スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。
親愛なるみなさんおはよう。良い週末をお過ごしだっただろうか。これからの数日間は、医者が眉をひそめるくらいの糖分を摂取するというのはどうだろう。結局、人間は最後には死ぬわけだし。そんな勢いをつけながら、さっそく仕事に取り掛かろう!
TechCrunchでは、ベンチャーキャピタルの動向を定期的に取り上げているが、スタートアップ市場があらゆる地域に拡大していることをうけて、VCもますますグローバルになる傾向がある。そのため、インドのスタートアップシーンの報告を強化するとともに、ご存知のようにアフリカ大陸で生まれるスタートアップにも注目しているのだ。
多くのスタートアップ企業が多額の資金調達を行っているため、すべてを把握するのは困難だ。しかし、グローバルな新しい現実への対応を続ける、新進のテクノロジー企業に注目しているのは、私たちだけではない。ベンチャーキャピタリストも同様だ。
近年のテクノロジーイノベーションのフラットな世界に合わせて、VCがオペレーションを変えていくのを目にするようになった。例えばより多くのパートナーを持つ大規模なファンドを設立して焦点を分散させたり、国や地域に特化したファンドを設立したりすることなどが挙げられる。
White Star(ホワイト・スター)は、そのような企業の1つで、ますます幅広い分野に焦点を当てている。最近このベンチャーグループは、3億6000万ドル(約410億4000万円)規模の3つめのファンドをクローズしたばかりだが、TechCrunchは数日前に創業者のEric Martineau-Fortin(エリック・マルティノー=フォルティン)氏にインタビューを行った。だがその話題の中心は、評価額や業界の話ではなく、ほとんどが地理的な話に終始した。
マルティノー=フォルティン氏が住むのはフランスとイギリスのほぼ中間に位置する小さな島、ガーンジー島だ。彼の最初のファンドが、アメリカとヨーロッパに焦点を当て、ほぼ半分ずつ投資を分けていたため、そうした中間的な場所に居を構えていることは都合が良かったのだ。
White Starの2つめのファンドは、地理的な範囲を広げて、アジアにも適度に焦点を当てたものだった。そしてグループの3つめのファンドは、アメリカ、ヨーロッパ、アジアがほぼ40/40/20の割合で構成されているとマルティノー=フォルティン氏は語る。
特筆すべきは、同グループがインド市場を積極的に開拓していないことだ。インドにどれだけの資本が流入しているのかを考えると、これは際立った特徴だ。しかし、White Starは、韓国と日本の市場に重点を置いているため、インドをリストの上位に入れなくともアジアに広く投資することが可能だ。
マルティノー=フォルティン氏と、他の市場についても意見を交わした。彼は、ブラジルのスタートアップシーン(Nubank[ヌーバンク]のIPOが迫っていることを考えると驚きではない)やメキシコについて、肯定的な意見を述べた。もっと簡単に言えば、中南米のベンチャーキャピタル市場は、その地に現在焦点を当てていない投資家からも関心を持たれているということだ。
世界のベンチャー市場は、若干のフラット化は見られるものの、依然として不均一な状態が続いている。CB Insights(CBインサイツ)のデータによると、2021年第3四半期には、米国では総額723億ドル(約8兆2400億円)のVC活動があった。一方アジア全体では502億ドル(約5兆7200億円)である。そしてヨーロッパは242億ドル(約2兆7600億円)、ラテンアメリカはわずか53億ドル(約6042億円)だった。つまり、新しいタイムゾーンを対象に加えようとする投資家は、先行者利益を得る可能性があるということだ。
今後は、米国、ヨーロッパ、アジアに3分の1ずつ分割して投資することも考えられる。そのうち、それが普通の分け方になるのだろうか。結局のところ、北朝鮮や中国などの一部の市場を除けば、インターネットはどこにでもあるのだから、場所を問わずいろいろな企業に資本を投入してみてはどうだろうか?
消費者投資の未来
ここからは、大きく舵を切って、英国の消費者投資について話をしよう。上手くまとめるつもりだ。
先週The ExchangeはFreetrade(フレートレード)を取材したが、Robinhoodの低調な業績報告を受けての電話だったので、それは幸先のよいタイミングだった。思い起こせば、Robinhoodの株価は、同社が前四半期比で大幅な減収を発表した後、アクティブユーザー数が減少し、投資アカウントの合計数が減少したことで下落した。
2021年第2四半期から2021年第3四半期にかけてRobinhoodに何が起こったのかを簡単に説明すると、同社のプラットフォームでの暗号取引がつまずいてしまい、精彩を欠いた収益となった。第4四半期は、第3四半期よりもさらに縮小することが予想されている。残念な話だ。
私は、Freetradeが自身のユーザーベースから期待できるものを、Robinhoodの結果が示してくれることを期待していた。しかし、FreetradeのAdam Dodds(アダム・ドッズ)CEOによれば、そのようなことは一切ないとの話だった。実際、同社は先日、ユーザー数が100万人に達したことを発表したが、それ以上に重要なのは、10月に入ってからこれまでに11万件の新規出資アカウントを確保したことだ。1カ月で同社の総ユーザー数が大きく増えることになった。
そうした決して不調とはいえない事実を前にして、ドッズ氏はFreetradeの中核市場であるイギリスでの開拓の余地がまだあると考えており、さらに数ヵ月後にはカナダ、オーストラリアなどへの事業拡大を計画している。併せて、そう、暗号資産の取引も。
取り上げるべきRobinhoodとFreetradeのもう1つの違いは、ユーザー数の伸びが異なることの他に、Freetradeはオーダーフローに対する支払いを行っていないことだ。その代わりに、同社はサブスクリプション、FX取引に対するわずかな手数料、そしてユーザーから預かっている現金が生み出す利子で収益を上げていると、ドッズ氏は説明する。
このサブスクリプションの要素は、会社の長期的な価値の鍵を握っていると私は考えている。それはなぜか?ソフトウェアからの定期収入は投資家にとって魅力的なものであり、ドッズ氏によれば、4分の1程度の顧客が有料版のサービスを選ぶという。
この比率がこのまま維持されるか、あるいは小幅な減少にとどまれば、Freetradeは巨大なソフトウェアビジネスを構築できるだろう。海外はもちろんのこと、国内でのさらなる普及を考えれば、この先も収益が生み出される筈だ。次にFreetradeが資金調達をするときにもっと詳しくお伝えする。
画像クレジット:Nigel Sussman
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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)