送電線の外観検査は、これまでヘリコプターからの目視やカメラ撮影、また地上からの目視などに頼ってきた。手動のドローンを使うこともあるが、作業員の経験に頼ることが多い。そこで、DJIの業務用ドローン「Matrice 300 RTK」の自動飛行機能による点検の実証実験を行った。
実験は、直径35mmの送電線を1.2kmに渡って水平移動しながら点検するというもの。事前に、鉄塔と送電線の形状と位置を示す点群データを取得し、ズームカメラ「Zenmuse H20T」で外観を撮影した。このデータをもとに、解析ソフト「DJI Terra」で正確な3Dモデル点群を作り出した。これを使って、送電線と一定の距離(25m)を保ちながら撮影を行うドローンの自動飛行プログラムを作成し、実行。
結果として、作業時間は従来方式にくらべて大幅に短縮された。撮影データは、最大23倍の光学ズーム、有効画素数2000万画素のカメラで撮影された高精細な画像として取得できた。画像はリアルタイムで確認できるので、問題のある箇所が発見された際は、その場で再撮影などの対処ができる。また海峡部の強風に対しても、ドローンは持ちこたえることができた。この撮影データは、後にAIによる画像解析が行われるという。
この実験により、ドローンによる点検の高い有効性が実証されたとDJIは話している。