株式会社JVCケンウッドは、オーストラリアのLa Trobe University(以下、La Trobe大学)および医学研究機関であるTelethon Kids Instituteと共同で進めていた視線計測装置「Gazefinder(ゲイズファインダー)」による自閉スペクトラム症(以下、ASD)評価に関するオーストラリアでの治験が完了したことを発表しました。
また、「Gazefinder」の視線計測技術を応用したASD評価機器の医療機器承認を目指し、オーストラリア医療製品管理局(以下、TGA)への申請を行ったようです。
「Gazefinder」に独自の評価プログラムを搭載
「Gazefinder」は、JVCケンウッド独自の視線計測技術により、モニターを目視する人の視線を計測し、人の興味や脳の働きとの関係性を可視化することができる視線計測装置。2016年9月に初代モデル「NP-100」が、2020年5月に後継機である「NP-200」が発売されました。「NP-200」では、サンプリング周波数の拡張やセキュリティ向上のためのユーザーアカウント設定などの機能を拡充するとともに、薄型化・軽量化も実現しています。
2020年1月の治験開始以降、2~4歳のASDと診断された被験者および定型発達の被験者200人以上に対して評価を実施。その結果、従来の医師による診断結果や研究チームによる行動観察の結果と比較して、有効性と安全性が確認されたため、治験を完了したとのことです。
豪州での医療機器承認を目指す背景
オーストラリアは多民族国家であり、言語的背景を持つ国民への医療サービス対応などに課題がある上に、ASDを含む発達障がいの診断においては、州ごとに診断基準が異なるという課題もあるようです。一方で、La Trobe大学やTelethon Kids Instituteをはじめとするオーストラリアの研究チームは、出生から就学までの幼児におけるASDの早期発見・診断・介入に関する研究で国際的に高い評価を得ています。
そこでJVCケンウッドは、オーストラリアでのASD評価機器の医療機器承認取得を目指して治験を実施。治験完了に伴い、「Gazefinder」の視線計測技術を応用したASD評価機器として、TGAへ医療機器の承認申請を行いました。
同評価機器が承認されれば、通常3歳以前に発症されると言われるASDについて、幼児期からの評価機会を増やし、適切なタイミングでの療育を促進できるといいます。また、医師の評価結果の客観性を高めることが可能となり、評価に1時間以上を要する従来の評価ツールに比べて診断プロセスのスピードアップにも期待できるとのことです。
PR TIMES(1)(2)
株式会社JVCケンウッド
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/164250
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口