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「iPhone 13」と安くなった「iPhone 12」一緒に使ってみて分かったこと

9月17日から販売がスタートした「iPhone 13」シリーズ。早い人ならすでに使い慣れている頃でしょうか? 一方、これからiPhoneを買い換えようかと悩んでいる人もまだまだ多いはず。そこで、そういった人の一助になるよう同シリーズの実機を使ってみた印象についてお届けします。

 

■「iPhone 12」で変化したこと

まずは、しばらくiPhoneを買い替えていない人のために、おさらいからはじめましょう。

2020年に発売された「iPhone 12」シリーズは、端末のデザインが大きく刷新されました。これらは「iPhone 5s」時代のように、端末側面がフラットな形状に変わり、背面にはマグネットで対応充電器やカード入れのような周辺機器を固定できるMagSafeという機能が追加されました。サイズのバリエーションとして「mini」が追加され、通信仕様も話題の「5G」に対応するなど、話題は盛りだくさんでした。

もし「去年はスルーしちゃったよ〜」という人は、こちらの記事を読んでもらえると、ある程度昨年の情報をキャッチアップできると思います。

>> iPhone 12/12 Proって何が変わったの?デザインやサイズ、カメラなどをおさらい

 

■「iPhone 13」では何が変わったのか

そしてiPhone 12で新たに登場した特徴は、基本的にはiPhone 13シリーズにも引き継がれています。どのような機能が追加され、仕様に変更があったのかについては、速報記事にて大まかに説明していますので、こちらをご覧ください。

>> iPhone 13がiPhone 12から進化した注目ポイントをざっとおさらい

これらを踏まえたうえで、この記事では、iPhone 13シリーズを実際に触ってみた印象を、以下のポイントで紹介していきます。

  1. デザインについて
  2. カメラの進化
  3. ディスプレイの進化
  4. その他仕様の変化

 

(1)デザインについて:ノッチの縮小はどの程度?

iPhone 13シリーズのデザインについて、全モデルに共通する変化としては、ディスプレイ上部の切り込み(ノッチ)が20%ほど縮小したことが挙げられます。

多くのAndroidスマホと比べるとどうしてもそのサイズが目立ってしまっていた部分なので、Face IDを搭載しつつ、ノッチが少しでも小さくなるのはうれしいところですね。実際に画面表示して比べてみましたが、確実に存在感が減ってました。

▲iPhone 12 Pro(左)とiPhone 13 Pro(右)

ただし、ノッチが完全に無くなったわけではありませんし、すでにUIデザインの工夫によって多くの場面でノッチが気にならないようになっていたので、Xシリーズ以降のFace ID搭載モデルを使っていた人としては、あまり差は気にならないというのが正直なところ。

筆者の場合、iPhone 12 miniと13 miniを重ねてみて、「あ、時刻表示が少しだけ大きくなったね」と思うくらいでした。

▲手前がiPhone 13 mini。ちょっとだけ数字が大きい。ちなみにこの写真は日没後の部屋の照明下で「iPhone 13 Pro」の望遠カメラで撮影したもの。後述するように、かなり綺麗になってすごいのだが、こういう厳しい条件下ではやはりすこしノイズは出てしまった

また、カメラ周りのパーツが大きくなっていることも重要な変化です。要するに、iPhone 12シリーズの周辺機器は、iPhone 13シリーズでは流用できません。

▲iPhone 12 Pro/13 Proの背面カメラを比較。レンズサイズだけでなく、ユニット全体のサイズが違うので、ケースのカメラ穴のサイズが異なる

▲iPhone 12/13の背面カメラを比較。新機種はカメラが大きくなったほか、斜め配置になっている。こちらもケースの流用は多くの製品で難しそうだ

全色を手元で比べてみたわけではないので、デザインについては、まぁそんなに変わってないかなという印象。一方で、背面カメラのレンズがかなーり大きくなっているので、レンズを向けられたときの「ぎょろっ」とした存在感はいっそう強まったと思います。

 

(2)カメラの進化:望遠や動画が楽しい

カメラ機能の進化は、非常に多くありました。

ハードウエアとしては、iPhone 13シリーズではセンサーサイズが大きくなり、1画素あたりのセンサーサイズも増えて、より明るい写真が撮れるようになったことに注目。広角カメラの画素サイズは、iPhone 13/13 miniで1.7μm、iPhone 13 Pro/Pro Maxで1.9μmです。また、昨年は最上位の「iPhone 12 Pro Max」にしか搭載されていなかった手ぶれ補正「センサーシフト光学式手ぶれ補正」がほかのモデルにも降りてきています。

▲iPhone 13 ProとiPhone 13

また、ソフトウェア処理については、スマートHDR機能が「3」から「4」へと世代が進み、「逆光を背景に複数人が写っている場面で、各人の肌の色味などをそれぞれ最適化する」、という進化を遂げています(今回は試せていません…)。

そんなカメラを実際に使ってみて、体験に大きな差があったポイントは4つ。

・Proシリーズの望遠がすごい
・「フォトグラフスタイル」はフィルターとは違った体験
・ナイトモードがめっちゃキレイ
・プロっぽい動画が楽しい「シネマティックモード」

 

▼Proシリーズの望遠がすごい

▲左から順に、iPhone 13 Pro(15倍)、iPhone 12 Pro(10倍)、iPhone 11 Pro(10倍)。新世代になるにつれ、ノイズが明らかに少ないのがわかる

まず、Pro/Pro Maxにのみ搭載されている「望遠カメラ」が共に3倍になりました。「iPhone 12 Pro」で2倍、「iPhone 12 Pro Max」で2.5倍だったので、数値上ではわずかな変化ですが、実際に撮ってみると、ソフトウェア面の処理がすごい。最大にズームした状態でノイズがほとんどありませんでした。「スマホのズームなんて使えないよ〜」って思っていた人は、感動するかもしれません。

 

▼「フォトグラフスタイル」はフィルターとは違った体験

▲iPhone 13 Proを使って、標準の状態で撮影したiPad mini

▲iPhone 13 Proを使って、フォトグラフスタイルで「リッチ(暖)」を選択して撮影したiPad mini。赤色がややビビッドになっている。同機能の真価が発揮されるのは、あくまで風景や人物写真だろうが、こういうシンプルな被写体で見てみると何が起こっているのかがわかりやすい

続いて、新機能の「フォトグラフスタイル」。LivePhotosのようにボタンのタップで呼び出せて、カスタマイズしたいくつかのモードをさっと切り替えられるようになっていました。使用者からすると「カスタマイズできるフィルター」みたい印象ですね。

iPhoneでそのまま撮影してこれまでどおり「生っぽい色味」を活かすもよし、撮影即SNS投稿できるような「パキッとした色味」で撮影したいならフォトグラフスタイルで指定するもよし、といった感覚で使い分けられそうだなと思いました。

 

▼ナイトモードがめっちゃキレイ

▲左から順に、iPhone 13 Pro、12 Pro、11 Proのナイトモードで夕暮れの高架下を撮影。11 Proのみ明らかに色味が違う……

▲一つ前の画像の右下(暗い奥の部分)を拡大。iPhone 13 Proでは、ノイズが少なく、黒潰れしていないのがわかる

ナイトモードでの撮影は、かなり明るくなりつつ、ノイズが低減していました。ホールドしていなければいけない時間も、多くの場面で1秒程度短くなったので、従来よりも使いやすい印象も受けます。地味な進化といえば地味かもしれませんが、暗所撮影が多い人は、注目しておきたいポイントですね。

 

▼プロっぽい動画が楽しい「シネマティックモード」

そして、動画撮影機能としては、新たに奥行きの表現が豊かになる「シネマティックモード」が追加されました。前景から後景にかけてピントがじわっと切り替わるような、映像作品でよく見られる手法をiPhoneで再現できる機能です。

▲左がiPhone 13 Proでシネマティックモードを使用。右がiPhone 12 Proで通常の動画撮影

▲左は遠景がボケている

▲左は近景と遠景がボケている

▲左は近景がボケている

発表時には、機械学習で顔を認識して〜的な話が強調されていたので、「人」がいないと使えないのかな?と思っていましたが、景色だけ撮っても結構いい感じになりました。撮ったあとに再編集ができるのも楽しい(ちなみに、Proシリーズの2モデルに関しては、プロ向けのコーデックである「ProResビデオ撮影」に対応したこともトピック。ですが、現時点ではまだ提供されていません)。

 

 

(3)ディスプレイの進化:明るく、滑らかに

ディスプレイの仕様については、通常使用時の「輝度」に変化がありました。HDRコンテンツ視聴時に最大1200ニトが出せるという点は変わっていませんが、下記の様に標準時の最大輝度が高くなっています。

<iPhone 12/12 mini>
625ニト(標準)・1200ニト(HDR)

<iPhone 13/13 mini>
800ニト(標準)・1200ニト(HDR)

<iPhone 12 Pro/Pro Max>
800ニト(標準)・1200ニト(HDR)

<iPhone 13 Pro/Pro Max>
1000ニト(標準)・1200ニト(HDR)

屋外の直射日光下などで画面をより明るくできるので、見やすくなったということですね。使ってみた印象としては、Proシリーズの800→1000は、もともと800ニトで明るかったのでそこまで差は気にならないな、と思いました。一方で、13/13 miniの625→800の変化は、屋外利用が多いなど、運用スタイルによってはありがたく感じる人もいるかもしれません(室内の体験はそんなに違わないですが)。

▲Proシリーズは、ゆっくりスクロールしながらでも文字が視認しやすい

また、Proシリーズの2モデルについては、ディスプレイのリフレッシュレート(書き換え速度)が高まった「ProMotion」テクノロジーに対応。リフレッシュレートが10Hz~120Hzまで変動するので、過剰なバッテリー消費を抑えつつ、滑らかなスクロール表示などが可能となりました。

iPhone 13 Pro/13 Pro Maxだと、ゆっくりスクロールしながらでもWebサイトの表記が見えるな〜、というところ。iPhone 11Proとか12 Proだとブレが目立つんで、しっかり差はあるなと思いました。

一方、すばやくシュッとスクロールすると、従来モデルでも、新モデルでもどちらも文字ははっきり見えません。体験の差はわずかなので、ゲームの成績にこだわるような人でなければ、気にしなくても良いところかな、とは思います。

 

(4)バッテリー持ちが長くなってる:miniで検証してみた

その他、仕様の変化としては、バッテリー持ちが良くなったことに注目です。通常使用では、連続駆動が1.5〜2.5時間のアップと説明されていましたが、公式サイトに「ビデオ再生(ストリーミング)」として表記されている連続駆動時間の公称値をチェックすると、各モデルの伸び幅は以下のようにかなり大きい。

iPhone 12 mini → 13 mini:+3時間
iPhone 12 → 13:+4時間
iPhone 12 Pro → 13 Pro:+9時間
iPhone 13 Pro Max → 13 Pro Max:+13時間

なお、ProシリーズのスタミナUPは、単にバッテリー容量が増えただけでなく、リフレッシュレートの調整が関係しています。そのため、視聴する動画のフレームレートが何fpsなのかによっても変化してくるので、その点は理解しておくといいかもしれません(長時間YouTubeを観たかったらfpsを下げようということですね)。

実際に、iPhone 12 miniとiPhone 13 miniをWi-Fiに接続し、同じ時間YouTubeを再生してバッテリー持ちを比較してみました(画面輝度は自動設定。なお、これらの機種はプロモーションディスプレイ非対応です)。

絵の動きがすくないBGM集をかけていたのですが、1時間経過時点でiPhone 12 miniが97%、iPhone 13 miniが98%。わずかながらも健闘しています…。動きの多い動画に変更してさらに1時間後、残量表記はiPhone 12 miniで89%、iPhone 13 miniで91%でした。

たしかに、バッテリーの減りは緩やかになっています。どうしてもiPhone 12 miniは、ほかの機種と比べてしまうと「なんだか電池持たないなぁ〜」と感じることがあったので、わずかではあっても、この変化はありがたいですね。

*  *  *

前モデルとなるiPhone 12/12 miniは割引の上で併売されているものの、コスト面を考えなければ、iPhone 13シリーズの方が良いと思える部分はやはり多いですね。特にカメラ周りの進化やバッテリー持ちの差は重要だと思うので、購入前にはどちらがよいか、しっかり検討してみてください。

>> Apple「iPhone」

 

<取材・文/井上 晃

井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter

 

 

 

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