セガは6月15日、公式ツイッターアカウントで「サインコサインタンジェント、虚数i……いつ使うんだと思ったあなた。じつは数学は、ゲーム業界を根から支える重要な役割を担っているんです」とツイート。セガ社内勉強会用の数学資料「基礎線形代数講座」約150ページを無料公開したと発表した。
ゲームでは、膝や肩など、3次元の回転を4次元を使って表現するクォータニオン計算を使用することが多いため、ゲーム開発者はよく使う数学なのですが、仕組み理解のため社内勉強会が開かれたのでした。
「大人の学び直し」してみたい方、ぜひ→https://t.co/OEHDwlJ9Vz #segatechblog #セガ技術ブログ pic.twitter.com/CHb9sqE3pi
— セガ公式アカウント (@SEGA_OFFICIAL) June 15, 2021
この勉強会は、「高校数学の超駆け足での復習」から始めて「大学初年度で学ぶ線形代数の基礎」を学び直し、「応用としての3次元回転の表現の基礎の理解」をすることを目的としている。
線形代数は3DCGの基礎であり、ゲーム開発には欠かせない。しかし、SEGA TECH BLOGによれば、「ゲーム開発においても分業化・専業化の流れは著しく、ゲームアプリケーション(みなさんに遊んで頂いているゲームそのもの)を開発する際、いわゆるゲームエンジンや各種ライブラリを用いるのが当たり前になっています」という。つまり、今やエンジンやライブラリーを使えば高等数学の知識がなくてもゲームは作れてしまうということ。ところが、数学の知識がないと、エンジンやライブラリーをカスタマイズして使いたいときに行き詰まってしまう。当然、エンジンやライブラリーを開発する人や、もっと高度なプログラムを組みたいと考える人には、どうしても必要となる。
この資料の構成は次のとおり。
第1講 イントロダクション
第2講 初等関数
第3講 ベクトル
第4講 行列 I:連立一次方程式
第5講 行列 II:線形変換
第6講 行列 III:固有値・対角化
第7講 回転の表現 I
第8講 回転の表現 II
この資料の「まえがきに代えて」の最後には、こんなメッセージが添えられている。
「学生の方へ、このような異端の書(笑)で学ぼうという奇特な方がもし居たら、言うまでもないことですが、本書を読んだあと講義で指定されている教科書を改めて読み直してみましょう。きっと今まで以上に理解が深まるのではないかと思います。未来を担う皆さんにとって、本書が少しでもお役に立てれば幸甚です」
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