大日本印刷、NTT西日本、NTT東日本は共同出資を行い、高等教育の高度化に取り組む新会社「株式会社NTT EDX」を2021年10月8日に設立すると発表しました。
出版社・大学・書店を結ぶ
今回の3社共同での新会社設立には、どのような背景があったのでしょうか。大日本印刷は2021年3月より、出版社と大学と書店をネットワークで結び、大学や専門学校の教科書・教材の選定において、教員が情報検索・閲覧・選書やシラバス登録などを容易に行えるサービスを提供しています。
同社は、出版社が登録する教科書・教材などの書誌情報をデータベース化し、教員のオンラインでの教科書選定を支援。キーワードやジャンル別で、出版社を横断した教科書・教材の検索が可能なため、オンライン上で授業に適した教科書を十分に検討できます。
教員が選書の上、登録された書誌データは、各大学の教務システムと連携させることで、シラバス登録時や、学生への販売時の参考情報として利用することも可能。プラットフォーム上で教科書・教材の選定から実際の利用までの一元管理を行えるため、出版社・大学・書店の業務効率化を進めるとともに、学生の利便性向上にもつながります。
NTTのICT基盤を活用
また大日本印刷は、NTT西日本とともに、大学における教育のデジタル化に向けた協業も進めてきました。2020年4月には、京都先端科学大学と武庫川女子大学に、電子教科書の閲覧が可能な学内システムをシステムインテグレーションにより導入するなど、こうした取り組みを通じて、ICTを活用した教育のデジタル化におけるノウハウを蓄積。
2021年5月には、NTT東日本もこれに加わり、さらなる協業体制の強化を実施。NTT西日本・NTT東日本が保有する高品質なICT基盤および営業ネットワークと、大日本印刷が保有する教育コンテンツ制作・配信ノウハウを組み合わせることで、高等教育機関向け電子教科書配信サービスの全国展開を目指してきました。
包括的プラットフォームを提供へ
このように、ICTを活用した教育のデジタル化におけるノウハウを蓄積するとともに、教科書・教材を提供する出版社との連携強化や、協業の効果拡大に向けて取り組んできた3社 。一方で、これまでの取り組みは、高等教育機関毎の個別のソリューションにとどまっていたのだといいます。
そこで、「より高機能で、リーズナブルに、また早期に」全国の高等教育機関へ広げていくためには、プラットフォームサービスとして提供することが必要だと判断。また、多くの高等教育機関・出版社・教科書の販売会社(書店)から、学生の学修利便性への期待、教科書や教材関連の課題解決への期待から事業化の要望もあり、3社共同による事業会社「株式会社NTT EDX」の設立に至ったとのこと。
「株式会社NTT EDX」は、電子教科書・教材事業を軸に、高等教育の課題解決に向けた各種サービスを提供するとともに、出版社・書店の業務の電子化・効率化を支援する取り組みを行います。
(文・Takeuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/163778
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:takeuchi