【&GPスタッフ私物ギア5選 ⑤】
スタッフ愛用キャンプギアのトリを務めるのは編集長の澤村尚徳。
世界中を旅して、おもしろい人とモノを見つけてきた経験を持つ澤村は独自のアンテナを持っているのでしょう、決して王道にとらわれることはありません。
キャンプ撮影にも“そこ!?”と唸るギアを毎度チラ見せしてくれます。
納得のいく道具にたどり着くまでとにかくいろいろな道具を試す性質であり、気に入ったものは数をそろえる習性があることを考慮して、愛用品5選を眺めると味わいが増します。
1. エーライト「マンティスチェア2.0」
高剛性の超軽量フレームに座面を引っ掛ける構造のチェアがいまや定番となっていますが、その元祖とも言うべきなのがエーライトです。
2008年に前脚のない「モナークチェア」で颯爽とデビュー。その後登場したヘリノックス「チェアワン」がキャンプシーンを席巻してしまいましたが、かわいくて軽量、組立簡単な“新しい構造のチェア”を発明したのは間違いなくエーライト。
「当時、こんな画期的なチェアはほかにはないと思い、モナークを4脚手に入れました。でも、座らないと倒れちゃうし風に飛ばされちゃう。今では4本脚のマンティスを使っています。チェアツーも持っていて、撮影だとバランスのいいチェアツーを使いますが、個人的にリラックスできるのは断然マンティス」
「マンティスチェア2.0」の座面高は203mmで「モナークチェア」は180mm。エーライトのチェアは「チェアワン」よりも約140mm以上地面に近く、それが、澤村がひとりでまったりキャンプをするにはちょうどいいそう。
気になるのは「エーライトのチェアは壊れやすい」という噂があったことです。エーライト好きとしてはそのあたりをどう考えているのでしょうか?
「壊れますね。脚が裂けてしまって、ゴリラテープで補強して使っています。かつての輸入代理店でも修理をしていないのが残念です」
某キャンプアニメで再びエーライトが注目されていますが、時すでに遅し。どうやらエーライトは数年前に廃業してしまったようで修理しようがないわけです。
今や中古市場で高額売買されるホットなブランドを複数所有している先見の明がスゴイというべきか、体重を支える脚を補強できるゴリラテープがすごいというべきか。それとも、なんだかんだ言って使えるエーライトのチェアがスゴイのか。いろいろ考えさせられるチェアです。
2. コールマン「遠赤ヒーターアタッチメント」
秋冬キャンプの暖房をなんとかしたい。そう考えるキャンパーは多いでしょう。
ポータブル電源と電気毛布、薪ストーブ、スノーピークのシェルターでのみ使用できるスノーピークモデルの灯油ストーブあたりが候補となりますが、澤村が狙ったのはイギリス軍が使っていた煮炊きできるストーブ「Valor 65 C」。
ヴィンテージなのでオークションサイトをこまめにチェックしていたわけですが、落札価格は3万円程度。どうしようか悩んでいたとき、ふと“関連商品”としてでてきたのが「遠赤ヒーターアタッチメント」だったそう。
「定価で3000円を切るし、30年前から使っている442に装着できる。こんなものがあったんだ、これでいいじゃんと思って今シーズン購入しました」
コールマンのガソリンシングルバーナー「442(フェザーストーブ)」と「508A(スポーツスターⅡ)」がヒーターになるというアタッチメントで、重量はわずか100g。
遠赤外線ヒーターで、小さいのにじんわり足元をあたためてくれます。
「秋冬対策として思いのほか、いい製品でした。Valorのような煮炊きは無理ですが、上がフラットだからシェラカップを置いて保温に使う、湯煎するなんてことができるのも気に入っています」
3. FEDECA「It’s my knife Folding」
FEDECAのクッキングシリーズは、ハンドルと刃が独特の角度を描いて使いやすく、また、分解して洗えるので衛生的だと評判です。
できあいの「ヤマ飯ナイフ」「折畳式料理ナイフ」がありますが、澤村が選んだのはハンドルを自分で削って組みたてるという「It’s my knife Folding」。
「コロナ禍で自宅にいる時間が長くなったのでいろいろやろうと思って、手に入れました」
中学時代に卓球部だった澤村によると「ペンホルダーラケットは自分の指に沿うように、自分でグリップを削ります。この経験が活きた! おかげでナイフのハンドルも手にしっくりくるように削れました」
クッキングシリーズナイフはステンレス鋼(青紙三号)ですが、「It’s my knife Folding」は炭素鋼(青紙二号)だというのもポイントです。
「ナイフは何本も持っていて料理用にステンレス刃のオピネルを使っていましたが、炭素鋼は別物。軽い力でスーッと切れます。それに考え抜かれた角度はやはり料理に使いやすく、千切りしやすいですね」
削りすぎると後戻りできませんが、形も色も好きなように作れるのがDIYのいいところ。DIY好きの人、卓球経験のある人はチャレンジしてもよさそうです。
4. Stay smile「カーボングリルプレート」
極厚ミニ鉄板が人気です。が、澤村が注目したのはカーボンプレート。
「以前、このプレートの製造元が発売していたカーボン鍋を使ったことがあるんです。それがカーボンとの出合いで、肉のうまさが違った。カーボンプレートは純度99.9%の炭素。木炭は純度92%でしょ。炭焼と同じで遠赤外線が発生するし、熱伝導率が高いので縁のほうに肉を置いてもきれいに焼けます。鉄板よりも中がふっくらしておいしいんですよ」
「カーボングリルプレート」のサイズはφ180mm。ソロにちょうどいい大きさで、バーナーはもちろん、焚き火にかけても大丈夫です。
縁が少し高くなっているので、火にかけたあとそのままテーブルに置いてもいいし、裏側はサンドブラストをかけているので五徳から滑り落ちにくくなっているなど小技が効いています。
「表面にセラミックコーティングを施しているので汚れ落ちがいい。夜、ひとりで肉を焼いてそのまま寝ちゃったとしても、翌朝、スルッと汚れが落ちます。セラミックコーティングはフッ素コーティングよりも傷がつきにくいけれど、それでもいずれコーティングは劣化します。でもね、再コーティングしてくれるんですよ」
澤村は、肉だけでなく鯵の干物やサバのおいしさに感激したそう。
よほど海のそばのキャンプ場でない限り、魚を焼こうとは思いませんが「カーボングリルプレート」は魚を食べようという気にさせる。そんなプレートと言えそうです。
5. 野良道具製作所「野良スティック」
「ファイヤースターターはなぜか集めたくなるギアです。撮影などすぐに火を付けなくちゃいけないときはライターのほうが断然便利だし、なんならフリントとホイールだけで火花を飛ばすやつだってあるわけです。言ってみればファイヤースターターは雰囲気を楽しむもの。なくてもいい道具なんだけど、やりたい年頃なんですよ」
「野良スティック」は真鍮ハンドルで極太の13mm径。長さもおおよそ100mmあります。ひと目で“でかい”とつぶやくほどの迫力です。
「2cmくらいのものも使ったことがありますが、やはりストロークが長いほうが火花を飛ばしやすく、着火しやすい。セットのストライカーではなく、ブッシュクラフト製に付け替えたんですが、両方あわせると7000円くらいになる。当然、購入まで1ヶ月悩みました。1泊のキャンプで1回しか使わないモノで、雨の日は使わない。それにほかにも同じことができるファイヤースターターを持っているわけですから。でも、サバイバルでも必需品でもなく、遊びだからこそこだわってみたいと思って手に入れました」
正真正銘の大人買い。もっといい遊び道具があるんじゃないかと追い求める。このこだわりがモノ系メディアの編集長の証でしょう。
<取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/405054/
- Source:&GP
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