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VUの本人確認技術が普及すれば運転免許証や指紋の提示が不要になる

近い将来、人々は自分のアイデンティティを証明するために指紋や運転免許証を提示する必要がなくなるだろう。そう、VUの思い描くとおりに物事が進めば。

アルゼンチンを拠点に詐欺や個人情報保護の対策をてがける同社は、シリーズBラウンドで1200万ドル(約13億2600万円)の資金調達を行ったと、米国時間7月12日に発表した。投資したのはソフトウェア開発企業のGlobant(グロバント)をはじめ、Agrega Partners(アグレガ・パートナーズ)、NXTP Ventures(NXTPベンチャーズ)、Bridge One(ブリッジ・ワン)、IDB Lab(IDBラボ)、Telefónica(テレフォニカ)など。今回の資金調達により、同社が受けた投資総額は2000万ドル(約22億1000万円)になると、Sebastián Stranieri(セバスチャン・ストラニエリ)CEOはTechCrunchに語っている。

過去20年間、サイバーセキュリティ業界で働いてきたストラニエリ氏は、2007年に彼の祖母がアルゼンチン政府に提出する本人確認手続きの手伝いに何時間も費やし、それが実は2分で済むと判明したことをきっかけに、VUのアイデアを思いついた。

「その経験から、摩擦のないデジタル体験の実現に貢献する会社を作りたいと思うようになりました」と、ストラニエリ氏はTechCrunchに語った。

VUの技術は、位置情報、生体認証、ユーザーの行動分析を用いて人の「オンライン上のペルソナ」を作成し、ユーザーに本人確認を提供する。ユーザーのオンラインとオフラインのペルソナを接続して照らし合わせることで、継続的な認証プロセスを可能にし、アルゼンチンやエクアドルなどの政府機関などに、その人が自分でいうとおりの人物であるかどうか、確認する方法を提供している。

VUは、2025年までに330億ドル(約3兆6500万円)を超えるとAdroit Market Research(アドロイト・マーケット・リサーチ)が予想する世界のデジタルアイデンティティ市場で、不正防止や本人確認にテクノロジーを応用しているいくつかのスタートアップ企業の1つだ。同様の技術で最近投資を獲得した企業には、2021年4月に5000万ドル(約55億2000万円)を調達し、評価額が10億ドル(約1105億円)を超えたSift(シフト)や、シリーズDラウンドで1億ドル(約110億5000万円)の資金調達を発表し、評価額が13億ドル(約1436億円)に達したSocure(ソキュア)などがある。

過去3年間で150人以上の従業員を擁するまでに成長したVUは、中南米と欧州で事業を展開している。顧客の中にはSantander(サンタンデール)やPrisma(プリズマ)などの大手企業や、中南米地域の政府機関も含まれる。同社は米国でも初のオフィスをニューヨークに開設しており、今後1年間で人員が4倍以上に増えることを、ストラニエリ氏は期待している。

同社の収益は前年比85%の平均成長率を示しているが、ストラニエリ氏は2021年もこの傾向が続き、2022年には100%の成長率を達成すると予想している。VUはニューヨークの他にマドリッドにもオフィスを開設し、今後はさらにイタリア、フランス、イギリスにもオフィスを開設する予定だ。

そのため、ストラニエリ氏は今回調達した資金を使って、欧州全土と米国で開発者を雇用する予定だという。

GlobantのVUに対する出資は、パートナーシップとしての役割も担うことになる。GlobantはGoogle(グーグル)、Disney(ディズニー)、Apple(アップル)などの企業にソフトウェア開発を提供しているが、VUのデジタル・エクスペリエンスをパッケージ化し、企業が基本ソフトウェアを購入した後にカスタマイズできるようにすることを考えている。VUの技術は今のところ、銀行の本人確認や、小売店のシステムが購入者を認識して確認するワンクリックのeコマースチェックアウトに適している。

「Globantはデジタル・エクスペリエンスを変革しようとしているので、同社がバックアップしてくれるということは、お客様やパートナーに向けて、我々がうまくやっているというすばらしいメッセージになります」と、ストラニエリ氏はいう。「Globantをはじめ、我々のすべての投資家からの支援は、リスクを顧みず、我々に成長する機会を提供してくれます」。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:VU資金調達位置情報生体認証個人認証アルゼンチン中南米

画像クレジット:Kaer iStock / Getty Images

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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