消費者のウェルビーイングやマインドフルネスを支援するモバイルアプリを投資家に売り込むスタートアップ企業が増えているが、中にはユーザーが周囲の世界から完全に切り離されるような、より没入感のある方法を模索しているスタートアップもある。
Tripp(トリップ)は、没入型のリラクゼーションエクササイズを開発している企業だ。それはガイド付き瞑想アプリで体験できるような種類のものと、より自由な形の体験を融合させることを目指したもので、ユーザーはVRヘッドセットの中で、フラクタル図形や光る木、惑星が目の前を通り過ぎるのを見ながら、日常から離れて自分の思考を探求することができる。
その社名が示すように、このスタートアップ企業は、幻覚剤を使わずに、サイケデリックトリップの際に感じるものを模倣した視覚と聴覚の体験を作り出そうとしている。
「幻覚剤を摂取することに抵抗を感じる多くの人にとって、これはより穏便な方法でサイケデリック体験の一部を提供できる、摩擦の少ない代替手段です」と、同社のNanea Reeves(ナネア・リーブス)CEOはTechCrunchに語った。「このアイデアは、マインドフルネスとビデオゲームの仕組みを組み合わせることで、人々の感覚を実際にハックできないかと発想したものです」。
Trippによると、同社はVine Ventures(ヴァイン・ベンチャーズ)とMayfield(メイフィールド)が主導し、Integrated(インテグレーテッド)などが参加した投資ラウンドで、1100万ドル(約12億2000万円)の資金調達を完了したという。これで同社が調達した資金の総額は1500万ドル(約16億6000万円)となった。
近年、VR関連のスタートアップ企業の多くは、投資家の熱い支持を得ることに苦労している。主なテックプラットフォームが次々とバーチャルリアリティへの取り組みを終了させ、今やFacebook(フェイスブック)とソニーだけがその分野の提供者として残ったが、彼らも依然として収益化に苦心している。その一方で、多くのVRスタートアップ企業が取り組みを続けているものの、5年前にこの分野の企業を支援していた多くの投資家は、より幅広い用途が期待できるコンピュータビジョンやゲームのスタートアップ企業に目を向けている。
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リーブズ氏によると、新型コロナウイルスの影響から、人々のマインドフルネスやメンタルヘルスに対する意識が高まったため、投資家もこの分野のプロジェクトを積極的に支援するようになったという。
Trippは、Oculus(オキュラス)とPlayStation VR(プレイステーションVR)の両方のストアにアプリを配信しており、月額4.99ドル(約550円)のサブスクリプションという形で利用できる。
同社はさまざまなガイド付き体験を提供しているが、ユーザーは「Tripp composer」を使って独自のビジュアルフローを構築することもできる。
カスタマイズだけでなく、Trippの大きな売りの1つは、消費者により深く、より早く瞑想体験を提供することであり、ユーザーはヘッドセットを装着してから8分という短い時間で、ストレスを軽減できると同社は主張する。
Trippはこのプラットフォームを、企業のオフィスでウェルネスソリューションとして活用することも検討している。現在はこのソフトウェアプラットフォームの治療器としての有効性を研究するため、臨床試験を行っているところだ。
同社によると、このアプリでは、これまでのべ200万回以上のセッションが、ユーザーによって行われたという。
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カテゴリー:VR / AR / MR
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画像クレジット:Tripp
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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)