収集した顧客の生体情報データで企業が行えることを制限する生体情報プライバシーの新条例がニューヨーク市で発効した。
米国時間7月9日から、生体情報を収集している企業は(最も一般的な手法は顔認証と指紋だ)データがどのように収集されているかを説明する通知とサインを、顧客が気づくようドアに表示することが求められる。この条例は、いくつか挙げると小売、店舗、レストラン、劇場など、幅広い業種の企業に適用される。また収集した生体情報を販売・共有したり、そうした情報で益を得たりすることも禁じている。
この取り組みは、生体情報データがどのように収集・使用されているのかに関して、ニューヨーク居住者、そして毎年ニューヨーク市を訪れる何百万という人を保護するものだ。一方で、差別的で往々にして機能していないと批評家が批判するテクノロジーの使用を企業に思いとどまらせる。
条例に違反した企業は厳しい罰則に直面するが、違反をすばやく正せば罰金を回避できる。
法律というのは決して完全ではないもので、こうした法律も同様だ。というのも、今回の法律は警察を含む政府機関には適用されないからだ。条例がカバーする企業の中で対象外となるのは、たとえば指紋認証で出退社する従業員だ。また、何をもって生体情報とするかについては、対象範囲を拡大したり狭めたりするという問題に直面することが考えられる。
似たような生体情報プライバシー法は2020年にオレゴン州ポートランドが制定しており、ニューヨークはポートランドに続く最新の例となる。しかしニューヨークの法律は、他の都市の強力な生体認証プライバシー法には及ばない。
イリノイ州は、同意なしでの生体データの使用を訴える権利を住民に保障する法律「Biometric Information Privacy Act」を導入している。許可を得ずに写真に写っているユーザーをタグするために顔認証を使っていたFacebookは2021年、イリノイ州の住民が2015年に起こした集団訴訟で6億5000万ドル(約716億円)を払って和解した。
ニューヨーク拠点のSurveillance Technology Oversight ProjectのエグゼクティブディレクターAlbert Fox Cahn(アルベルト・フォックス・カーン)氏は今回の法律について、ニューヨーカーがどのように地元の企業に追跡されているのかを知ることができるようになるたための「重要なステップ」だと述べた。
「偽の顔認証マッチングは、ニューヨーク市警察がRite AidやTargetへと歩いているあなたに職務質問することにつながるかもしれません」とカーン氏はTechCrunchに語った。同氏はまた、他の都市がすでにそうしたように、ニューヨークが顔認証などのシステムを非合法化することでさらに規制すべきだとも話した。
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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ニューヨーク、生体情報、プライバシー、顔認証
画像クレジット:Leo Patrizi / Getty Images
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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nariko Mizoguchi)