Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、Missy Cummings(ミッシー・カミングス)氏が米国で最上位の交通局の重要な顧問に任命されたことについて、Twitter(ツイッター)で懸念を表明したが、米国運輸長官のPete Buttigieg(ピート・バッティジエッグ)氏は、マスク氏に懸念があるなら直接自分に話すようにと提案した。
Reutersによると、バティジエッグ氏は米国時間10月20日に開催されたイベントで「もしマスク氏が懸念を抱いているのであれば、ぜひ私に電話して欲しい」と、記者団に語ったという。「我々には道路を走るすべての車両が安全であることを確認する責任があります」。
マスク氏は、Duke University(デューク大学)の工学・コンピューターサイエンス教授であるミッシー・カミングス氏が、米国運輸省道路安全局(NHTSA)の安全顧問に任命されたことに憤慨している。「客観的に見て、彼女の実績はテスラに対する甚だしい偏見がある」と、マスク氏は米国時間10月19日に語った。
Objectively, her track record is extremely biased against Tesla
— Elon Musk (@elonmusk) October 20, 2021
NHTSAの最近の行動は、政治的な動機があり、テスラに対して強い偏見があるように見えました。今回のミッシー・カミングス氏の起用は、その説を裏付けるものに思えます。イーロン・マスクさん、感想は?
マット・スミス客観的に見て、彼女の実績はテスラに対する甚だしい偏見があります。
イーロン・マスク
デューク大学で「Humans and Autonomy Laboratory(人間と自律性の研究室)」を率いるカミングス氏は、マスク氏といつでも「喜んで座って話をします」と答えた。
カミングス氏もTwitterを頻繁に利用しており、そこでテスラの運転支援技術とその展開方法についてしばしば懸念を表明している。9月には、テスラがその「Full Self-Driving(フル・セルフドライビング)」ソフトウェアのベータプログラムに参加を認めるユーザーを選別するために「安全スコア」を導入したことを批判する一連のツイートを行った。
しかし、彼女のテスラに対する批判はもっと昔にまで遡る。2年前、カミングス氏は、テスラの先進的運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」について「モードの混乱を引き起こしやすく、信頼性が低くて安全性に欠ける」と(これもTwitterで)述べ、NHTSAはテスラにこの機能を停止するよう求めるべきだと続けた。
カミングスがNHTSAの安全顧問に指名されたことは、NHTSAが今後、先進運転支援システム(ADAS)やテスラに対してより保守的な姿勢をとることを示唆していると考えられる。
もちろん、NHTSAとテスラはこれまで馴染みがなかったわけではない。道路安全局は2021年8月、テスラのクルマが駐車中の緊急車両に衝突した12件の事件を発見し、Autopilotについて安全性調査を開始した。この規制当局はまた、2017年の死者を出した事故と、それ以降にテスラのADASが関与した25件の事故に対しても調査を行っている。
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8月の時点では、テスラのFSDが完全な自動運転を実現できると思うかと尋ねるツイートに対し、カミングス氏は次のように答えている。「私の予想では、絶対無理」。しかしそれは、彼女が必ずしもLiDAR(レーザー光のパルスで距離を測定する光検出・測距技術)こそが解決策だと考えていることを意味するわけではない。カミングス氏は、完全な自動運転はディープラーニングの進化によってもたらされる「不確実性の下で行われる推論の完全な再考」なしには実現できないという考えを述べている。
テスラの支持者たちは「Autopilot Users for Progress(進歩のためのオートパイロット・ユーザーたち)」というバナーの下、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領とNHTSAのスタッフに対し、利益相反や偏見の懸念に関して人事の見直しを求める請願運動をChange.orgで開始した。
画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)