米国時間7月20日、GoogleがオーナーであるYouTubeは、ソーシャルコマースのスタートアップSimsimの買収を発表した。両社は買収の価額などを公表していないが、情報筋によると、買収に際してSimsimの評価額は7000万ドル(約77億円)ほどだった。
創業2年のSimsimは、本日の発表前までにおよそ1700万ドル(約18億7000万円)を調達し、2020年のシリーズBでは5010万ドル(約55億円)と評価されていた。
グルガオンに本社のある同社は、インドの小企業が、ビデオやクリエイターの力を活用してeコマースに移行する努力をサポートしている。その社名と同名のアプリは、プラットフォームとして各地の小企業や店舗、インフルエンサーと顧客を結びつける。
Simsimを初期から支援しているGood CapitalのRohan Malhotra(ロハン・マルホートラ)氏によると「特定のオーディエンスに的を絞って成長し、楽しい体験を提供して常連客になってもらい、信頼を築いて高額商品を買わせ、メッセージングを個人化してコンバージョンを促進するには、マイクロインフルエンサーの利用が最も効果的です。消費者対象のソーシャルプラットフォーム(Facebook、YouTube、Instagramなど)のような、広告を収益源とする経営がインドでは成り立ちにくいため、どうしても商取引を統合したプラットフォームになりがちです。インドで新たにインターネットユーザーになる人たちは、売り手が主導する対話的な体験を必要とし、この市場の慣行であるオフラインのコマースのネット版を求めることになります」という。
マルホートラ氏も買収の価額などは明かさず、またSimsimのCEOも米国時間7月19日に提出した買収に関する質問には応じなかった。
しかしSimsimの共同創業者であるAmit Bagaria(アミット・バガリア)氏とKunal Suri(クナル・スリ)氏、そしてSaurabh Vashishtha(サウラブ・ヴァシシュタ)氏は、共同声明で次のように述べている。「Simsimを始めたときのミッションは、インド中のユーザーがオンラインで簡単に買い物できるようにすることでした。そのためには、信頼されているインフルエンサーが作ったコンテンツのパワーにより、売り手やブランドが商品を展示し販売できなければなりません。今回、YouTubeとGoogleのエコシステムの一員になったことにより、Simsimのミッションをさらに強力に推進できます」。なお、バガリア氏とヴァシシュタ氏は以前、Paytmに在籍していた。
彼らによると「今後のSimsimを作っていく上で、技術や顧客へのリーチ、クリエイターのネットワーク、そして企業文化において、ここにまさるエコシステムは他にありません。YouTubeの一員になることが待ち遠しいし、世界で最も賞賛されているテクノロジー企業の中でSimsimを開発し続けていけるのは本当にうれしいことです」という。
YouTubeにとっては、このビデオストリーミングの巨人がインドの小企業と小売業を助けていくことにより、従来よりも強力な方法で新たな顧客にリーチできる。YouTubeのアジア太平洋担当副社長Gautam Anand(ゴータム・アナンド)氏が、ブログでそう述べている。
このビデオストリーミングサービスは、インドだけでも月間アクティブユーザーが4億5000万を超えるが、さしあたってSimsimを変える意図はなく、Simsimのアプリがそのまま使える状態を続ける。そしてアナンド氏によると「YouTubeのビューワーにSimsimをどのように見せていくか、そのやり方を検討したい」とのこと。
以前から、Googleはさまざまな形でインドに地歩を築く努力を続けているが、7月20日の発表はその最新の動きだ。これを含めてGoogleのインドへの投資は、向こう2年間で100億ドル(約1兆1000億円)に達する。Googleは他にも、インドのスタートアップGlanceとDailyHuntを支援しており、いずれもショートビデオのアプリだ。
「YouTubeには2500を超えるクリエイターがおり、サブスクライバーは100万を超えています。また、インドで最初にローンチしたYouTube Shortsの成功により、私たちはYouTubeの最良の部分をインドに持ち込むことにコミットしており、新世代のモバイルファーストのクリエイターたちがスタートしやすい環境を作って、クリエイターのコミュニティを大きくしていきたい」とアナンド氏はいう。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTube、インド、eコマース、Simsim、買収、クリエイター、Google
画像クレジット:Simsim/YouTube
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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)