サイトアイコン IT NEWS

ニューススタンドのコンセプトを取り入れた職場用アメニティでオフィス勤務に戻るモチベーションを高めるNew Stand

今後数カ月の間でオフィスに戻ってくる人が増えていくにつれて、企業は快適で魅力的な環境を確保するために、これまで以上に努力しなければならなくなるだろう。

居心地の良い自宅を離れ、快適なトップスとスウェットパンツで会議を行う利便性から遠ざかりつつある幾多の会社員たち。その憂いを和らげようとしているある企業が、目標達成のための新たな資金調達を行った。

ニューヨークに拠点を置くNew Standは、米国最大級の商業不動産所有者であるBrookfield Property Groupが主導するシリーズBラウンドで4000万ドル(約43億8000万円)を調達したと発表した。既存の支援者であるMaywic、Fantail Ventures、Raga Partnersも今回の資金調達に参加しており、これで2015年の設立以来の同社の調達総額は5600万ドル(約61億3000万円)強となった。

New Standが提供するのは「ニューススタンド」のコンセプトを巧みに取り入れたものだ。このスタートアップは、オフィスロビーからオフィスビル内の会社のフロア、ホテル、大学のキャンパス、空港に至るまで、あらゆる場所に設置できるモダンな外観のスマートな販売物理空間を構築した。最初の設置場所は、ニューヨークの地下鉄ユニオン・スクエア駅だった。New Standはこの物理的なプレゼンスに、ベーシックアイテム(スナック、書籍、傘や鎮痛剤といったパーソナルケア品など)を入手する際の利便性と「ロケーションベースのメディア」へのアクセスを提供するアプリを結び付けている。

それに加えて、New Standは企業と提携し、楽しさに溢れた、人を魅了するかたちで社内に新しい風を吹かせる手段として、自社のプラットフォームを提供したいと考えている。職場用のアメニティ「New Stand at Work」をローンチした同社は、オフィス業界に大きな一歩を踏み出そうとしている。

こうしたことから、全米最大の商業家主の1つであるBrookfieldが、テナントと従業員をより幸せにすることに繋がるような志を有する会社を支援したいと考えたのも驚くことではないだろう。

TechCrunchは、New Standの共同創設者でCEOのAndrew Deitchman(アンドリュー・ディッチマン)氏に新たな資金調達と資金計画について話を聞いた。同氏はNew Standについて、人々の日々の生活をより簡単に、より魅力的なものにすることを目的とする「毎日を向上させる会社」だと熱心に語っている。

「人々が必要とするベーシックなものを確保するだけではなく、人々が欲しいと思うものをキュレートすることで、その理念を実践しています」と同氏は続けた。「当社では、コンビニのような小さなショップやタッチポイントを、コンテンツを紹介するアプリと組み合わせています。他のインタラクションを通してポイントを蓄積したり、特典を享受することも可能です」。

「このように、New Standは実際、メディアとテクノロジーの会社を築いています。利便性の高いポイントを人々の生活にアクセスする手段として活用しながら、人々の毎日を少しずつ良くしているのです」とディッチマン氏は付け加えた。

New Standは、消費者向けビジネスから企業向けビジネスへの進化を図っている。

「私たちは基本的なニーズの対応に留まることなく、人々をより深い関係に引き込むこともできます」とディッチマン氏は語る。「雇用主が従業員と関わりを持ちたいと考えている場合、または家主がテナントとの関係をより良くしたいと考えている場合は、その実現を支援できます」。

同社は今回調達した資金を、主に新しいスペースやオフィスなどへの拡大に充てる計画だ。現在、約20カ所に展開している。

New Standはまた「人を魅了する新たなサービスとフォーマット」を作り「その流通を拡大し、密度を高めていく」ことも計画している。

Brookfield Propertiesは今回の出資を機に、New Standのオファリングを通じてニューヨーク、そして最終的にはその他の地域でも同社の不動産を「さらに活性化」する計画だと述べている。

Brookfieldの不動産グループの米国オフィス責任者でマネージングパートナーのBen Brown(ベン・ブラウン)氏によると、Brookfieldはすでにこの投資の前に、フラッグシップ物件であるBrookfield Place New Yorkで、テナント向けのアメニティとして、また従業員用のオフィススペースとしてNew Standと提携していたという。

「両方の面で、New Standは目に見えるメリットを提供し、エクスペリエンスを向上させました」と同氏はTechCrunchに語った。「米国および世界で最大規模とは言わないまでも、その1つに数えられる商業不動産所有者として私たちは、自分たち自身が利用する企業へ投資することに特別な関心を抱いており、そこに価値を見いだしています。時間の経過とともに、規模を拡大することができるでしょう」。

ブラウン氏によると、New Standが提供する物理的資産とメディアプラットフォームの組み合わせにより、Brookfieldは自社の従業員だけでなくテナントの従業員とのエンゲージメントも高める機会を得たという。

「世界をリードする企業が従業員を惹きつけ、維持し、モチベーションを高めるのを支援することは、これまでも長きにわたって私たちの大切な仕事の1つでした。企業がオフィスを自宅よりも魅力的なものにしたいと考えるようになってきた今日、その重要性はさらに強まっています」と同氏は言い添えた。

関連記事
Dropboxが作ったポストコロナの新たな仕事環境「Dropbox Studios」
【コラム】上司は「オフィスのほうがセキュリティ的に安全」と言うがそれは従業員を職場に戻す理由にならない
メンバーの出社、在宅勤務がひと目でわかるハイブリッド型スケジューリングアプリ「Café」

カテゴリー:その他
タグ:New Stand資金調達オフィス

画像クレジット:New Stand

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

モバイルバージョンを終了