通勤・通学や旅行・ツーリングなど、バイク移動は楽しいもの。とはいえ、長距離移動になってくるとヘルメットの重さって結構な首の負担になります。いくら安全と言えど、首に何キロもするような物を被っていたら、快適性はおろか疲労が溜まり集中力も落ちて安全な走行にも支障をきたします。
そこで軽量なカーボンヘルメットが気になっていたんですが、価格もそれなりに高くて手が出しにくいなと。じゃあ手頃なカーボン製って性能はどうなんだろう?ということで、今回はWINS「A-Force RS」シリーズを試してみました。
元2輪レーサーの片岡匡史さんが設立されたウィンズジャパンでは、より良い製品を手に取りやすい価格で、という理念のもと日々製品の開発に臨んでいます。「A-Force RS」シリーズでもその理念はしっかりと強みとして出ていて、数あるカーボンヘルメットの中でも安価かつSG規格も満たしている製品です。
ところで安いものでも定価5万を超えるカーボンヘルメットですが、なんと「A-Force RS」シリーズではフルフェイスが4万4000円、ジェットでは4万3000円と破格の値段。
軽いヘルメットに興味はあるけどカーボンは高くて手が出しづらい、と思っている方にも十分候補に入りうる値段です。またWINSのヘルメットは全て同社の「サウンドテック(※後付けのヘルメット用スピーカー)」に対応しており、乗車時に安全に音楽を楽しめるのも魅力のひとつです。
実際にフルフェイスヘルメットをサーキットの走行会で、そしてジェットヘルメットを普段の街乗りで使ってみました。
まずはフルフェイスヘルメットから。手に持った瞬間に思わず「軽っ!」と声に出してしまうほどの軽量さ。試しにフルフェイスの重さを測って見た所、驚異の1365g!普段私が使っているヘルメットは決して重くない物ですが1600gほど。200g以上の差は数値よりもはるかに軽く感じられます。
つけ心地も良く、全て取り外しのできる内装は圧迫感がなく自然に頭をホールドしてくれます。頬のパッドが窮屈でなく顎の周りに余計なものが付いていないので息苦しさも感じません。
またこの軽さでインナーバイザーも付いているため、日差しの強い日もスモークシールドに変えることなく快適に走行できます。インナーバイザーの縦幅もしっかりとあり、メーター類を見るときなど視線を下げても眩しいということもありません。
私は2台のバイクを所持していますが、どちらもSS(スーパースポーツ)と呼ばれる車両です。SSは走る事を第一に設計された車両のため乗車姿勢が前傾で、運転中は常に首を上げている状態です。ツーリング時は自分が思っている以上に首に負担がかかっているようで、家に着き緊張が解けたら頭痛が……なんてことも多々あります。
しかし、「A-Force」シリーズに関してはこの限りではありませんでした。フルフェイス装着で特に前傾姿勢が顕著な「CBR1000RR-R SP」に乗車。サーキットまでの行き帰り往復約4時間+30分のサーキット走行を7本ほど走った結果、首回りの疲労感は普段と比べ体感半分以下といったところ。家に着いた時の肩のだるさが全くない!
普段はおそらく首にかかる負担が非常に大きく、肩までだるさが下りてきていたのが、「首が少々凝ったかな?」程度に抑えられていました。こんなにも違うものかとかなりの衝撃、カーボン恐るべし。大型ベンチレーションのおかげで走行中はフルフェイス特有の頭部の蒸れを感じることもなく気持ちよく走れました。
長距離ツーリングや高速を使っての移動が多い方は、圧倒的にフルフェイスをお勧めします。風が直接当たらないので顔が疲れず、高速走行中有事の際も顎までしっかりと守ってくれます。
■街乗りがメインなら風通しのよいジェットヘルメットも
さて次はジェットヘルメット。街乗りでの使用感を試します。ジェットはさらに軽く付け心地も上々。普段フルフェイスしか使用しないのですが、この時期、街乗りではとにかく暑さが曲者。止まらずに走れる高速道路や峠道とは違い、ストップアンドゴーが多くスピードも出せない街乗りでは空気の循環ができず、フルフェイスはサウナ状態になってしまいます。
その点、顎の部分がないので暑苦しさを感じない“ジェットヘルメット”は街乗りにぴったり。もちろんこちらもサウンドテックに対応しているので、通勤・通学などで使う方も安全に好きな音楽を聴きながら運転できます。街乗りメインで通勤や通学などに使う方はジェットの使い勝手は魅力的です。またこのご時世だとマスクを逐一外さなくてもパッと被れるのが助かりました。
両方使ってみてライディングを楽しみたい方はフルフェイスを、街乗りで快適性重視の場合はジェットヘルメットを選ぶと間違いないはずです。
本体が軽量で付け心地もよく非常に良いヘルメットですが使ってみて気になった部分も。まずは先に書いたフルフェイスのベンチレーション。走行風をよく取り込み中の蒸れを抑制してくれるのはよかったのですが、開けると風切り音がかなり大きいです。締めれば静音性は良いのであまり気にならない部分ですが、ベンチレーションを解放させてスピードを上げると音が気になります。
そしてこちらはメリットと捉える人も多いかもしれませんが、顎紐はDリングではなくワンタッチのバックル式。差し込むだけのワンタッチ式は便利とはいえ、Dリングに慣れている私は「外れないかな?」とそわそわしてしまいました。
性能面以外だと今やライダーの必須装備とも言えるインカムですが。一応スピーカーポケットがあるものの、かなり薄めに設定されているようで厚めのスピーカーをセットする場合は気を使いそう。
そして購入にあたって一番ネックになるのがサイズ展開に乏しい点。帽体はどのサイズも共通で内装によりサイズを合わせている。そのためどうしてもサイズ展開には限界があるようです。大半のライダーはピッタリのサイズがあるかと思いますが、普段自分のサイズや会う形を探すのに困っているライダーは要注意。必ず店舗で試着をしましょう!
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しっかりとした製法で作られ、安全基準もクリアした安心の国内メーカーヘルメット。その軽さはもちろんインナーバイザーや大型ベンチレーションも搭載され、快適性の高いカーボンヘルメットが4万円台で買えてしまうというのは驚きという他ないでしょう。些細な改善点はあれどコスパで考えたら、これを超えるのはなかなか厳しいのでは?と思えるくらいに私は気に入ってしまいました。
人によりですが、私は見た目もどストライク。本体がかなりコンパクトな設計になっているので装着した際の頭でっかちさがないのも気に入った要素です。また現在は「A—Force RS FLASH」というグラフィックモデルも発売されているので、カーボン一色はつまらない!という人も要チェック。軽くて安全なヘルメットは高いという概念を壊す「A-Froce RS」シリーズ、ぜひコスパ最強の軽量カーボンヘルメットを体験してみてください!
<写真・文/戸井田満樹>
戸井田満樹|家電に囲まれて育った平成生まれの頑張らない系男子。家電コーディネーターの母からの教えで、調理家電を中心に家電に頼れるものは全て頼る、頑張らない生き方を模索中。好きなものはご飯と愛犬。好きな家電は食洗機
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/387891/
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