サイトアイコン IT NEWS

日本のispaceが2023、2024年の月面探査ミッションに向けて新たに約50.7億円を調達

日本の宇宙スタートアップ企業であるispace(アイスペース)は、3年以内に予定している3つの月面着陸機ミッションを完遂させるため、シリーズC投資ラウンドで約50億7000万円を調達した。

今回調達した資金は、2023年と2024年に計画されている2回目と3回目のミッションに充てられる。ispaceが2022年後半の実施を目指している第1回目のミッションは、これまでに調達した資金で賄われる。

関連記事:月着陸船開発のispaceが30億円調達、新着陸船プラットフォームを公開

このシリーズCラウンドは、日本のベンチャーキャピタルであるIncubate Fund(インキュベイトファンド)が主導し、Innovation Engine(イノベーション・エンジン)が運営するパートナーシップ、SBI Investment Co.(SBIインベストメント株式会社)、佐護勝紀氏、Hijojo Partners(ヒジョージョー・パートナーズ)が運営する法人、Aizawa Investments(アイザワ・インベストメンツ)、Aizawa Asset Management(あいざわアセットマネジメント)が運営するファンドから追加投資を受けた。インキュベイトファンドは、ispaceのシード期にあたる2014年から同社を支援している。

ispaceの総調達額は現在約213億円となっている。

同社は2021年7月、2022年のミッションに向けた月面着陸機のフライトモデルの組み立てを、宇宙ロケット会社のArianeGroup(アリアングループ)が所有するドイツのランポルズハウゼンにある施設で開始したと発表した。ispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」の最初のミッションでは、着陸機はコスト削減と推進剤による重量増加を主な理由に、3カ月かけて月に到達する予定だ。この着陸機は、サウジアラビアのMohammed bin Rashid Space Center(モハメド・ビン・ラシッド宇宙センター)から月面探査ローバー「Rashid」(ラシッド)を、日本の国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)から変形型月面ロボットを、そしてカナダの3つの企業からペイロードを、月へ届ける契約を受注している。この着陸機は、SpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットで打ち上げられる予定だ。

関連記事:日本の宇宙開発スタートアップispaceが月着陸船「HAKUTO-R」の最終デザイン公開、2022年の初ミッションに向け

高さ約2.3メートルの着陸機は、2023年に予定されている2回目のミッションでも使用され、同社のその後のミッションをサポートするためにデータを収集するispaceの小型探査車を、月へ送り込むことになっている。2024年の3回目のミッションでは、米国でより大きな着陸機を開発する予定だ。

ispaceは、その長期的な目標を「民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなること」と表現している。同社は、月の水資源が「未開発の可能性」を秘めていることをウェブサイトで紹介し、宇宙ベースの経済を促進させることに特に関心を寄せている。

関連記事
JAXAが有人与圧ローバー実現に向け変形型月面ロボットによる月面データ取得の実施決定、タカラトミー・ソニー・同志社大と共同開発
日本の宇宙企業ispaceの月着陸船がカナダ宇宙庁とJAXAからペイロード輸送を受託
NASAが月試料収集プロジェクトに日本のiSpaceなど4社を選抜、宇宙鉱業のパイオニア育成を目指す

カテゴリー:宇宙
タグ:ispace日本資金調達

画像クレジット:ispace

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

モバイルバージョンを終了