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AirTagを使って愛用品を取り戻すまでの一部始終と、4つの教訓

Apple AirTag 2021年4月イベント
 
愛用していた電動キックボードを盗まれた男性が、AirTagを使って手元に取り戻すまでの顛末と、AirTagを盗難対策に使う上での4つの教訓をTwitterに公開し話題になっています。

食事中に持ち去られた電動キックボード

米ニューヨークのソフトウェア開発企業Trail of Bitsの最高経営責任者(CEO)であるダン・グイド氏(@dguido)が、盗まれた電動キックボードをAirTagを活用して取り戻すまでの一部始終をTwitterに公開、本稿執筆時点で1.3万件の「いいね」を集めています。
 


 
グイド氏の電動キックボードは、8月2日の夜に外食した際、鉄格子に手錠型のロックで固定したものの、片方をロックするのを忘れていたため、2時間足らずの間に持ち去られていたそうです。
 

 
グイド氏が使っていたのはかなり頑丈そうなロックで、米Amazonの商品ページには電動キックボードの固定に使っている使用写真も掲載されていますが、片方のロックを忘れてしまっては無力です。
 

 

AirTagをあえて2つ装着していたグイド氏

しかし、グイド氏は電動キックボードに2つのAirTagを忍ばせていました。ひとつは「おとり」として目につきやすい泥よけに、もうひとつは目立たないよう支柱の内側に、粘着力の強い黒いダクトテープで固定する念の入れようです。
 

 
翌日に電動キックボードを探すことに決めたものの、セキュリティ会議Blackhatに参加するためラスベガスに飛ばなくてはならないグイド氏には、時間がありません。
 
グイド氏は、電動キックボードが検出された場所に自転車で向かいました。キックボードが通りで見つかるのではという期待と、後で回収するまで固定しておくためのワイヤーロックを持って。
 

 

消極的な警察官。後ろ髪引かれる思いで飛行機に乗り込む

グイド氏は、ニューヨーク市警の警察官に現場近くに来てもらいましたが、警察官は手助けに消極的です。彼らはAirTagをよく知らず、グイド氏が何かを盗む手助けを求めているのではないかと考えていたのです。
 
電動キックボードが置かれているらしきアパートを絞り込めたものの、1時間では正確な場所に辿り着くことができずに帰宅し、もう電動キックボードとはお別れだ、と思いながら、飛行機に乗り込みました。
 

 
グイド氏が悲観的だった理由は、AirTagのストーカー防止機能です。自分以外のAirTagが近くにある状態が続くと、8時間〜24時間でiPhoneに通知し、AirTagがサウンドを鳴らします。

1週間、動かなかったAirTag

幸運にも、AirTagはまる1週間にわたって動きませんでした。グイド氏は、早朝にラスベガスから到着すると、新たな作戦に出ます。もう一度、ニューヨーク市警79分署の警察官を説得して、手助けしてもらうのです。
 

 
しかし、警察官はグイド氏の求めを即座に却下します。言い分は以下のとおりです。
 

  1. 盗難現場に行って通報しろ
  2. 自分たちの管轄ではない
  3. キックボードが住宅内にあるなら手助けできない
  4. AirTag?ブードゥー教の魔法のことはよく分からんな。ハッハッハ。

 

説得に成功し警察官と一緒に向かった先で見たものは

グイド氏は辛抱強く前向きに、鍵を使ってAirTagの動作を見せ、非合法なことの手助けを求めているわけではないこと、たった800ドル(約88,000円)なので重大事件ではないと冗談を交え、1時間以内に片付くと説明したところ、ようやく理解が得られました。
 

協力してくれた2人の警察官とともに車に乗り、電動キックボードがあると思われる場所に向かい、グイド氏がアパートを指さしたところ、すぐ隣に電動キックボード店があることに気づきました。警察官とグイド氏は店内に入って行きました。
 

 

店内でAirTagの正確な位置を検出!

店内には新品の電動キックボードは1つもなく、中古品が乱雑に置かれていました。店内に入るとすぐ、AirTagの正確な場所を知らせる超広帯域無線(UWB)の信号を受信しました。たったの13フィート(約4メートル)先にあります!グイド氏は歩き続けるようジェスチャーで指示しました。
 

 

数秒後、グイド氏は電動キックボードとの再会を果たすことができました。しかし、店の従業員は、なぜグイド氏が自分の電動キックボードを見つけられたのか信じられない様子でした。AirTagから音を鳴らしても信じてもらえませんでしたが、電動キックボードメーカーNinebotのアプリでペアリングして見せたところ、最後の一人も納得してくれました。
 

 

切断された電源コード

店のメカニックが、グイド氏の電動キックボードの状態について言い訳を始めました。電動キックボードを持ち込んだ女性がブレーキについて不満を言っていたので、ハンドルバーへの電源ケーブルを切ってブレーキを外してしまった、と言います。
 

 
これは、ブレーキを修理する方法ではありません。
 

 
グイド氏が電動キックボードの状態を確認している間、警察官は店の従業員に質問をしています。中古の電動キックボードを売っているのか?販売者から情報をとっているか?所有者であることの証明を確認しているか?この電動スクーターを売った人の連絡先は?従業員は「ノー」「知りません」と答えています。
 
グイド氏は、店内に防犯カメラがあることに気付き、興奮を抑えた声で先週の火曜日の正午からのビデオを要求するよう伝えました。電動キックボードを外に持ち出しながらグイド氏は「今ビデオを入手しないと、彼らは映像を消してしまう」と重ねて主張しました。

「次に会ったら殺してやる」

ある従業員は、グイド氏たちがさらに調査していることに気づくと激昂し、電動キックボードが戻ってきたのだから喜んで帰れ、盗まれたのがお前が悪い、おれの一日を台無しにしやがって、ブルックリンでのやり方ではない、と言い放ち、ほかの従業員も加勢しました。
 

警察官が証拠の入手に向かっている間、グイド氏は店の外に出ました。すると、最も攻撃的な従業員が後をつけてきて「お前のしていることは、敵を作っているだけだ」と言い、グイド氏に近づいて銃で撃つ真似をしました。次に会ったら殺してやる、と言いたいのです。

 
グイド氏が自己啓発書の古典「人を動かす」に従って相手に同意できるところを必死に探している頃、店内にいた従業員は警察官に協力してビデオを提供していました。電動キックボードを持ち込んだのは女性で、電話番号を残していないそうです。

ハイタッチで迎えられる警察官

グイド氏が警察署で報告書に記入していると、一緒にいた2人の警察官は同僚たちから次々とハイタッチを求められていました。誰も、電動キックボード盗難事件を最後にいつ解決したか記憶にないそうです。
 
グイド氏は、警察官たちにAirTagの使い方を教えて、ライドシェアサービスのLyftで帰宅しました。電動キックボードメーカーのNinebotは、代替品との交換に応じてくれたそうです。

 

AirTagを使って盗まれたものを取り戻すための、4つの教訓

グイド氏は一連のツイートの最後に、今回の経験から得られた4つの教訓をまとめています。
 

  1. AirTagの装着には、目立たず、音を消してくれるものを使う。今回の窃盗犯は明らかにAirTagを探していました。
  2.  

  3. 紛失モードをオンにしない。泥棒に追跡されていることを知らせてしまいます。
  4.  

  5. 素早く行動する。AirTagのストーカー防止機能が動作する前に。グイド氏の電動キックボードの電源コードが切断されたのは、AirTagが定期的に発するサウンドを切ろうとしたためと思われます。
  6.  

  7. 窃盗犯と対面せず、必ず警察に連絡する。援護なしに盗まれたものを取り戻そうとしないこと。

 
 
Source:Dan Guido(@dguido)/Twitter via Daring Fireball
Photo:Amazon.com
(hato)

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