Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、同社の本社をカリフォルニア州パロアルトから、最近テック企業やリモートワーカーが急激に増えているテキサス州オースティンに移転すると発表した。マスク氏はこのニュースを、2021年のTesla, Inc.年次株主総会でアナウンスした。この総会は、例年のようにベイエリアではなく、Teslaのオースティンにあるギガファクトリーで行われた。
また、マスク氏は、Teslaは今後もカリフォルニア州での活動を継続的に拡大し、フリーモントのギガファクトリーの生産量を50%増加させると述べたが、どのようにしてそれだけの生産量増加を実現するかについては詳しく説明しなかった。同工場では現在、年間約50万台のModel 3(モデル3)とModel Y(モデルY)、さらに年間約10万台のModel S(モデルS)とModel X(モデルX)を生産することが可能だ。
Teslaは2020年5月、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために、必要不可欠とみなされない事業を制限して、カリフォルニア州フリーモントにある同社の製造施設を閉鎖するよう命じられたことをめぐり、同州アラメダ郡を提訴し、自分の事業を州外に持ち出すと脅していた。同社はわずか2週間後に訴訟を取り下げたが、マスク氏は確かに気が立っており、こうツイートした。「率直に言って、堪忍袋の緒が切れた。Teslaは今後、本社と将来のプログラムを直ちにテキサス州かネバダ州に移すだろう。もしフリーモントの生産活動を維持するとしても、それはTeslaが今後どのように扱われるかにかかっている。Teslaはカリフォルニア州に残された最後の自動車メーカーだ」。
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Frankly, this is the final straw. Tesla will now move its HQ and future programs to Texas/Nevada immediately. If we even retain Fremont manufacturing activity at all, it will be dependen on how Tesla is treated in the future. Tesla is the last carmaker left in CA.
— Elon Musk (@elonmusk) May 9, 2020
マスク氏は今回の株主総会では、アラメダ郡とのドラマについては触れなかった。むしろ、テキサス州への移転は、労働者にとってよりアクセスしやすい場所にあることが理由の1つだとしている。
「家を買うのも大変だし、遠くから通勤せねばならず大変です」とマスク氏は述べた。「ベイエリアでは、工場の規模を大きくするのには限界がある。オースティンでは、工場は空港からものの5分くらい、ダウンタウンからは15分のところにあります」とも。
同氏は、Teslaはコロラド川に近いオースティンの敷地に「エコロジカルパラダイス」を建設することを計画していると述べた。
イベントの中でマスク氏は、Cybertruck(サイバートラック)に関する最新情報も提供し、2022年末に生産を開始し、2023年には「量産」すると述べた。Tesla Semi(セミ)とRoadster(ロードスター)は2023年末までに生産が開始され、それに続くことになる。
マスク氏は遅延の理由として、継続的な半導体不足を含む複数のサプライチェーン問題を挙げている。
「特にSemiは多くのセルが必要で、たくさんのセル(と)チップを必要とします」と同氏は述べた。
Teslaは2017年にSemiのプロトタイプを、そして2019年にCybertruckを発表したが、両モデルともその後度重なる延期に直面しており、常にサプライチェーンの問題が挙げられている。
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マスク氏が車両生産の状況を説明する前に、株主総会ではさまざまな議案が決議された。
Institutional Shareholder Servicesが反対票を投じたにもかかわらず、マスク氏の弟であるKimbal Musk(キンバル・マスク)氏、21st Century Fox(21世紀フォックス)の元役員でメディア界の大物Rupert Murdoch(ルパート・マードック)氏の息子であるJames Murdoch(ジェームズ・マードック)氏が取締役に再選された。
株主会は、2021年12月31日に終了する会計年度におけるテスラの独立登録会計事務所としてのPricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース)の任命を批准することを含め、ほぼすべての議題についてTeslaの取締役会の提案を承認した。しかし、投資家たちは3つの提案項目について取締役会の勧告に反した。通常、株主らはTeslaが設定したラインに沿って投票するが、2021年、投資家たちはTeslaの取締役を3年ごとではなく1年ごとに再選に立候補させることを決議した。
また、株主総会では、Teslaが従業員の多様化に向けた取り組みについて、より詳細な情報を公表することを求める決議がなされた。これは、Teslaが、フリーモントにあるEV工場での差別や人種的虐待を容認していたと告発した元黒人契約社員のOwen Diaz(オーウェン・ディアス)氏に、1億3700万ドル(約151億円)の損害賠償を支払うよう命じられた2日後のことだ。
Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)が出資する責任投資会社Calvert Research and Managementの副社長兼コーポレート・エンゲージメント・ストラテジストであるKimberly Stokes(キンバリー・ストークス)氏は「多様性に富んだインクルーシブなチームがより多くのイノベーションを支えることは、リサーチで明らかになっています」と述べた。「Teslaの2020年DEIレポートには、投資家が同社のパフォーマンスを長期的に同業他社と比較するのに、十分な量的・質的情報がありません。この報告書で1つ明らかになったのは、Teslaの顧客基盤が進化し、より多様化している中で、マイノリティの従業員が過半数を占めているにもかかわらず、テスラのリーダーシップは83%が男性、59%が白人であるということです」とも。
Calvertの提案では、Teslaに対し、人種と性別の包括的な内訳を含む、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みに関する年次報告書の発行を求めている。
画像クレジット:Mason Trinca for The Washington Post / Getty Images
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(文:Rebecca Bellan、Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)