TransferWise(トランスファーワイズ)として知られていたフィンテック企業Wise(ワイズ)はロンドン証券取引所に上場する計画を明らかにした。従来のIPOルートは取らず、直接上場で公開する。ロンドン証券取引所で最大の直接上場となる見込みだ。
Wiseのことを知らない人のために説明すると、同社はクロスボーダーの送金を専門としている。あなたが別の国に暮らしている人に送金する場合、従来のリテールバンクは為替手数料や外国取引手数料などかなりの手数料を取る。
もちろん、Western UnionやMoneyGramなどよく知られている別の選択肢もある。そうした企業は便利なオンランプとオフランプの手法を提供しているが、それでもWiseより手数料がかかる。
Wiseではユーザーはまず、銀行振替やデビットカードを使ってWiseアカウントに送金する。すると別の通貨で受け取り手の銀行口座に送金できるようになる。固定手数料や変動手数料に関し、Wiseは可能な限り透明かつ正直であろうとしている。
2011年創業のWiseはかなりの成長を遂げてきた。直近の会計年度では、売上高は前年の4億2200万ドル(約465億円)から5億8600万ドル(約646億円)に増えた。税引前利益は5700万ドル(約63億円)だ。同社によると、2017年から黒字となっている。
同社は毎月、約70億ドル(約7718億円)のクロスボーダー取引を行う顧客1000万人を抱える。直近では、新しいプロダクトを追加して売上を多様化させた。
例えば顧客はWiseアカウントにお金を56の通貨で保有できる。10の異なる通貨、そしてデビットカードで口座番号が発行される。この機能は、他国から支払いを受けたいフリーランサーや1、2年海外で過ごすという人にとって特に便利だ。
同社はWise BusinessでB2C以外にも事業を拡大してきた。そうした口座は通常のWise口座と少し似ているが、複数の人が使うことができ、また別の機能も持っている。Wiseはまた、MonzoやN26などサードパーティのサービスでのクロスボーダー取引も動かしている。
直接上場の選択は興味深い動きだ。米国ではSpotify、Coinbase、Slackなど数社が直接上場を行った。銀行がサポートしない直接上場を選択するというのは、投資家から十分な関心を集められると自信があることを意味する。
また、直接上場では追加の資金を調達できないため、Wiseがさらなる資金を必要としていないことにもなる。
他の多くのテック企業と同様、Wiseは2種類の株式を発行するデュアル・クラス・ストラクチャーを採用する計画だ。これによりWiseの既存の株主はしばらくの間、より多くの株式あたりの議決権を得ることになる。Wiseの直接上場は欧州のフィンテックシーン、そして英国のテックエコシステムにとって重要なものになる。投資家がWiseをどうとらえるか、見てみよう。
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カテゴリー:フィンテック
タグ:Wise、送金、ロンドン、IPO
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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi)