AmazonのFireタブレット最上位となる「Fire HD 10」シリーズ最新モデルが5月26日に発売されました。10.1インチのフルHDディスプレイを搭載するモデルで、最上位と言っても価格は1万5800円〜という安さです。
3GBメモリ搭載の「Fire HD 10」と、4GBメモリ搭載でワイヤレス充電対応の「Fire HD 10 Plus」の2モデルが用意され、それぞれ32GBモデルと64GBモデルから選べます。それぞれの価格は以下の通り。
Fire HD 10(32GB):1万5980円
Fire HD 10(64GB):1万9980円
Fire HD 10 Plus(32GB):1万8980円
Fire HD 10 Plus(64GB):2万2980円
今回は、キーボード付きカバーやワイヤレス充電スタンドを一緒に購入できるセットも用意されています。使い方によってはセットで買ったほうが得になるかもしれません。
■使用感はAndroidタブレットと同等
Fireタブレットは、Androidをベースとする「Fire OS」を搭載。「Kindle」や「プライム・ビデオ」など、Amazonのコンテンツを使いやすいように設計されていますが、基本的な操作性はAndroidに近く、フツーのタブレットとして使えます。ただし、Google Playストアは利用できず、アプリはAmazonの「プレイストア」からダウンロードします。
一般的にタブレットでよく使われるアプリは揃っている印象で「Netflix」や「Hulu」もインストール可能。「radiko」も聴けますし、「zoom」も使えます。筆者が個人的に気になったのは「YouTube」と「TVer」のアプリが配信されていないこと。ただし、「YouTube」はブラウザで見られます。「TVer」は専用アプリでしか再生できないので、今後の対応を期待したいところ。どうしても使いたいアプリがある場合は、あらかじめ対応を確認したほうがいいでしょう。
2.0GHzのオクタコアCPUを搭載し、RAM(メモリ)はFire HD 10が3GBで、Fire HD 10 Plusが4GB。タッチレスポンスやアプリの動作は、普段使いには困らないという印象。使い方によるので「良い」とも「悪い」とも言い切れないのがもどかしいところ。Fire HD 10とFire HD 10 Plusの使用感にも大差はありませんでした。ただし、わずか3000円の差なので、いろいろなことに使ってみたいと考えている人はPlusを選ぶことをおすすめします。
10.1インチは片手でも持てますが、長く持ち続けるのはつらいサイズ。電子書籍を読むにはやや大きく感じましたが、雑誌の電子版を読むにはちょうどいい印象。映画を観るにも大きすぎず、小さすぎず、ちょうどいいサイズ感でしょう。横向きにして、上部左右にスピーカーがありますが、音質はいまひとつ。迫力のあるサウンドで楽しみたい人は、お気に入りのイヤホンで聴いたほうがいいかも。
バッテリー容量は公開されておらず、スペックシートには「最大12時間」と記されています。フル充電の状態から映画を1時間再生したところ、バッテリーは7%減りました。使い方にもよりますが、不便を感じない程度には持ちそうです。
■カバー付きキーボードを付けるとPCライクに使える
Fire HD 10/HD 10 Plusには、別売のキーボード付きカバーも用意されています。このキーボード付きカバーと「Microsoft 365 Personal」1年版をセットにした「エッセンシャルセット」は、それぞれを別々に買うよりも8999円安く買えます。
Fire HD 10(32GB)エッセンシャルセット:2万4980円
Fire HD 10(64GB)エッセンシャルセット:2万8980円
Fire HD 10 Plus(32GB)エッセンシャルセット:2万7980円
Fire HD 10 Plus(64GB)エッセンシャルセット:3万1980円
キーボード付きカバーは、タブレットに装着してPCライクに使えることはもちろん、キーボード部とカバー部を分離することも可能。キーボードを使わない時は、持ちやすい軽さ・薄さにできます。また、Fire HD Plusはカバーを付けたままでワイヤレス充電スタンドに載せて充電できます。
キーボードは日本語対応で、確かな押下感が得られるパンダグラフ式。キーストロークが深めで、筆者はスピーディーにタイピングできました。取材や打ち合わせのメモを取ることはもちろん、長い原稿を書くこともできそうです。ただし、プラスチック感が強くキーを打つ時のカチカチ音がやや大きめなので、好まない人もいるかもしれません。
キーボードには、ワンタッチで「メール」や「ファイル」にアクセスできるショートカットキーがあり、それらを別のアプリを起動するようにカスタマイズすることも可能。また、Fn+Sを同時に押すと、新機能の2画面表示に切り替えられます。ブラウザとメモを同時に起動して、Webページからコピーしたテキストをメモに貼り付けたり、メールとブラウザを同時に起動して、メールにあるURLをタップしてメールを開いたままでそのWebページを確認できたりと、結構便利に使えます。
カバー付きキーボードを装着した状態だと2メガピクセルのカメラがディスプレイの上に位置するので、ビデオ通話にも好都合。お互いの顔を見ながらのチャットもやりやすそうです。
■ワイヤレス充電スタンドがあればスマートディスプレイに!
上位モデルのFire HD 10 Plusは、ワイヤレス充電に対応。このモデル専用のワイヤレス充電スタンドが用意されていて、価格は5980円。ただし、本体とのセットで買うと1980円割引されます。
Fire HD 10 Plus(32GB)ワイヤレス充電スタンド付き:2万2980円
Fire HD 10 Plus(64GB)ワイヤレス充電スタンド付き:2万6980円
さらに、エッセンシャルセットにワイヤレス充電スタンドを付けた “全部入り” なら1万979円も安くなります。
Fire HD 10 Plus(32GB)エッセンシャルセット+ワイヤレス充電スタンド付き:3万1980円
Fire HD 10 Plus(64GB)エッセンシャルセット+ワイヤレス充電スタンド付き:3万5980円
充電スタンドはダークグレイのファブリック調で、Fire HD 10 Plusのデザインにもフィット。横向き、縦向きのどちらで置いても充電できるので、充電しながら電子書籍を読んだり、映画を観たりするにも便利。
そして筆者がFire HD 10 Plusの最大の優位性と感じたのが、スマートディスプレイとして使えることです。Fireタブレットは、Amazonの音声エージェント機能「Alexa」を搭載していて、ワイヤレス充電スタンドに置いて「Showモード」に設定すると、Amazonのスマートディスプレイ「Echo Show」と同じように使えるんです。「Alexa、今日の天気は?」「最近ニュースを教えて」「音楽を聞かせて」など、話しかけるだけでいろいろなことができる便利さを体験できます。
スマートスピーカーやスマートディスプレイを持っていない人は、ワイヤレス充電スタンド付きのセットの購入を検討することをおすすめします。
■多くの人が「これでいいじゃん」と思えるかも…
日本市場で最も売れているタブレットは、アップルのiPadです。現行モデルで最も安いモデルはiPad(32GB Wi-Fiモデル)で3万8280円。最も高い12.9インチiPad Pro(2TB Wi-Fi+Cellularモデル)は、なんと27万9800円もします。一方、新しいFire HD 10は、タブレット単体なら1万円台で買えて、キーボードやワイヤレス充電スタンドを付けても2万円台で収まります。もちろんiPadと比べると基本性能は低く、対応アプリが少ないという弱点がありますが、タブレットをどう使うかは人ぞれぞれ。使い方によっては、Fire HD 10で事足りるはず。
iPad Proを買ったものの十分に使いこなせなかった経験を持つ筆者がFire HD 10を使った率直な感想は、「これでいいじゃん」ということ。わずか1万5980円のタブレットで、映画を観られて、電子書籍を読めて、ときどきノートPCの代わりに使えたりと、筆者の用途を十分に果たしてくれています。Fire HD 10は決して万人向けのタブレットではありませんが、用途次第では、あなたも「これでいいじゃん」と思えるかもしれません。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/377826/
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