ナイジェリア最大のテレコムプロバイダーであるMTNの加入者は、西アフリカの同国でまもなくサービス停止に直面する可能性があると、通知を見た一部のジャーナリストや報道機関が伝えている。
ロイター通信などは、カスタマーサービス担当者からの警告を引用して、ナイジェリアでの治安の悪化がMTNのサービスに支障をきたす可能性が高いと伝えた。2021年を通してナイジェリアの人々は、誘拐、農民と牧畜民の衝突、学生の大量誘拐、武装強盗などと闘うことを強いられている。
「残念ながら、ナイジェリアの各地で治安が悪化しているため、今後数日間、お客様の組織へのサービス提供に影響が出る可能性があることをお知らせします。これは、場合によっては当社のテクニカルサポートチームがお客様のサイトに行けず、障害管理における最適ターンアラウンドタイムをできるだけ早く達成できない可能性があることを意味しています」とMTNはメッセージの中で述べたと報じられている。
MTNは現時点でコメントの求めに応じていない。
南アフリカのMTN Groupの子会社であるMTN Nigeriaが2021年第1四半期の財務報告書を発表した際、データ収入は前年同期比43%増の1060億N(約284億円)となり、総収入の28%に寄与するなど、力強い成長を示していた。
データ収入の増加は、有料データサブスクライバー数が前年同期比21%増の3250万人、スマートフォン普及率が前年同期比27%増の3630万人となったことなどに後押されている。これらの数字は、ナイジェリアにおけるMTNの優位性を反映している。ナイジェリア通信委員会(NCC、Nigerian Communications Commission)のデータによると、MTNはナイジェリアのインターネット加入者の43%、携帯電話加入者の38%を占めている。
ナイジェリアの他の通信事業者と同様に、MTNのサービスに関する体験談は、良いかまたは標準以下、と2分される。しかし、TechCrunchの取材に応じたナイジェリアの人々は、政府がTwitter(ツイッター)を禁止する決定を下した後のインターネット規制への懸念とともに、この数週間、後者を目の当たりにしてきた。
理由は異なるものの、現地メディアの報道もロイターの報道を裏付けるものとなっている。ナイジェリアの通信会社の幹部社員で構成されるPTECSSAN(Private Telecommunications and Communications Senior Staff Association of Nigeria)という組合は「恣意的な労働者の解雇と非正規雇用化」に抗議して、6月16日から3日間のスト権ストに入ることを発表した。
PTECSSANは声明の中で、いくつかの理由を挙げてナイジェリアの通信会社各社を非難している。第一に、結社の自由と労働者の組織化権の侵害、組合員の犠牲、そして低賃金と差別的報酬。また、通信事業者らが外国人枠を乱用し、脅迫行為を行い、従業員に嫌がらせや暴言を吐くなどの反労働行為を行っていると主張している。
TechCrunchが問い合わせたMTNのカスタマーケア担当者数人は、上記のメッセージを知らないと述べるか、否定した。「そのようなネットワーク不具合が起きる予定はありません」と1人はいった。別の担当者は「今後数日間のサービス停止に関する情報はありませんので、その旨ご了承ください。何か情報が入りましたら、できるだけ早くお客様にメッセージでお知らせします」と答えた。
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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ナイジェリア、労働組合
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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Aya Nakazato)