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素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトが約7000万円のシード調達

素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトが約7000万円のシード調達素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトは10月20日、シードラウンドおいて、第三者割当増資による約7000万円の資金調達を発表した。引受先はインキュベイトファンド。

調達した資金により、同プラットフォームの開発を進める。2022年4月開始予定のクローズドテストの希望者を2021年中に募り、2022年秋から冬ごろの正式提供開始を目指す。

ランデフトの研究開発データ管理プラットフォームは、材料科学分野の研究開発におけるワークフロー(合成、測定、解析、報告)で生じる情報を管理の対象とするものという。各段階で生じる情報をすべての源である試料に紐付けて本来保たれるべき情報間のつながりを保持し、材料科学分野特有の多様なメタ情報も適切に管理することで、データ駆動科学と呼ばれる新しい研究パラダイムに組織として対応できる体制を提供する。

また、代表的な測定手法に対応するデータ解析機能やグラフ・報告書の作成、各種テンプレート機能も盛り込むことで、研究開発サイクルにおけるデータに関わる日常業務をワンストップで効率的に遂行できる環境も提供する。

同プラットフォームにより「日常の煩雑なデータハンドリングタスクにかかる作業時間の短縮」「見落とし・手戻りの減少」​を実現し、研究者は、より多くの時間を価値創造的な仕事に使えるようになる。即効性のあるコスト削減を目的とするこれらの顧客価値に加え、価値創造を目的とする大量データの一括解析機能や機械学習を用いた解析手法の導入も計画している。

昨今の研究の現場では、研究開発の本質的な困難さとは関係のない様々な非効率さや理想的とはいえないやり方が存在しており、スプレッドシートに頼り切った研究開発データの取り扱いはその1つという。

ランデフトによると、研究開発の過程では、複数のグループ・部門において様々な種類の情報が多様なフォーマットで大量に生じるという。ところが、これらの情報はスプレッドシートによる管理に依存していることで本来保たれるべき関係性が断たれ、その存在を知っている人が組織に残っているかさえわからないまま放置されている場合が大半だという。

同社は、実験科学・理論科学・計算科学に続き、データ駆動科学の重要性が増す中で(JST研究開発戦略センター調査報告書「デジタルトランスフォーメーションに伴う科学技術・イノベーションの変容」)、日々生成される情報を適切に蓄積・活用するために、研究開発部門の業務フローもDXの進む他職種部門同様にスプレッドシートの1歩先へ進む必要があると考えているとした。

また、素材業界と呼ばれる企業群が関わる材料科学分野では、情報の形態が多様であり、それらをまとめて管理する困難さから、活用を見越した研究開発データの適切な管理がほとんどなされていないという。

日本の素材産業のグローバルな競争力の源泉である研究開発力を保つためには、マテリアルズインフォマティクスを含めたデータ駆動科学への適応が避けられない状況にあり、その根幹となる研究開発データの適切な蓄積・活用基盤の構築は素材業界全体の喫緊の課題となっている(JST研究開発戦略センター戦略プロポーザル「材料創製技術を革新するプロセス科学基盤 ~プロセス・インフォマティクス~」)。

ランデフトは、情報技術の面でのサポート体制に恵まれてこなかった素材業界の研究開発を縁の下で支えるべく、この課題に正面から取り組むとしている。

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