量子プロセッサと周辺ハードウェアを開発するオランダのスタートアップ、QuantWareは、市販の超伝導量子プロセッサ(QPU)を発表しました。
従来のコンピュータとは桁違いの演算能力をほこる量子コンピュータが、AIやサイバーセキュリティの強化など、幅広く活用されようとしています。ただし、いまのところ「量子超越性」を達成するには大型の量子コンピュータが必要です。
QuantWareは、GoogleやIBMといった大手テック企業の独壇場となっているこの領域を、多くの企業や研究機関、学術機関に開放しようと考えています。
超電導量子プロセッサ市販は世界初
量子ビットに超伝導素子の電荷を利用した、超伝導方式による量子プロセッサの市販は世界初。同方式は、光やイオントラップといったほかのゲート方式に比べてスケーラビリティやカスタマイズ性が高く、実用的な量子コンピューティングアプリケーション候補として有力視されています。
ちなみに、2019年にGoogleが量子超越性を達成したのも超電導QPUです。
QuantWareが発表した「Soprano」は5キュービットの超電導QPUで、各キュービットは99.9%の忠実度を実現しています。企業や研究機関が独自にQPUを開発するには膨大なコストや時間がかかるため、既製品が入手可能になれば量子コンピュータの開発が加速する可能性があります。
量子ビット数の向上と生産能力の拡大を目指す
QuantWareは、量子エンジニアとデルフト工科大学の卒業生が2020年に立ち上げた企業で、プレシードラウンドで115万ユーロ(約1億5000万円)の資金調達に成功しています。
QuantWareのQPUは、量子コンピュータの開発を加速するのを目的とした「IMPAQT」プロジェクトですでに利用されているようです。
今後QuantWareは、QPUの量子ビット数を増やすとともに、生産能力やパートナーシップの拡大も計画しています。
- Original:https://techable.jp/archives/158455
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji