MediaTekは昨年よりTSMCの製造キャパシティを十分に確保している状況で、5G分野で急成長をみせるOPPO・vivo・Xiaomiを筆頭にメーカー向け出荷を伸ばしています。その分だけ半導体供給の制約を受けたQualcommは、2021年上半期のチップセット製造において苦戦を強いられる結果となりました。
5Gチップセット市場を支配するQualcomm
一方で、5Gチップセット市場においてはQualcommが依然として高いシェアを維持しています。リサーチアナリストのParv Sharma氏は、5Gの高級端末や旗艦機に多く搭載される最先端ノードの十分な供給を確保すれば現状を克服し得ると分析。調達先を多角化するか、あるいはApple向けに確保されていた製造キャパシティを切り崩しにかかるか、今後の動向に注目すべきとしました。また、リサーチディレクターのDale Gai氏は、2025年までにスマートフォン向けAP/SoCの6割が5nm以下の最先端ノードで製造されると予測しています。最先端プロセスについてはAppleが業界をリードしている状況ですが、Qualcomm、MediaTekともに今年から来年にかけて4nm・5nmプロセスの割合を増やすとみられており、3社の競争はこれまで以上に激しくなりそうです。
(文・九条ハル)
- Original:https://techable.jp/archives/156003
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:九条ハル