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芝浦工業大学が植物固有の触覚センサーとなるタンパク質を世界で初めて特定

芝浦工業大学の吉村建二郎教授たちからなる研究チームは10月18日、MCA1とMCA2タンパク質が植物の触覚センサーとして働くことを世界で初めて証明したと発表した。これまで植物には機械的刺激(力学的刺激)を感じるメカニズムがあり、その触覚センサーの候補はいくつか挙げられていたが、特定はされていなかった。この発見は、学術的に高く評価されるべきものと研究チームは考えている。

植物は移動が困難なため、風や害虫や障害物などによる機械的な刺激に敏感に反応して対処するメカニズムが備わっていると考えられてきた。その触覚センサーの候補として、2007年に東京芸術大学の飯田秀利教授らがシロイヌナズナのMCA1とMCA2というタンパク質を発表していたが、決定的な証拠は得られていなかった。

飯田教授の研究では、細胞膜上にあるMCA1とMCA2は、機械的な刺激によって細胞膜が伸ばされると、細胞内にカルシウムイオン(Ca2+)を取り込む働きがあることがわかったのだが、MCA1とMCA2が直接刺激を感じているのか、別のタンパク質が刺激を感じてその情報をMCA1とMCA2に伝えているのかが区別できずにいた。それを確かめるためには、脂質人工膜上にMCA1とMCA2を組み込んで、カルシウムイオンの透過を電気生理学的に調べる必要があった。

そこで、電気生理学的研究において世界の第一人者である芝浦工業大学システム理工学部機械制御システム学科の吉村建二郎教授を加えた、東京学芸大学の飯田和子研究員、飯田秀利名誉教授からなる研究チームは、人工合成したMCA2を脂質人工膜上に組み込み実験したところ、人工膜を引っ張ったときにMCA2がカルシウムイオンを通す確率が上がることを突き止めた。さらに、脂質人工膜内へのカルシウムイオンの流入も分光学的に証明できた。

機械的刺激は、古くから農業で応用されてきた。そのひとつが麦踏みだ。この発見により、植物の成長をよりよく制御できるようになり、農作物の収穫量を増やすことにもつながるものと期待されている。

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