韓国での裁判はNetflix(ネットフリックス)の敗北、同国ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)の勝利となった。ISPはトラフィックを食い尽くすストリーミングプラットフォームから帯域幅使用料金を徴収する権利を得た。判決は控訴される可能性が高い。なぜなら事実上これは、市場の爆発的な伸びにあわせ新世代のストリーミングサービスにISPとの価格交渉を強いるものだからだ。
Korean Economic Dailyの報道によると、裁判所の決定は「自分たちで解決せよ」とする公式見解ほど規範的なものではない。しかしストリーミングサービスを彼らが数年来戦ってきた特別な帯域幅使用料から保護するものでもなかった。
2020年にNetflixは、ISPであるSK Broadband(SKブロードバンド)に同プラットフォームが使用する帯域幅の使用料を要求する権利はないと主張する裁判を起こした。2014年前後に勃発した訴訟と同様の内容だ。
当時ISP各社は、ストリーミング・サービスは法外な量の帯域幅を消費しているので、提供側コストを補償する支払いをすべきだと主張した。一方ストリーミングサービス側は、自分たちはすでに帯域幅の利用料金を払っているユーザーの要求を満たしているだけであり、ISPは同じものに課金して「二重稼ぎ」しようとしていると反論した。
厳密には現実はもう少し複雑であり、結局Netflixは、膨大なデータを高速で安定して配信するために必要なインフラストラクチャーを維持するための相互接続費用なるものを払うことになった。Netflixはこれを「高速レーン」税のようなものだと述べたが、その後の説明はなく同社はそれを事業運営のコストとして計上したと見られる。
Netflix広報担当者は、SKが要求していた料金は、世界中どこのISPとの契約にも見られないものだったとTechCrunchに説明した。同社は過去に相互接続その他の費用を払ってきたが、現在はブロードバンド・ロバイダー各社と別の方法を検討中であり、コンテンツ配信を高速化するローカル・キャッシング・インフラストラクチャーを構築することでISPの通行料を回避しようとしていると広報担当者は言った。NeftlixはSKの要求について、何人のユーザーや何テラバイトのトラフィックに対して何ドル / 何ウォン支払うなどの詳細は明らかにしなかった。
「現在裁判所の見解を慎重に検討しているところです。当社は今後も引き続き、SK Broadbandと協力して共通の顧客にサービスを提供し、私たちのOpen Connectサーバーに投資していきます」とNetflixが声明で語った。
韓国では他国と比べてこの問題が解決しておらず、爆発的に成長していることから、ストリーミングサービスは自分たちの成功に比例した料金を払わないことを望んでいるものと思われる。その結果がこの訴訟だ。しかし、裁判所の最新の決定はボールを相手コートに返し「手数料を払うかどうかは両当事者間による交渉で決める必要がある」とした。
これはブロードバンドプロバイダーにとって朗報だ。なぜなら交渉結果が何であれ、これまでのゼロよりは大きいからだ。どういった種類の金額を要求可能なのかは完全な謎である。なぜなら業界の変化があまりにも速いからだ。そしてこの判決は世界最大級の企業(貪欲な韓国市場で大儲けしている)にとって不利であることから、再燃することはほぼ間違いないだろう。一方この国の消費者にとってはストリーミングの価格が上がる可能性が高い。消費者の反発を引き起こす実証済みの方法だ。
この問題は米国その他の地域でも解決にはほど遠く、民主党主導となったFCC(連邦通信委員会)の下、強力なネット中立性ルールの新たな後押しがあるかもしれない。Netflixは当初のネット中立性推進の議論の中でこの種の料金を違法であると主張したが、最終的にその考えを捨てた(後日ルールが撤廃さればそもそも意味がなくなる)。ISPが何を課金できて何を課金できないか誰が払うべきかの議論は今なお全世界で進行中だ。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:韓国、Netflix、動画配信、ISP、裁判
画像クレジット:TechCrunch
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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook )