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ひび割れしやすいクリアパーツのカットは精密薄刃ニッパーで!【達人のプラモ術<NISSAN フェアレディ 240ZG>】

【達人のプラモ術】
タミヤ
「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」03/04

戦闘機やバイク、ロボット、スポーツカーなど、さまざまなプラモデルの作り方・楽しみ方を紹介する、プロモデラー長谷川迷人さんによる【達人のプラモ術】。「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」製作、3回目となる今回は、内装とウインドウまわりを組み立てていきます!

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エンジン塗装まで終わった「フェアレディ 240ZG」製作。ここからは後半戦ですね。3回目となる今回は内装(インテリア)の製作を進めていきましょう。光沢仕上げが大事なボディとは違って、レザーシートの質感やダッシュボード、ハンドルなど素材の違いを塗装で再現していきます。さらに、本キットの特徴でもあるメッキパーツを組み合わせるウインドウパーツをボディに取り付けていきます。

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!「@Modelart_MOVIE」も配信中

 

■内装の組み立て

POINT1:内装の光沢を抑えてボディの光沢を強調

キットのインスト(説明書)の指示にそってフロアパーツを塗装していきます。指定は「タミヤカラー X-18 セミグロスブラック」となっていますが、作例では素材感の違いを出すため、「つや消しブラック」と「タミヤカラー XF-63 ジャーマングレイ」で塗り分けています。

▲少ないパーツながら、塗装を施すことでリアルに再現されるフロア。シートは前後合わせなので接合線をサンディング(やすり)で消しておく

本革のシートは「セミグロスブラック」で、ハンドルはウッドの質感を出すために指定の「タミヤラッカー TS-46 ライトサンド」の上から、「タミヤカラー X-35 セミグロスクリヤー」を塗装して仕上げます。

ダッシュボードのメーターは、デカールを貼りこんで乾燥させたのち、アクリル塗料の「タミヤカラー X-22 クリヤー」をデカールの上に垂らして、メーターの光沢(ガラスの質感)を再現します。仕上げとして、ドア内側のモールのインレットマークを忘れずに貼りこみます。

(インレットマークとは? >> エンジンの塗装は光沢を抑えてリアルさを演出【達人のプラモ術<NISSAN フェアレディ 240ZG>】

ボディに組み込んでしまうと、あまり見えなくなってしまう内装ですが、細かく塗装で質感を変えることで、リアルなディテールを表現。また光沢感を抑えたことで、ボディの光沢を強調できます。

▲ダッシュボードとハンドルまわりのパーツ。これにメーターデカールが加わる。実車のダッシュボードは樹脂製なので、ドアの内側パーツと併せて半艶ブラックで塗装。ハンドルは木製のステアリングなので光沢のあるサンドイエローで仕上げる

▲フロアは「つや消しブラック」で塗装し、マスキングをして床面とシート後部を「ジャーマングレー」で塗装。シートとセンターコンソール部は「セミグロスブラック」で塗装する。フロアパーツと組み合わせて、同じ黒でも光沢感が異なることで質感が変わり、より立体的に見える

▲本革シートの質感を「セミグロスクリアー」で再現したシート。センターコンソールは樹脂製なので、同じく「セミグロスクリアー」で塗装。シフトノブのカバーはつや消し黒で塗装することで柔らかい革の質感を再現

▲ダッシュボードは「セミグロスクリアー」でウッドステアリングのハンドルにクリアーを塗装してツヤを出していく。メーターはデカールの上からアクリルクリア―を垂らして、ガラスの質感を再現する

▲完成したフロア。同じ黒でも光沢の違いで質感が変わるのが分かる

▲前回完成させたシャシーにフロアを接着

▲エンジンと組み合わさったことで精密感がぐっとアップ。完成が楽しみになってきた!

 

■ライト、フロントウインドウなどクリアパーツの取り付け

内装が完成したら、第1回(>> カーモデル製作はボディの塗装から!【達人のプラモ術<NISSAN フェアレディ 240ZG>】 )で塗装を済ませたボディに、フロントウインドウやライトといったクリアパーツを取り付けていきます。キットでは、ウインドウパーツをかこむモール部分が別パーツ化され、メッキパーツとなっています。

これまでのカーモデルでは、ウインドウを囲むクロムメッキされたモールや、ゴム製のウエザーストリップ(ドアとボディのすき間を埋める、帯状のシール材)は塗装で再現するのがほとんどでした。これがメッキ製パーツとなったことで、塗装では再現ができなかったリアルな仕上がりを得られるようになりました。

 

POINT2:クリアパーツのカットは精密薄刃ニッパーで

フロントウインドウやサイドウインドウなど、カーモデルはクリアパーツが多いといえます。クリアパーツの仕上がりの良し悪しがカーモデルのキモと言って良いでしょう。クリアパーツをランナーから切り離すのは他パーツと同様にニッパーを使いますが、その際にはゲート(ランナーと繋がっている部分)カットに特化した精密薄刃ニッパーを使うのがオススメです。

クリアパーツは、通常のパーツと比べるとプラが硬く、クラック(ひび割れ)が入りやすいという特徴があります。そのため厚刃ニッパーや切れ味の悪いニッパーを使うと、切断面を押しつぶすようにゲートから切り離すことになるため、パーツ側に細かなクラックが入り、白くなってしまう場合があります。通常のパーツならば、塗装でクラックをリカバリーできますが、クリアパーツはそうはいきません。

▲左が先細薄刃ニッパー、右が一般的なニッパー。刃先の形状、刃の厚みが違うのが分かる

精密薄刃ニッパーは精度が高く刃の切れ味も良いので、切り離す際にパーツにクラックが入るのを防いでくれます。数多く発売されているので、好みに合わせて選びましょう。

▲ゲートカット専用ニッパーは、その名前のとおり、ゲートからパーツを切り離す際にのみ使用するもの。刃先の精度が高くまた薄く作られているので肉厚のパーツ等の切断に使ってしまうと刃先が欠けたり、歪んでしまうことがある。厚みのあるパーツやランナーなどを切断する際は一般的なプラ用ニッパーを使うほうがいい

今回使用したのはタミヤ製ニッパーで、精度の高さと刃の先端形状がより薄くなっているのが特徴のニッパーです。部品とランナーの間が狭い細かなパーツや、極細パーツの切り出し、そしてクリアパーツの切り出しに適しています。

▲タミヤ「先細薄刃ニッパー(ゲートカット用)」 先細薄刃ニッパーは通常の精密ニッパーよりさらに先端の形状が薄く、繊細な刃先が特徴。高周波焼き入れを施した特殊鋼製の刃により、クリアパーツの切断面を白濁させずにカットが可能。さらに部品とランナーの間が狭く、細かなパーツの切り出しにも適している

精密ニッパーは一般のニッパーに比べて高価ですが、作品のクオリティアップのためには持っておきたいツールのひとつです。

 

POINT3:クリアボンドを使いこなそう!

インストではメッキパーツとクリアパーツの接着、さらにボディへの取り付けは、クリアボンド「多用途接着剤クリアー」の使用が指示されています。メッキパーツはプラ用接着剤が効かない、瞬間接着剤ではメッキが曇ってしまうという理由からです。また、ウインドウパーツなどのクリアパーツへの取り付けに際しても、クリアボンドを使用します。プラ用の接着剤を使うと、はみ出た場合クリアパーツの表面が溶けて白く濁ってしまうためです。

▲ボディに取り付けたウインドウパーツ。ここでもクリアボンドを使用。クリアボンドは乾燥時間をしっかり取る

ボディ塗装がキレイに仕上がっていても、フロントウインドウなどのクリアパーツが接着剤で汚れていては、作品が台無しになってしまうので、クリアボンドを使って丁重に組んでいきましょう。

フロントウインドウとリアウインドウには、それぞれメッキで再現されたモールパーツが組み合わさっています。メッキ部分は、ウエザーストリップのゴム部分を塗装しなくてはいけません。ここは「GM406 リアルタッチマーカー グレー3」で塗装することで、簡単かつシャープに仕上げられます。メッキパーツは色が乗りにくいのですが、マーカーを塗装→乾燥→と塗装と3回程度塗り重ねることできれいに仕上がります。

▲塗装したモールをウインドウパーツとクリアボンドで接着。クリアボンドは粘度が高いので爪楊枝などの先で塗布するとはみ出しを防げる。もしはみ出してしまったら、固まる前にエナメル塗料用の溶剤でふき取るばクリアパーツを曇らせることなく吹き取れる

▲ボディに取り付けたウインドウパーツ。ここでもクリアボンドを使用。クリアボンドは乾燥時間をしっかり取る

▲ヘッドライトはクリアパーツのライトレンズを取りつけた上からメッキのモールをクリアボンドで接着。パーツは折れにくいABS製だが、変形させてしまうと元に戻らないので慎重に取り扱う

▲サイドウインドウのモールは、ウエザーストリップの塗装をせずにボディに接着

 

【達人流!のポイント】

クリアパーツやメッキパーツの接着には、クリアボンドを使うことでパーツを接着剤で汚してしまうリスクを避けることができます(しかもリカバリーもやりやすい)。そして、プラモデル製作の基幹ツールのひとつともいえるニッパーは、クリアパーツや繊細なパーツの切り出しなどに使うゲートカット用精密ニッパーや通常の切断に使う厚刃のニッパーを使い分けることで、パーツの折損やクリアパーツのクラックといったトラブルを減らせます。接着剤にしてもニッパーにしても、適材適所で使い分けることが作品のクオリティアップに繋がるのです。

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次回は「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」の最終回。オーバーフェンダーや外装パーツの取り付け、さらにインレットシールの貼りこみと、ボディの磨きを紹介していきます!

>> 達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人>

 

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