あるツイートが予想外に話題になると、それに反対するツイートが大量に送られてくるなど、ユーザーにとって望ましくない注目を集める(炎上する)ことがある。この対策として、Twitter(ツイッター)は、プラットフォーム上で攻撃を受けるユーザーをサポートするための新しい機能の追加を検討している。
人種差別的なツイートも大きな問題になっている。
TwitterのプライバシーエンジニアであるDominic Camozzi(ドミニク・カモッツィ)氏によると、同社は、ユーザーが「望まない注目を管理」できるように、ユーザーによる@mention機能のコントロールを可能にすることを検討している。
Twitterの通知システムでは、ユーザーがツイートに直接タグ付けされる。つまりツイートの内容が注目されると通知が届く。ツイートの内容が良かったり、おもしろかったりする場合は問題ないが、ユーザーを罵倒するような内容の場合、瞬く間にネット上のいじめ(攻撃)が拡大することになる。
Twitterは、今回の新しい攻撃防止プランを「初期のコンセプト」として、今後の検討のためにユーザーからのフィードバックを奨励している。
Sometimes you want to talk, and sometimes you just … don't.
Check out these early concepts that could help control unwanted attention on Twitter.
Feedback, especially at this beginning stage, is invited (and wanted)! pic.twitter.com/6SpzqiwFlL
— Dominic Camozzi (@_dcrc_) June 14, 2021
検討中の機能には、ユーザーが自分自身を「unmention(アンメンション)」できるようにすることなどが挙げられる。これは、他のユーザーのツイートから自分の名前を削除して、そのツイートにタグ付けされないようにする機能で、そのツイートが自分のメンションフィードに表示されることもなくなる。
また、フォローしていないユーザーが自分をメンションした場合には「望ましくない状況が発生する可能性がある」という特別な通知を表示し、より強力なメンション削除設定にしてもらうことも検討している。
Twitterは、ユーザーが自分をアンメンションした際に、他のユーザーが元ツイートのユーザーを再度タグ付けする機能を停止することを想定しているが、@mention機能を悪用するフォロー外のユーザーに対する強力なツールになりそうだ。
さらに、Twitterは、特定のアカウントによるメンションを完全に禁止する設定を追加することも検討している。この設定が有名人にも適用できたなら、プラットフォームを利用していたトランプ前大統領にはかなり便利な機能だっただろう。
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Twitterは、一定の期間(1日、3日間、7日間)、どのユーザーも自分に@mentionできないようにするスイッチの追加も検討しているという。基本的には「完全な静穏」モードだ。
今回の検討では、Twitterは「状況がさらに炎上するのを防ぐ」ことで、ユーザーをサポートし、協力できるような変更を行いたいと考えている。例えば多くのメンションを受けているときにユーザーに通知を行い、問題のあるツイートを簡単に確認して、1日(またはそれ以上)、すべてのメンションをブロックするなど自分を守れるように設定を変更できるようにすることが含まれる。
ネット上の「荒らし」がTwitterユーザーを標的とした攻撃に同調してさらに攻撃することはよく知られているが、攻撃の対象となっているユーザーは、見知らぬ大勢のユーザーからの攻撃から身を守るために、大変な苦労をすることになる。
攻撃してくるアカウントを個別にブロックしたり、特定のツイートをミュートしたりしても、不適切なアカウントやツイートが数百~数千に及ぶ場合には到底太刀打ちできない。
現在のところ、Twitterがカモッツィ氏のスレッドで紹介されている機能をそのまま実装するかどうかは不明である。
Twitterの広報担当者は、このコンセプトが「デザインモック」であり「まだデザインと研究の初期段階」であるとし「初期段階とはいえ、コミュニティからのフィードバックに期待している」と続ける。
同社は、これらの機能によってサービスが複雑になり過ぎないかを検討する必要があるだろう。例えば自動的にスケジュールされたツイートに「すべての言及をブロック」の設定をオンしたユーザーのTwitterハンドルが含まれていた場合、そのツイートはどうなるのか?ツイートは公開されないのか、それとも、そのユーザーのTwitterハンドルが消える(すなわちコンテキストが不明瞭になる)のか?
とはいえ、これらは些細なことで、Twitterが、ユーザーがネット上の攻撃から身を守るために使えるツール(ブロック、ミュート、ツイートの通報など、既存のかなり貧相な攻撃防止機能を超えるツール)の実用性を高める努力をしていることは非常に喜ばしいことだ。
他のツイートに同調した荒らしは、長年にわたってTwitterのプラットフォーム上の望ましくない「特徴」で、Twitterは、ハラスメントや攻撃的な使用を防ぐために十分な対策を講じていないと批判されている。
2021年半ばになっても、Twitterが、炎上を防ぐためのより優れたツールを模索しているという事実は、プラットフォームから攻撃者を排除できていないことを暗黙のうちに認めていることに他ならない。Twitterは再三の要請にもかかわらず、行動を起こさなかったのだ。
Googleで「* leaves Twitter after abuse」(炎上後にツイートを止めた *)と検索すると、著名なTwitterユーザーが、相次ぐ攻撃に対応しきれずにTwitterを辞めた例が数多くヒットするが、人種差別的なツイートで攻撃を対象となったサッカー選手など、2021年だけでも数件の例がある。
2013年にまで遡る例もあり、Twitterが攻撃への対応に何度も失敗し、ユーザーが10年以上も攻撃に苦しめられている(あるいはアカウントを完全に削除してしまった)ことも明らかになっている。
最近では、10年にもわたってTwitterを利用してきたモデルのChrissy Teigen(クリッシー・テイゲン)が、3月にアカウントを削除したが、最後のツイートには「深く傷ついた」「もはやTwitterは私にとってマイナスにしかならない」と書かれていた。
ソーシャルメディア上の人種差別に反対するキャンペーンを行っている英国のサッカー選手もいる。このキャンペーンでは、Twitterのような企業に人種差別を行っているユーザーへの対応を強く求めるために、ボイコットを行った。
At least 70 racial slurs on my social accounts counted so far. For those working to make me feel any worse than I already do, good luck trying
— Marcus Rashford MBE (@MarcusRashford) May 26, 2021
ソーシャルメディアを利用している有名人は、一般的なユーザーに比べて、ネット上で攻撃的な荒らしに遭う可能性が高いかもしれない。しかしこれは有名人に限られた問題ではない。例えばTwitterでは人種差別的な発言が依然として問題となっている。前述の、Googleの検索で出てくる、有名人が攻撃でTwitterを止めてしまった例は、氷山の一角に過ぎない。
熱心にツイートしていたユーザーが絶望してTwitterの利用を止めざるを得ない状況になれば、Twitterのビジネスにとって最悪の事態となることはいうまでもない。
同社は問題を抱えていることを理解している。2018年の時点で、同社はプラットフォーム上の「対話の健全性」を向上させる方法を模索しているとしており、さらに最近では、暴言や脅迫、差別的言動に対するポリシーと強制力を拡大している。
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また、ユーザーが記事を直接リツイートする前に記事を読むように促すなど、ユーザーの再考を求め、怒りを抑えようとする戦略的な工夫を加えている。
特に注目すべきは、サービスを悪用した著名人を追放したことだろう。2021年の初めには、ついにトランプ前大統領のアカウントが停止された。
他にも多くの悪名高い攻撃者がここ数年で追放されたが、多くの場合、Twitterは憎悪に満ちた攻撃に対するポリシーを迅速かつ強力に適用することを最後まで怠り、プラットフォームで同調して他者を攻撃することを許してしまい、自分たちが起こした炎上にほくそ笑む攻撃者を逃がしてしまった。
Twitterは、長期にわたり自社のプラットフォームの悪用に適切に対処することができず、自らの不始末によって有害な遺産を作ってしまった。そして、本来ならばプラットフォームの広報的な役割を担うはずだった著名なユーザーから、望まない注目を浴び続けている。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter、SNS
画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch
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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)