パナソニック株式会社は、ロボティクス技術がもたらす新しい価値として「自己拡張(Augmentation)によるこころの豊かさの向上」をテーマとした研究開発を推進しています。その中で、萌芽的・学際的とされる「自己拡張」という領域を研究開発するにあたり、パナソニック単独ではなく、また工学者だけでもない組織「Aug Lab」を2019年4月に開設しました。
そしてこのたび、「Aug Lab」の第2期(2020年度)の活動成果を発表。「人と自然の関係性」にフォーカスした3つのプロダクトのプロトタイプを公開しました。同時に、2021年7月6日よりパナソニックセンター東京のクリエイティブミュージアムAkeruEでの展示を開始しています。
発表された3つのプロトタイプ
しかし、人感センサーやファンを搭載しているわけではなく、空気の微細な流れをダイレクトに捉えるという斬新な仕組み。これにより、人々は空間にある「水」や「空気」をより純粋かつ鮮明に感じることができるといいます。
次に株式会社ロフトワークと共同開発した2つのプロダクトを紹介しましょう。これらは、生物学者ユクスキュルが提唱した「すべての生物は自身が持つ知覚によって独自の世界を構築している」という考え方である「環世界」への理解を通して、自然物との共生の可能性や豊かな生活を探求することを目指した結果誕生したものです。
ボディは本物のコケを植えられるようになっていて、複数の光センサーと湿度センサ―により環境を知覚し、植えたコケの特性に合わせて最適な環境を求めて移動するロボットです。例えば、日陰を好む種を植えると光から遠ざかるなどの行動をみせるといいます。
もうひとつが、コケの湿度と連動して照明の明度を変化させる「MOSS Interface」。筐体内の湿度センサーがコケの湿度を常にセンシングし、部屋の明るさを調節するというインターフェイスです。ユーザーは最適な光量を得るためには、コケの湿度を最適に保つ必要があり、インタフェースとの「共生」を意識するきっかけになるといいます。
第1期のプロトタイプは?
「Aug Lab」の第1期では、呼吸する壁「TOU」が発表されました。「TOU」は、部屋の外を吹く風に反応し、風の動きだけを通過させ、静かに揺らぐ壁。「風のゆらぎ」という人やAIでは規定できない不規則な現象を空間に注入することで、ふとした時にぼーっと抽象的な思いにふけるきっかけを提供しようというコンセプトのもと開発されたプロダクトです。
その他、子どもとのコミュニケーションを取りながら自然な姿を写真に残せるロボット「babypapa(ベビパパ)」や、親機で入力された音声が離れている子機へ届けられ、発光しながら音声を再生する「CHEERPHONE(チアホン)」も発表されています。
パナソニックは今後も「Aug Lab」の活動を通じ、ロボティクス技術などの先端テクノロジーで「自己拡張」を促し、ウェルビーイングな社会の実現を目指していくことでしょう。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/157700
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口