バークレーのRISELab(ライズラボ)から新たに誕生したスタートアップ企業のOpaque(オペーク)は、複数の組織が関わっている場合でもクラウド上の機密データに安全にアクセスして、共同で作業するためのソリューションを構築している。同社はシードラウンドで950万ドル(約10億円)の資金を調達したと、米国時間7月7日に発表した。Intel Capital(インテル・キャピタル)がこの投資を主導し、Race Capital(レース・キャピタル)、The House Fund(ザ・ハウス・ファンド)、FactoryHQ(ファクトリーHQ)が参加した。
Opaqueは、顧客がクラウド上で安全にデータを扱うことを支援するとともに、作業中のデータがクラウドプロバイダーや他の研究参加者などに漏洩しないようにすると、同社のRaluca Ada Popa(ラルカ・アダ・ポパ)社長は述べている。
「当社では、Enclave(エンクレーブ)と呼ばれる非常にエキサイティングなハードウェアメカニズムを使用しています。これは物理的なブラックボックスであるプロセッサの奥深くで動作し、そこでのみ暗号化されます。つまり、クラウド上で管理者権限を持っている人でも、暗号化されたデータしか見ることができません」と同氏は説明する。
同社の共同設立者で、Databricks(データブリックス)の共同設立者でもあったIon Stoica(イオン・ストイカ)氏によれば、このスタートアップ企業のソリューションは、相反する2つのトレンドの解決に役立つという。企業はますますデータを活用したいと考えているが、同時にプライバシーを重視する傾向も強まっている。Opaqueは、顧客が安全かつ完全に暗号化された方法で自分のデータにアクセスできるようにすることで、この問題を解決するように設計されている。
同社はこのソリューションを「最先端のクラウドセキュリティの上に、安全なハードウェアエンクレーブと暗号化の強化という2つの重要な技術を重ねた斬新な組み合わせ」と言い表している。これにより、顧客は例えば機械学習モデルを構築するなど、データを他者に公開することなく、意味のある結果を生成できる。
例えば、がんの研究を共同で行っている病院が、患者データを他の病院に公開することなく、より良い治療法を見つけたい場合や、複数の銀行が顧客データを他の銀行に公開することなく、マネーロンダリングを調べたい場合などに役立つだろうと、ポパ氏は語っている。
投資家は、カリフォルニア大学バークレー校のコンピューターセキュリティと応用暗号化の教授であるポパ氏と、同じくバークレー校の教授でDatabricksを共同設立したストイカ氏の経歴に惹かれたのだろう。2人はバークレー校でRISELabsの設立に携わり、そこでソリューションを開発し、会社としてスピンアウトさせた。
今回の投資を主導したIntel Capitalは、Opaqueの設立当初から創業者たちと協力しており、このソリューションが、複数の組織が機密データを共有している場合でも、複雑な解決策を見出すのに役立つ可能性を秘めていることを認識していると、同社のバイスプレジデント兼シニアマネジングディレクターであるMark Rostick(マーク・ロスティック)氏は述べている。
「企業は、機密性やその他の懸念のために、データの貯蔵庫の枠を超えて価値を引き出すことに苦労しています。機密性を保ったコンピューティングは、機密性の高いデータからインサイトを抽出できる一方で、セキュリティやプライバシーを損なうことなくシームレスにデータをクラウドに移行させることもできるため、企業はデータの可能性を最大限に引き出すことが可能になります」と、ロスティック氏は声明で述べている。
「Opaqueは、データのセキュリティとクラウドの規模や経済性の間にあるギャップを埋め、組織間および組織内の協業を可能にします」と、同氏は付け加えた。
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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Opaque、資金調達、暗号化、データ保護
画像クレジット:Westend61 / Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)