Apple(アップル)は、米国時間7月27日のiOS 15とiPadOS 15ベータ4リリースで、以前にSafariのモバイルブラウザーに対して行い、議論を呼んだ変更に対するユーザーからの苦情やフィードバックに対応している。問題となっているSafariの新デザインは、WWDCで発表され、タブバー(URLバー)を画面の下へ移動させている。iPhoneの人気アプリにしては思い切った変更だが、狙いはiPhoneを片手で使ってるときにコントロールに届きやすいようにするためだ。しかし批判する人たちは、リロードボタンやリーダーモードなどのよく使う機能が見つけにくく使いづらくなり、モバイルブラウザーの全体として使いやすさを損なうという。
Appleの名誉のために言えば、同社は寄せられたフィードバックに耳を傾けていた。
以前のデザインではタブバーは画面上部という従来からの位置にあり、左にあるリーダーモードボタン(Aが2つ)も右のリロードボタンもアクセスしやすかった。下の方には、前進 / 後退ボタンと、シェアボタン、リーディングリスト、そしてタブボタンがあった。
iOS 15のデザインでは、よく使われる機能への便利なアクセスポイントがすべてなくなり、何よりも、タブバーへのアクセスのしやすさが優先された。代わりに3つのドットを並べた「more」メニューに、ウェブを閲覧しているときよく使うもののすべてが隠された。ウェブサイトのリロードやリンクの共有、ページをリーダーモードで見る、記事を後で読むに保存するなどすべてだ。隠されたさまざまなアクションの合計数は20以上に及ぶ。
Apple評論家のJohn Gruber(ジョン・グルーバー)氏はポッドキャストThe Talk Showで、その新デザインは、WWDCにおけるSafari発表の数週間も前から、Appleの社内ですら不評だったと語っている。例えば新デザインはクールに見えるが、あまり便利でないという評価もあった。
TechCrunchの編集長であるMatthew Panzarino(マシュー・パンザリーノ)もそのポッドキャストに招かれていたが、一般的に画面上にモノが少ないのは良いことだが、今回は失敗だとグルーバー氏に同意していた。
その際、マシューは「実際に使ってみると、かえって画面が煩雑になりわかりにくくなる。スクロールといったアクションをしないかぎり、画面が広くなった感じはしない。だから、それもおかしい」と話している。
今回ベータ4のアップデートでAppleは、この変更から生じた問題の一部をフィックスしようとした。
まずタブバーに「共有」ボタンを再び追加し、メニューの下にその他のコントロールを入れた。リンクの共有はウェブユーザーで最も頻繁に行う作業であるため、それを元に戻してワンタップで済むようにしたのは合理的だ。
The Refresh button is now permanently showing in the iOS 15 Safari address bar #iOS15DevBeta4 pic.twitter.com/v8AoRB68QI
— Apple Software Updates (@AppleSWUpdates) July 27, 2021
Refreshボタンは、これから常にiOS 15のSafariのアドレスバーにある。
リロードボタンは再びタブバーに登場し、ドメイン名の横に置かれた。以前よりも、ちょっと小さい。
一方「リーダーモード」ボタンは、リーダーが使えるようになればタブバーに現れる。そしてワンタップでアクセスできる。
タブバーは、ユーザーがウェブサイト上のボタンと対話しているときには最小化される。以前はそれが邪魔になり、ウェブサイトのボタンに届かないときには、使いやすさを損なった。
Just another day being unable to order takeout because iOS 15 Safari’s bottom bar makes this checkout button untappable.
thanks Safari for not letting me have that bruschetta pic.twitter.com/e23YTYzGM6
— Federico Viticci (@viticci) July 22, 2021
先日、iOS 15のSafariでチェックアウトボタンがタップできずテイクアウトのオーダーができなかった。ブルスケッタが食べられなくてありがとう、Safariさん。
iPadOS 15では、デフォルトではURL下のスタンドアローンのタブバーにタブが現れることに気づくだろう。1行でURLと開いてるタブを表示する、すっきりとしたコンパクトなタブバーはiPadOS 15でも導入され「Safari Settings」で有効にできる。
なお、モバイルブラウザーのデザインについてこのように再考したのは、Appleが最初ではない。
元Google ChromeのデザインマネージャーChris Lee(クリス・リー)氏の回想によると、Chromeのモバイルブラウザーでも同様のデザイン変更が行われ、URLバーを下に置いたことがあるが、そのバージョンは結局、ローンチされないことになった。それはベータテストでの評価がさまざまだったからだ。その新デザインは、テクノロジーコミュニティで熱心なファンも獲得したが、メインストリームのユーザーはその変更に戸惑うばかりだった。
Safariのように頻繁にローンチされるアプリの使用については、マッスルメモリーの問題もある。私のようにバーの新しい配置を気に入るようになってからも、ウェブサイトを訪問したり、複数のタブをスワイプするといった複雑な操作を、デザイン変更はそれを難しく感じさせてしまう。
また、習慣でいろいろなアクションのショートカットを画面上部に探さないようになるためには、一定の学習期間が必要だ。
この度のベータでは、Safariのアップデートの他にもいろいろな修正が行われた。複数の連絡先とフォーカスのステータスを共有する方法や、新たにXLサイズのウィジェットもある(これはiPadのApple Podcastsが採用)。小さな変更や工夫は他にもある。
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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Apple、iOS、iOS 15、Safari、ベータ版
画像クレジット:Apple
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)