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7人乗れてキャンプでも活躍!プジョー「5008」はマルチに使える3列シートSUV

3列シートSUVのプジョー「5008」が先頃マイナーチェンジ。エクステリアデザインの刷新やインテリアの質感アップ、さらに先進安全装備のアップデートなど、全方位的に進化を遂げた。

3列シートによる7シーターに加えて、5008の美点として挙げたいのが2列目シートの優れた居住性とラゲッジスペースの使い勝手。5008は7人乗っても良し、キャンプなどのアウトドアレジャーに使っても良しの万能モデルだ。

■3列シートが不要な人にもオススメの理由

ミニバンに代わる存在として人気が高まっているのが3列シートを備えたSUVだ。キャビンの実用性はフツーのSUV以上、ミニバン未満といったところで、「3列目シートは必要だけど、それほど頻繁には使わない」というユーザーとマッチングがいい。

そんな3列シートSUVをねらっている人に、ぜひとも選択肢として加えて欲しいのがプジョーの5008だ。ひと言でいうと、ミッドサイズSUVである「3008」のロングバージョンで、3008の全長とホイールベースを伸ばし、3列目シートを追加したモデルと考えれば分かりやすい。

5008は3008に対して全長を190mm延長。そのうちホイールベースは165mm伸ばされている。同様のコンセプトから生まれたマツダ「CX-8」と比べると、5008は全長4640mm、全幅1840mm、CX-8は全長4900mm、全幅1840mmで、5008はCX-8に比べてひと回りコンパクト。どちらかといえば、5008は同じく3列シートを備えたSUV、メルセデス・ベンツ「GLB」(全長4640mm、全幅1835mm)に近いサイズだ。

そんな5008の評価は、「3列目シートをどこまで重視するか?」によって左右される。結論からいえば、5008の3列目シートはさほど広くなく、あくまで補助席といったところだ。

そのため3列目シートを使う場合は、2列目シートを10cmほど前へスライドさせ、足下スペースを拡大してあげるのがオススメだ。もしも3列目シートを日常的に使うなら、ミドルサイズ以上のミニバンか、3列目シートが広くて着座姿勢に優れるCX-8の方がいいと思うが「3列目シートは時々使うだけなので、付いていればOK」というのなら、5008は十分期待に応えてくれる。

一方「3列目シートは不要だから3008でいい」という人も、一度5008をチェックすることをオススメしたい。なぜなら2列目シートを後方へスライドさせた際の2列目シートは、乗員のヒザ回りが3008よりもゆとりがあり、より快適に移動できるからだ。

また、畳んだ3列目シートはフロア下にすっきり収まることもあり、ラゲッジスペースは5008の方が広い。

キャンプやウインタースポーツといったアウトドアレジャーを楽しむ人は、より多くの荷物が積める5008を選ぶのも正解だろう。

■質感が大幅にグレードアップしたインテリア

そんな5008が先頃マイナーチェンジを受け、各部が大幅にアップデートされた。

まず3008と共通のフロントマスクは、常識にとらわれない自由なデザインが見ていて楽しい。グリルとボディとを明確に分けるフレームなどが存在せず、グラデーションのようにボディからグリルへと移り変わる様が面白い。

また、ヘッドライトの端からバンパーの下までつながる、サーベルを意味する“セイバー”と呼ばれるラインも特徴的。デザイン上のアクセントとしてだけでなく、デイライトとして点灯するほか、ダブルファンクションライトとしてウインカーも兼ねている。とにかくフロント回りのデザインは個性的だ。

インテリアに目を向けると、生地などが刷新されたシートが目立つ。上級グレードの「GT」系には、シート生地にアルカンターラとテップレザーを採用。さらに電動調整機能のほかマッサージ機能も備えている。

一方、ベーシックグレードの「アリュール」は、シート生地にファブリックとテップレザーを採用し、質感の高い仕立てとなっている。

ちなみに「GT」系グレードは、オプションでナッパレザーへのアップグレードも可能。その場合は、木の質感を生かした杢目パネルがインパネにあしらわれ、革張り風のダッシュボードと相まって上質感が一気に高まる。

そんなインパネは、高い位置にマウントされたメーターに、小径ハンドルを組み合わせたプジョー独自の“i-コックピット”レイアウトが印象的。12インチのフル液晶メーターはハンドルに遮られず、運転中も見やすいという美点を持つ。

そうした各部のアップデートと並ぶ今回のマイナーチェンジのポイントは、先進安全装備の充実だ。各種機能はプジョーの最新フェーズへと進化し、例えば、衝突被害軽減ブレーキは自動車だけでなく、二輪車や歩行者の夜間検知にも対応しているし、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は渋滞中の完全停止にも対応。加えて、車線をキープするようハンドル操作を支援するアシスト機能も組み込まれるなど、イマドキの水準となっている。加えて、重要な機能の多くが全グレードに標準装備となるのもうれしいポイントだ。

■おっとりした乗り味がフランス車らしさを強める

最新の5008に搭載されるエンジンは2タイプ。2リッターの4気筒ディーゼルターボを基本に、「GT」グレードでは1.6リッターの4気筒ガソリンターボも選択できる。

今回試乗したのは、上級「GT」グレードのディーゼル車。エンジンの最大トルクは約40.8kgf-mと十分だが、車重が1690kgと重量級なだけに3008のような軽快さは希薄だ。それは加速時だけでなくハンドリングフィールも同様で、ゆったり、おっとりとした印象。マッド&スノータイヤを標準で履いていることも影響していると思われる。

とはいえ絶対的なパワー不足は感じないし、ディーゼルターボならではの太いトルクのおかげもあって、街乗りや高速クルージングでは不満なし。広い2列目シートにゆったり座っての移動は実に快適だ。独特なゆったり、おっとりした乗り味は、5008のフランス車らしさを強めるエッセンスにもなっている。

ミニバンはいらないけれど3列目シートは欲しい。加えて個性も欲しいーー。プジョーの5008は、そんな欲張りな人にオススメの1台といえそうだ。

<SPECIFICATIONS>
☆GT BlueHDi
ボディサイズ:L4640×W1840×H1650mm
車重:1720kg(パノラミックルーフ装着車)
駆動方式:FWD
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:177馬力/3750回転
最大トルク:40.8kgf-m/2000回転
価格:501万6000円

>>プジョー「5008」

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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