近年、モバイルデータ通信量の増大や各国でのデータセンター建設増加などを背景に、国際通信における回線需要の大幅な拡大が予想されています。特に欧州と米国を結ぶ北大西洋地域は、2021年~2035年の間にデータ通信量が約20倍になると予測されているようです(出典:Telegeography)。この回線需要に応えるものとして注目されているのが、大容量・高速な通信を実現する海底ケーブルだといいます。
そんな中、日本電気株式会社(NEC)は、Facebook社と北大西洋を横断する超大容量光海底ケーブルのシステム供給契約を締結し、同ケーブルの建設を開始しました。なお、同ケーブルの計画・運用はFacebook社が担います。
超大容量伝送を実現
これまで、中継器による光増幅が必要な長距離光海底ケーブルでは、ケーブル1本に収納する光ファイバーの数は最大でも32心(16ファイバーペア)程度でした。しかし今回は、NECが新たに開発した48心(24ファイバーペア)の海底ケーブルを使用します。
これにより、設計によって多少差異はあるものの、ケーブル単体では32心のケーブルと比較して1.5倍の伝送容量を実現し、毎秒0.5ペタビット(0.5Pbps)の設計容量を可能にするようです。ちなみに、0.5Pbpsの伝送容量があれば、1秒間に最大約13,300枚のDVD(4.7GB)を送信できます。
このケーブルが完成すると、中継器による光増幅が必要な長距離光海底ケーブルとしては世界最大容量(NEC調べ)となる超大容量伝送が実現するとのことです。
NECの海底ケーブルシステム事業
NECは、過去50年以上にわたり海底ケーブルシステム事業を手がけてきました。これまで建設してきた海底ケーブルは、インドネシア国内の総延長約2,000kmのものや、富士通株式会社と共に建設した日本とフィリピン、香港、マレーシア、シンガポールを結ぶ総延長約7,800kmのもの、シンガポール、香港、米国を結ぶ総延長約16,000kmのものなど、アジア・太平洋地域の通信需要に応えています。その敷設実績は、地球7.5周分のべ30万kmを超えるとか。
今回建設される海底ケーブルは、NECとして初めて手がける北大西洋横断ケーブルです。なお、ケーブルの製造は、日本で唯一深海8,000メートルの水圧に耐えられる光海底ケーブルを製造可能なNECの子会社・株式会社OCCが担うようです。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/164056
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口