高等教育機関での学修歴証明書のデジタル化は、海外では1970年代から進められ、現在では40カ国以上でデジタル化された学修歴証明書が発行されています。一方、日本の大学ではほとんど普及していないのが現状です。
そんな中、一般社団法人国際教育研究コンソーシアム(RECSIE)と、アイルランドに本社を置く国際的な教育関連IT企業Digitary社は、芝浦工業大学と共に学修歴証明書デジタル化プロジェクトを推進してきました。そしてこのたび、同大学にてデジタル証明書の発行を開始します。
学生・卒業生のグローバルな活躍に期待
このたびのデジタル化に活用されているのは、Digitary社の「Digitary COREプラットフォーム」。これは、学習者がオンラインで安全かつ迅速に認証済み学修歴証明書を共有することが可能なプラットフォームです。現在、オーストラリアやアメリカ、ヨーロッパ諸国などの高等教育機関において広く採用されています。
今回デジタル化するのは、卒業証明書や成績証明書などの学修歴証明書。2021年10月から一部の証明書のデジタル化を開始し、2022年4月からはすべての証明書のデジタル発行開始を予定しているとのことです。
これにより、同大学の学生・卒業生は、国内外での就転職時に、世界中どこからでも自身のデジタル証明書にアクセスし、検証可能な公式証明書と真正性確認のためのリンクURLなどを自ら送付することができるようになります。
また、同大学は、プラットフォームを共有する海外の大学と相互に学修歴証明書の電子共有が可能になるため、提携校や留学生対応の際の効率化が期待できるようです。さらに、紙の証明書発行の減少による事務コストの削減やSDGsへの効果も見込んでいるといいます。
生涯学習の推進にも貢献!?
デジタル証明書の仕組みは、生涯学習の普及促進のためにも不可欠と考えられています。というのも、デジタル証明書を活用すれば、時間的・地理的に分散化した生涯学習の学修歴を効率的に利用・処理できるからです。
近年世界では、生涯学習の必要性が広く認識され、各国政府や国際機関がその普及拡大を推進しているところ。今回の同大学でのデジタル証明書発行開始は、日本での生涯学習の推進にとっても先駆的な一歩を切り拓いたものと評価されているようです。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/165061
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口