Foxconn(フォックスコン)は現地時間10月18日に開催した「HHTD21」イベントで、SUVとセダン、そして路線バスを含む3台の電気自動車のプロトタイプを発表した。YouTubeで公開されている公式動画やNikkei Asia(日経アジア)の報道によると、同社はEVに関して「もはや新参者ではない」と述べ、最大で年間1兆新台湾ドル(年間約4兆円)のビジネス展開を目指すという。
FoxconnはこれらのEVを「Foxtron(フォックストロン)」というブランドのもと、台湾のYulon Motor(裕隆汽車)と共同で開発した。裕隆汽車はLuxgen(ラクスジェン)という自社ブランドで高級車を展開している他、Nissan(日産自動車)やMitsubishi(三菱自動車)の車種を現地生産している自動車会社だ。今回公開されたプロトタイプは、高級セダン、SUV、路線バスの3車種で、それぞれ「Model E(モデルE)」「Model C(モデルC)」「Model T(モデルT)」と名付けられている。
これらの車両は、Foxconnが開発したソフトウェア / ハードウェアのオープンプラットフォーム「MIH」をベースとしている。基本的にはキットとして設計されており、EVブランドが独自の仕様で量産できるリファレンスデザインとして提供されるものだ。
Model Tバスは、早ければ2022年(できれば別の名前になることを願いたい)路上に登場する可能性があり、一度の満充電で走行可能な航続距離は400km、最高速度は120km/hとなる見込みだ。Taiwan News(台湾英文新聞)によると、このバスには、歩行者に注意を促す警告音を発する機能や、高度な温度管理、高い衝突安全性などの技術が搭載されているという。
Foxtron Model Cは、2023年までに台湾で販売が予定されている電気自動車のSUVで、高い効率性と停止状態から100km/hまで3.8秒で加速する動力性能を備える。FoxconnのYoung Liu(劉揚偉)会長によれば、価格は100万新台湾ドル(約400万円)以下になる見込みだという。2台より遅れて市場に投入される予定のModel Eは、イタリアのPininfarina(ピニンファリーナ)と共同でデザインされた高級パフォーマンスセダンで、最高出力750馬力、0-100km/h加速2.8秒、航続距離750kmという高い性能を発揮することになっている。発売時期は未定だ。Yulon Motorは、このデザインを採用する最初のEVメーカーの1つになるだろうと、同社のLilian Chen(嚴陳莉蓮)会長は述べている。
Foxtronが目指すのは、EVを販売する市場の近くで生産することによってコストを抑えるというトレンドを利用することだという。Foxconnは米国内にEV工場の建設を計画しており、先には資金繰りに苦しむLordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)からオハイオ州の製造工場を買収すると発表した。この工場では、Lordstown Motorsの電動ピックアップトラック「Endurance(エンデュランス)」を製造するとともに、Foxconnが提携を結んでいるFisker(フィスカー)と開発したEVの生産を2023年末までに開始することを目指している。Foxconnは、欧州におけるEV生産計画の詳細も、近日中に発表するとしている。
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編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したSteve Dentは、Engadgetの共同編集者。
画像クレジット:Fabian Hamacher / reuters
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(文:Steve Dent、翻訳:Hirokazu Kusakabe)